「自民圧勝」
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121211/plt1212110709002-n1.htm
12月5日夜7時過ぎ、友人の某紙政治記者から電話があった。共同通信社が衆院選情勢調査の結果を速報してきたが、驚愕の予測数字が出たと伝えてきたのだ。
それからはそれこそ、約束の夕食中にもかかわらず、てんてこ舞いの何時間かを過ごした。
同社の電話調査(約12万人を対象)によると、自民党が衆院の絶対安定多数(269議席)をはるかに上回る293議席を獲得する勢いという結果が出たのである。
同夜のうちに各社の議席推計を聞き及んだが、翌日の朝日新聞(朝刊)も272議席という具体的な数字を報じた。そして、議席数は報じなかったが、読売、産経、日本経済新聞もほぼ同じような結果となった。
にわかに信じられなかった。例によって某紙の有力記者と、自民、公明両党で過半数(241議席)に届く、届かないで賭けをしている。だが、届くとする筆者が自民党220(プラス・マイナス20)議席、件の有力記者は200議席を下回ると見通していた。
そうしたなか、衝撃の情勢調査の結果が報道された。識者は、バンドワゴン(勝ち馬に乗る)現象やアナウンスメント効果で説明するが、個人的には得心がいかない。
2005年の郵政選挙、09年の政権交代選挙の時は衆院解散時点で結果は分かっていた。が、今回は野田佳彦首相の乾坤一擲の16日解散後、第3極の分裂もあり、自民党の安倍晋三総裁と、民主党代表の野田首相との党首力の戦いとなるうえに、有権者は投票に当たって真剣に両党の政策比較を行うとみていた。
もちろん、それでも「自民圧勝・民主大敗」は不可避であると。残る1週間の選挙戦で逆アナウンスメント効果が利いてくるとは思うが、自民、公明両党が絶対安定多数を制するのは間違いない。
永田町と霞が関の住人たちの関心は、安倍政権の主要閣僚と自民党執行部人事に集中している。
次期政権の実態は「安倍・麻生(太郎元首相)連立内閣」であると、筆者は早くから指摘してきた。麻生氏は副総理・財務相が確定的である。
官房長官には、安倍氏最側近の菅義偉幹事長代行の名前が挙がるが、麻生氏が推す、細田博之元幹事長ではないか。菅氏は、自民党大勝で勢いを増す石破茂幹事長への歯止め役として留任するはずだ。
興味深いのは、首相秘書官(政務担当)に今井尚哉資源エネルギー庁次長(1982年旧通産省入省)を抜擢する可能性が高い。であれば、強力な安倍官邸となる。
(ジャーナリスト・歳川隆雄)