◆平沼議連会長の命がけの訪米
西岡 議会との関係で思い出すのは、2008年、テロ支援国指定解除の前ですが、解除をやめてほしいということで訪米しました。その時は、今島田さんが言ったロスレイティネン法案が作られたというニュースがありました。
当時の議会の勢力範囲で言うと、法律が通る可能性は少なかったんですが、アメリカの議員がテロ支援国指定を解除してはならないと書き込んでいる法案を作ってくれるということで、訪米したんです。
その時、平沼赳夫先生に団長になってもらったんですが、平沼先生は脳梗塞で倒れて退院した直後の、初めての外遊だったんです。秘書の同行もなしで一人で来てくださいました。
議会に対する働きかけですから、家族会・救う会・拉致議連訪米団ではなくて、拉致議連・家族会・救う会訪米団で、議員の先生がメインなんです。議員対議員で話をしてほしいと言ったら、「じゃあ私が行きましょう」と言って、行ってくださったんです。
議会、NSC(国家安全保障会議)、ホワイトハウスに行ったんですが、平沼赳夫先生は郵政解散の前は大臣もされていましたので、自民党に残っておられたら総理大臣の候補になられたと思いますが、ホワイトハウスの前ではパスポートの検査があって、普通の面会者と同じように並ばなくちゃいけないんですね。
そこで普通に並んでくださって、我々の思っていることをずっと訴えてくださいました。本当に命がけだなと思いました。そういう議員対議員で、ロスレイティネン議員たちが今日本のことを応援してくれているのも自然になっているわけじゃないんです。
もちろん解決は日本の手でしなくちゃならない。当り前のことですが、アメリカの議会を変えたり、アメリカの政策を変えるということも自然になるわけではなくて、働きかけをしなければならないんです。
先ほど言ったように、テロ支援国指定の理由に拉致を明記してもらうこととか、そういうことがあったから2008年の調査やり直しまで動いたわけです。しかし、だまされてしまったのですが、だまされないようにという働きかけをするためにも、平沼先生の命がけの訪米もあったわけです。
同じ時期、福田総理が訪米していて、テロ支援国指定について話さなかったという報道があって、当時増元さんが記者会見で強く訴えていたのを覚えています。後で、昼ごはんの時に話したんだと、後で中山補佐官に聞きました。それと命がけで訪米している人と、どちらが自国民のため、そしてテロと戦うことをしていたのかなあということも思い出します。
やはり、我々が努力しなければアメリカだって変わらないんです。事実は事実としてあるんじゃなくて、事実を知ってもらって初めて事実になるんです。日本語でいくら資料があっても、誰かが努力して英語にして、それをニクシュ氏みたいな専門家のパソコンに取り込まれて初めて、アメリカ人の共通認識になるわけ
です。
◆デヴィド・スネドンさん失踪に、態度がはっきりしない米政府
島田 古森さんに一つ質問なんですが、アメリカ人拉致問題でデヴィド・スネドンさんが行方不明になっています。今情報を流しているという元CIA職員のスノーデンがベネズエラに行くということばかり問題になっていますが、スノーデンよりスネドンの方が大事だと思います。
このアメリカ人拉致問題のアメリカにおける現状と、今後どういう展開が期待されるかについて、いかがでしょうか。
古森 デヴィド・スネドンという人は、ユタ州の出身でモルモン教徒ですね。兄弟がたくさんいて、一番上の長男のマイケル・スネドンさんが非常に熱心で、何度も日本に来て、救う会や家族会の方々とも会っています。
弟が北朝鮮にいるらしいという情報は日本側から出たということがありますから、それを一生懸命確かめています。
いまの状況は、マイケル・スネドン氏がアメリカ政府に知っていることをすべて教えてくれと要求しているそうです。いまのところアメリカ政府のそれに対する反応は、あることはあるのですが、どうもまだはっきりしないようです。どういう対応があったかも全部は表に出せないような部分がある。デヴィドさんが北朝鮮にはいないという否定もないんです。
同時にスネドン一家は、ユタ州選出の上下両院の議員にもアピールして、問題をもう少し公にしたいようです。
もう一つは、もし日本政府が、デヴィド・スネドンさんは現在、平壌にいるらしい、そういう情報があるということを非公式でも認めてくれれば、それに対応してアメリカ側の政府機関ももう少し自由に動けるということもマイケルさんらは語っていました。
この辺の理屈の組み立て方はわからない部分もあります。アメリカ政府側では否定も肯定もなく宙に浮いている。疑惑だけは確実に存在するという、そんな状況です。
◆拉致被害者の平和は誰が守ってくれるのか
西岡 増元さんと梅原市長にもコメントをいただきます。
増元照明(増元るみ子さん弟) アメリカに行ったのは2003年が初めてですが、私が一番印象深かったのは2005年か6年にデービッド・アッシャーに会った時です。彼は、日本は朝鮮総連を押さえていないじゃないか、朝鮮系企業を何も押さえていないじゃないかと言いました。日本はやれることがいっぱいあるじゃないかと言われまして、私も返す言葉がなかったです。
日本人は戦争はだめだ、平和でなければだめだと言うんですが、じゃあ拉致被害者の平和は誰が守ってくれるのという思いが強いですね。アメリカは一致団結して救出しようという時に、誰も文句は言わないでしょうし、それを軍事力でやろうとしても誰も異論がないでしょう。
しかし日本では、自分たちが平和でありさえすればいいから、同じ日本人が拉致被害を受けても、それを武力で取戻すという発想がまったくないというのが今の現状だと私は思っています。
でも本当にそれでいいのかな。一部の人間の被害、苦しみは上にあげて、本当にそれでいいのかなという思いがあります。そういう意味で日本社会が狂い始めているというか、以前とは違う心根が生まれてきた。戦後60年の教育や色々な状況の中で、どんどん変化していって個人主義になったのかなという思いを強く感じています。
すべてのことを自分たちで解決していくんだという、そういう自分たちが一つになれるような環境、そして考え方を構築していかなければ、拉致問題の全面解決もなかなかなしえないのかなと思います。
梅原克彦(元駐米公使、前仙台市長) 色々なお話を聞いて、当時のことを走馬灯のように思い出しました。私が通産省から米国大使館に出向していた時、あれは2002年9月17日の翌日か翌々日でしたが、田中アジア大洋州局長が、朝10時前に北朝鮮側からのいわゆる死亡者リスト、横田めぐみ何年何月死亡と書いたものですね、あれが発表されました。
あれは当日の午後か夕方になるまで小泉総理にも上がっていなかった。安倍官房副長官にも上がっていなかった。それはおかしいんじゃないですかと、当時の加藤良三大使に言いました。加藤大使も大変困った顔をされていました。
加藤大使にも、小泉総理が北朝鮮に行くという連絡が来たわけです。そして東京から報告がきた。あの時大使は腰を抜かすほど驚いたというエピソードがあります。
古森さんに一つ質問です。マイケル・スネドンさんとは西岡さんと一緒に話をしましたが、お話では、国務省はよく分からない態度だったということでした。スネドンさんは日本で言うと特定失踪者なんです。完全な物的証拠はないけれど、状況証拠を積み上げると北に拉致された可能性が高い。国務省はなぜそういう態度なのか。
それからユタ州選出上院議員、下院議員に働きかけているわけですが、特定失踪者のレベルだから、拉致の可能性が高いとはいっても、アメリカの議員がなかなか動かないということでしょうか。
◆米政府は北朝鮮に対して強硬な姿勢を取りたくないということか
古森 私も今提起されたのと同じ疑問を持っています。推測ですが、国務省が動かないのは第一には、あまり事を荒立てたくない、北朝鮮に対して強硬な姿勢を取りたくないということでしょう。
また、決定的、確定的な証拠がまだないからではないかということもあると思います。確実が証拠がないと議員にしても動きにくい。
かなりうがった見方で根拠はないんですが、例えばデヴィド・スネドンという人が中国の雲南省で何をしていたのか。故郷のユタ州に帰るつもりで、その前に観光で行ったということになっているんですが、もしかしてそれ以外にミッションかなにかがあったとしたら、また複雑なケースになってくる。
そのへんは確実なことはわかりませんが、とにかくいろいろな人たちが動いています。スネドン一家のお父さん、お母さんもわざわざ現地まで行って調べている。長男のマイケル・スネドンさんはしょっちゅう日本にきて、活動をしている。彼はもともとドイツのミュンヘンに本社をおく、国際的な翻訳会社のオーナー社
長です。非常に成功しているビジネスマンなんです。大企業、多国籍企業のために種々の翻訳をする会社の社長をしています。
しかし、家族がこれだけ動いてアメリカ政府が明確な答を出さないというのは非常にミステリーな感じがします。
◆理念的に共鳴し合えるような議員ともっと交流を
島田 ユタ州選出の議員には、スーザンヌさんや私や、あるいは古屋拉致担当相がまだ大臣になられる前に一緒にアメリカに行った時会っています。上院議員が二人いますが、マイク・リーという若手の議員は、アメリカの保守派の間ですごく高く評価されている人です。
マーク・レビンという、ものすごくあくの強い評論家、憲法問題の専門家がいるんですが、マーク・レビンも、マイク・リーはすごくいいとしょっちゅう言っています。
そしてもう一人、下院議員のジェイソン・シェイフィッツという方にも会いました。シェーヴィッツという人は、今アメリカで問題になっているリビアのベンガジにある領事館がテロリストに襲われて、駐リビアのアメリカ大使初め4人ほど殺されましたが、その事件でもオバマ政権の対応が極めて問題があるというので、保守派の側から追求している中心人物です。
実際リビアに行って、色んな関係者に聞き取りをしたりとか、ショーン・ハニティという保守派の有名なニュースキャスターがいますが、このハニティのラジオ番組などでしょっちゅう出てきます。
たまたまですが、マイク・リー、ジェイソン・シェイフィッツという保守派が注目しだしている若手議員、若手だから現時点では議会で大きな影響力はないと思いますが、売り出し中の注目カードがユタ州の議員をやっているので、古屋さん初め、山谷えり子さん等、日本で理念的に共鳴し合えるような議員がもっと交流を深めてもらうと何かの時に一気にブレイクして、日米協同でやる基盤が作れると思います。
(以上)
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