災害に強い国土を築こう
死者6434人を出した阪神・淡路大震災から17日で18年を迎えた。
日本列島は「阪神」から地震活動期に入ったとされる。国、自治体、国民が一体となって地震防災に取り組む決意と覚悟を新たにしたい。
一昨年の東日本大震災はマグニチュード(M)9の海溝型超巨大地震が大津波を起こし、広範囲に壊滅的被害をもたらした。
これに対し内陸直下型の阪神大震災(M7.3)では、犠牲者の8割が倒壊した建物などの下敷きになっての圧死だった。高速道路をはじめとする都市インフラも甚大な被害を受けた。発生時間が早朝でなかったら、被害はさらに拡大していた。
東日本大震災以降、巨大津波への備えが地震防災の重点課題となった。「千年に1度」といわれるような巨大津波への備えは、長期的な危機管理の観点から必要だが、現実的な短中期の防災対策としては「阪神」の教訓を重視し、住宅や都市インフラの耐震化を急ぐことが肝要だ。
特に、老朽化した木造家屋の建て替え促進や、住宅密集地の延焼防止対策などは喫緊の課題だ。中央自動車道・笹子トンネルのような、高度成長期の建造物の耐震性の強化も急がれる。
大正12年に起きた関東大震災から数えると、日本はこの90年間に関東、阪神、東日本という3度の大震災を体験した。
これとは別に、終戦を挟んだ昭和18年から23年にかけて18年鳥取(M7・2、死者1083人)▽19年東南海(M7・9、死者・不明1223人)▽20年三河(M6・8、死者2306人)▽21年南海(M8・0、死者1330人)▽23年福井(M7・1、死者3769人)-と、死者千人を超える大地震が5回発生したことも思い起こさねばならない。
終戦前後の地震頻発は南海トラフの活動に伴うもので、これから迎える地震活動期のピークにも、同じように大地震が立て続けに発生しうる。
次の東南海・南海地震は、今世紀前半に発生する可能性が高いとされる。首都直下地震の切迫性も叫ばれ、今後10年程度が日本の地震防災の正念場といえる。
地震活動期を乗り切り、「災害に強い国土」を今世紀後半を担う世代に引き継ぐことは、私たちの使命である。