【突破する日本】
特定秘密保護法に反対する勢力の思惑。スパイ天国の日本。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131218/plt1312180721000-n1.htm中国が、日本固有の領土である沖縄県・尖閣諸島を含む南西海域上空に、新たに防空識別圏を設定したことで、わが国の安全保障をめぐる危機はそのレベルを高めたと見るべきだろう。
中国はこれまで防空識別圏を設定していなかった。それをこの度設定したのは、中国の空軍力が一定のレベルに達したからだ。海軍力の増強が南シナ海や東シナ海で周辺各国との軋轢(あつれき)をもたらしているが、空軍力の増強はそれに輪を掛けて周辺各国には脅威だ。
すでに中国の空港に発着陸する民間航空機の航行に影響を及ぼしているが、尖閣諸島をめぐる日中の神経戦も空中での武力衝突の可能性は海上の比ではない。中国は空軍力のレベルアップを自信にして、日本に一層の挑発を仕掛けてきたと言っていい。
そんな中で、わが国が採るべき道は、唯一の同盟国である米国との連携を深めていく以外にない。日本版NSC(国家安全保障会議)を設置し、安全保障に関する機密情報を綿密に交換しながら、中国の脅威に対して手を打っていく必要がある。
が、わが国は「スパイ天国」として名高い。これまで何度も自衛隊の高官から機密情報が敵対国に漏洩(ろうえい)している。首相官邸の政府高官から北朝鮮に情報が流れていることが米国につかまれ、首相が政権を投げ出したこともある。国家公務員も情報漏洩について罪の意識を持たなかった。
特定秘密保護法は、テロ対策や安全保障などに関する機密情報について、漏洩した公務員の刑罰を重くし、新たに国会議員や大臣も処罰の対象にした。また、関係省庁と取引のある民間企業にも罰則が掛けられるとした。こうして情報漏洩が起こらないよう細心の注意をする態勢を整えようというのだ。
それもこれも中国の現在の脅威に備えるためであることは言うまでもない。
しかるに、一部の勢力やメディアは、文字通り鉦(かね)や太鼓を鳴らして、この法律の危険性を大げさに宣伝した。いわく「言論統制が行われる」「暗黒社会になる」「戦中に戻すな」。言葉はすごいが中身はない。
確かに、官僚が自分たちの都合のいいように「特定秘密」を指定し、情報管理をする可能性はあろう。この法律の必要性を理解した上で、その運用上の問題として、官僚による「指定」をどうチェックするのかという建設的な議論であるのであればいい。
しかし、この種の勢力やメディアは、この法律の制定を阻止することを目的としている。誰の利益に資しているかは明らかだ。
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。第2回正論新風賞受賞。現在、高崎経済大学教授、安倍内閣が設置した教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。著書に「国民の思想」(産経新聞社)、「日本を愛する者が自覚すべきこと」(PHP研究所)など多数。