総連本部落札 地裁に厳正な審査求める
整理回収機構(RCC)が強制執行(競売)を申し立てていた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物が落札された。落札者は鹿児島市の寺院で、売却基準価額(約27億円)を大きく上回る45億円余の高値だった。
東京地裁は、29日に売却の可否を判断するが、厳正の上にも厳正な審査が求められる。
寺院の法主は平成21年から5回訪朝し、仏像を寄贈したり、勲章を授与されたりしている。記者会見では、北の上層部から、大使館にあたる中央本部を「いい形で残せるように」と頼まれたことを明らかにし、「朝鮮総連側から借りたいとの意向があれば検討する」とも述べた。
また、寺院関係者によると法主は、競売開始前に総連の議長からもしばしば中央本部の購入を依頼されたという。法主が北朝鮮や総連の意向を受けて入札に参加した可能性が極めて高い。
民事執行法は債務者の買い受けを禁止している。落札した寺院が総連から資金提供を受けている場合も、売却は許可されない。
東京地裁は、買い受け資金に総連や関係者からの出資が含まれていないか、厳正に調査すべきだ。45億円の支払い能力も当然、寺院側にただす必要がある。
中央本部の競売をめぐって、総連側が民主党前政権に対し、競売回避に向けた「政界工作」を行っていた疑いも浮上している。
総連議長が総連幹部に伝えた発言記録によれば、同議長が昨年、民主党の輿石東幹事長(当時)らに接触した。内閣府副大臣(同)が働きかけた結果、RCC側が総連に競売回避を前提とする和解案を提示したという。ただ、北のミサイル発射により和解案は履行されなかったとされる。
経営破綻した在日朝鮮人系信用組合から不良債権を引き継いだRCCは、総連に627億円の債権を持つ。競売回避は総連を利することになりかねなかった。安倍晋三政権は前政権の疑惑を徹底的に調査し、解明してほしい。
朝鮮総連は北朝鮮の工作機関に直結する組織として、さまざまな対日工作にかかわってきた。総連傘下の商工会幹部が日本人拉致に直接、関与したこともある。
中央本部の土地・建物の行方いかんにかかわらず、総連には今後も厳しい監視が必要である。