景気は「気」から | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 




 安倍晋三首相のアベノミクスへの期待感は年が明けても続いており、東京株式市場の日経平均株価は1万円台をキープする好調な滑り出しである。当然ながら証券業界は盛り上がっている。ある大手証券会社では昨年末、世界中の投資家と日本企業トップを招いた毎年恒例のフォーラムを開いたところ、過去最多となる1700人以上の投資家が集まったそうだ。

 業界が注目しているのは、世界中の市場で株式を運用する、いわゆる欧米のグローバルファンドが日本株に関心を示し始めたことだ。数兆円規模を運用するこの種のファンドは、有望な市場ほど投資する割合を高める。だが、日本市場に対しては、名だたる企業も含めて総じて見向きもされず、投資は低調だった。日本の証券会社がファンドマネジャーに日本株を勧めようとしても、面会の予約すら入らないほどだった。

 それが最近は、向こうから個別の日本企業の報告を求めるようになってきた。それも、足元の経営戦略を含めた基本的な報告だ。直接訪問したいと打診してくる大手運用会社もある。日本株を再び一から研究し直そうという動きだ。

 この影響は大きい。グローバルファンドが過小にみてきた日本への評価を改め、各国市場と釣り合いの取れた中立的な投資をするだけで、市場に4兆~5兆円が流れ込むとの分析もある。2000円くらいの株価上昇要因だ。

もちろん今の相場が期待先行なことは言うまでもない。企業の業績が劇的に好転したわけではないし、デフレは解消されず、海外情勢も予断を許さない。安倍政権の経済運営次第では期待が急速にしぼみ、株価急落の恐れもある。

 それでもムードの好転は悪いことではない。先行きに期待が持てれば、消費マインドが上向く可能性も高まる。大切なことは、企業が株高や円安、安倍政権の政策を好機ととらえ、再生への明確なビジネス戦略を描けるかどうかだ。

 本紙は元日の分冊で「目覚めよ 日本力」と題する大型特集記事を掲載し、世界に誇れる日本の技術や文化などを紹介した。萎縮(いしゅく)しがちな今の日本の真の実力を再認識し、成長するよう願いを込めた記事だ。今年、創刊80周年の本紙が今後もキャンペーン的に展開するテーマでもある。

 景気は「気」からともいう。厳しい現実を冷静に見ると同時に日本が新たな飛躍に動く姿もきめ細かく伝える。せめて年初は楽観的に日本の底力を信じたいと思う。

                       (経済本部部長 長谷川秀行)