選択の誤りは絶対に許されない。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







解散総選挙




衆院が解散され、12月16日の総選挙で新たな政権選択が行われる。今度こそ、民主党政権を選んだ失敗を繰り返すことなく、日本を立て直せる新政権を構築することが求められている。

 各党とも具体的かつ実効的な処方箋を国民にできるだけ早く示すべきだ。

 問われるべきは国家観である。それを決定的に欠いていたのが民主党政権だ。

 日本固有の領土である尖閣諸島に中国が奪取の動きをみせているのも、国家をどうするのかなどの意識が薄い政権が3代続いたことによるといえる。

 ≪第三極は何をするのか≫

 求められているのは、領土・主権を守り抜く抑止力を強めることだ。また、国家として緊急事態に対処し、主権を守るため、新憲法制定を主要な争点にすることも重要である。

 注目したいのは、橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会と、石原慎太郎前東京都知事らの太陽の党を中心とした第三極の動きだ。

 17日に大阪で両党の「合流」が発表される方向となった。既成政党に飽き足らない層の受け皿となる可能性があり、動向に目が離せない。

 しかし、両党が掲げてきたエネルギー政策や消費税の地方税化など主要政策には決定的な隔たりもある。

 総選挙後の政治への影響力を持つための「大同団結」を唱えるだけで、果たして有権者を納得させられるものなのか、もっと説明が必要だろう。

3年余にわたり国のかじ取りを民主党に委ねた結果を、厳しく検証しなければならない。

 迷走の最大の原因は、民主党が政権交代前の段階から、党内対立や分裂を避けるため、重要政策の明確な方向付けを放置してきたことにある。最重要課題の一つである憲法改正も、具体的な方向性を示そうとはしなかった。

 民主党は、長期政権による制度疲労などから行き詰まっていた自民党政権の崩壊を待つだけで、日本をどうするかの根本的なテーマを棚上げしたまま政権に就いたといえる。

 前回衆院選でのマニフェスト(政権公約)では、「国民の生活が第一」という響きのいいスローガンの下に、子ども手当などのばらまき政策を並べた。肝心の財源について無駄の削減で16・8兆円を出せると主張したが、予想通り破綻した。

 一方、マニフェストに書かれていない消費税増税に取り組んだものの、与党は分裂した。

 福島第1原発事故を受けて民主党政権が脱原発路線を進めたことは、電力供給の不安定化や料金値上げなど経済の足を引っ張る結果を招いた。再生に必要な電力を確保する原発エネルギー政策こそ提起すべきだ。

≪尖閣いかに守るか語れ≫

 失敗を繰り返さないためにも、政権を担おうとする政党は国家ビジョンを持ち、人気取りではない実現可能な政策を国民に提示しなければならない。

 3年ぶりに政権復帰を目指す自民党にも同じことが求められる。政党支持率で自民党は民主党を大きく上回っている。だが、第三極勢力への関心の強さは、既成政党への不信を示していることを忘れてはならない。

 自民党は自衛隊を「国防軍」と位置づけた新憲法改正草案をすでにまとめ、尖閣諸島の統治強化を唱えている。問題は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や原発政策で党の明確な方針が定まっていないことだ。

 安倍晋三総裁は「われわれは日米同盟関係にふさわしい交渉の仕方ができる」と語り、民主党政権が掲げる「2030年代に原発ゼロ」は無責任と批判した。当然だが、自民党もこうした根幹の政策をもっと明快に語るべきだ。

 特例公債法や衆参両院の「一票の格差」是正の関連法成立は、消費税増税法を成立させた民主、自民、公明3党の協力の枠組みの成果だ。総選挙後も参院のねじれは解消しないとみられ、今後も維持せざるを得ない。

 野田佳彦首相は解散後の記者会見で、尖閣諸島の実効統治強化を念頭に「極論は排外主義につながる」と非難したが、自らの領土をどう守るかも語ってほしかった。尖閣の守りこそ国民に示すべき大きなテーマだ。