安倍晋三氏直撃! 居酒屋座談会。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









今月(2012(平成24)年9月)14日に告示、26日に投開票が行われる自民党総裁選に元首相の安倍晋三氏(57)が出馬する方向だ。学生の団体「Project J」の有志記者たちが、安倍氏を囲む「居酒屋座談会」を敢行。総裁選、憲法改正、領土、教育問題などについて遠慮なしにズバズバと直撃した。渦中の安倍氏を丸裸にした座談会を2回に渡り、リポートする。

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 □今週のリポーター 学生団体「Project J」 有志記者

 ≪「命懸けでやる」 飛び出した出馬宣言≫

 9月某日、東京・赤坂の某居酒屋。座談会は自民党総裁選をめぐり、安倍晋三氏の去就が注目されている、まさにその最中に行われた。多忙を極めるなか、快く座談会への出席を引き受けてくれた安倍氏を学生5人が囲んだ。

 野党である自民党の総裁選がこれほどまでに注目されるのは、秋にも行われるとされる衆院の解散・総選挙で政権が交代し、自民党総裁が日本の首相に就く可能性が高いといわれているためだ。いきなり核心である総裁選への出馬について尋ねた。

 ■やり残した使命

 荒冬樹(流通経済大学4年):率直にお伺いしたいのですが、総裁選へ出馬されるのですか

 安倍氏「ホントに率直に聞くね」

荒:もうズバリ

 安倍氏「6年前に首相に就いたんだけれども、潰瘍性大腸炎っていう持病が悪化して、総理大臣の威厳を保てないと思って、断腸の思いで辞任したのですが、現在の自民党の状況や政治の状況に私は本当に責任があるんですよね。この責任を果たすためにはどうすればいいのか、この5年間ずっと、それを考えてきた。3年前の総選挙で自民党のまだ若い有為な人材がたくさん落選した。そういう人たちがまた戻ってきて国のために仕事ができるような状況を作っていくこともその一つ」

 「そんな今、尖閣諸島に対し、中国がその野心を隠さない状況になった。韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に上陸し、陛下に対して侮辱的な発言をするということも起きた。これは民主党政権の外交敗北なんだけれども、やっぱり戦後の体制の問題点が大きく浮き彫りになった結果でもある。ですから、その戦後体制からの脱却、戦後レジームからの脱却という、私のやり残した仕事をどの立場からやるべきか、という意味において考えていきたいな、と思っています」

 秋葉貴幸(帝京大学4年):では首相として、やり残したことをもう一度やるということは、あり得るということでよろしいのでしょうか

 安倍氏「そりゃ、まぁ、もちろん。首相になれば、政策を一番実行していける立場になる。(首相になった)6年前、戦後レジームからの脱却あるいは憲法改正と言ったが、まだまだ私の力不足ということもあったんだけれども、国民に理解されていない状況だった。今は日本をめぐる状況が変わってきて、国民の支持があるかもしれないという状況を迎えている。首相というのは、それを一番実行できる立場なんだと思います」

 ■健康問題は克服

 安倍氏は、ビールを口にしていた。首相を辞任する原因となった健康問題は大丈夫なのだろうか。

 星和希(流通経済大学2年):普段から、結構飲まれるんですか

 安倍氏「いやー、たくさんは飲みませんけどね。2年前に新しい薬が認可されて、これが画期的に良く効いた。どうしてもわれわれのような症状を持つ人間は、炎症反応が完全にはなくならないんだけど、完全になくなるという状態が、2年間続いている。よくなったからちょっとビールでも飲んでみようかなって。で飲んでも症状とか出なかったんだ」

 学生:へぇー、すごいですね

 安倍氏「こうなれば、とにかく命懸けでね、さっき言ったやり残した使命もあるので頑張っていこうかなと思います」

 安倍氏の口からさりげなく、しかし、力強く「命懸け」という言葉が飛び出した。事実上の出馬宣言だ。難病といわれる潰瘍性大腸炎を克服し、最大のネックといわれた健康問題は、もはや再登板の障害とはならないのではと感じた。

≪「橋下さんのパワーは魅力」 共闘も≫

 「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長(43)との連携がさかんに報じられ、総選挙後の政界再編も噂されている。

 ■教育改革で意気投合

 星和希(流通経済大学2年):維新の会との関係はどうなんですか

 安倍晋三氏「今年の初めのころ、教育再生推進会議が大阪でシンポジウムを開いて、そこで、私と大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会幹事長)が参加したんですね。で、松井さんがいま大阪維新の会で進めている教育条例は『安倍さんの時に作った新しい教育基本法の精神をしっかりと実行していくためのものですよ』という話をしておられてね。教育再生、教育改革について意気投合したんですね。まぁその後、何回か話をする機会がありました」

 「もちろん次の選挙になれば、自民党はほとんどの選挙区に候補者を出しますから、そのときは、お互いに主張をぶつけ合いながら、戦うことになるんだろうと思います。しかし、維新の会は、教育の問題や(憲法改正の手順を規定した)憲法96条を変えようということを言っていますよね。憲法改正には、(国会議員の)3分の2以上の賛成が必要ですから、そういう大きな勢力を作っていく上においてはまさにお互いに協力できるかなと思います。それに、やっぱりパワーを持っていますからね。彼らのパワーっていうものはね、事態を打ち破っていくうえで必要なパワーではないかなって思います」

■憲法改正への橋架けた

 松岡宏明(早稲田大学2年):まずは憲法96条を変えてから、「本丸」の改正に攻め込むということですね

 安倍氏「そうそう。本丸のあるお城に渡る橋は架けたんですよ。それは(首相時代に)国民投票法を作ったということ。橋は架かったんだけど、まだ本丸には届いていないから、その橋を渡ってね、本丸に乗り込んでいって国民の皆さんと一緒に。今までは橋が架かっていないから、国民の皆さんも本丸を見に行こうと思っても行けないんですよ」

 松岡:そうなんですよ

 安倍氏「今は行けるようになったから、国民の皆さんと行って、国民の皆さんに国民投票をしてもらう。憲法について意志を示してもらうという機会をつくりたいと思います」

 古池優希(筑波大学4年):安倍さんと橋下さんの2人がタッグを組んだらすごく面白くなりそうですね

 星:安倍さんが持っているパワーと橋下さんが持っているパワーと私たち若者が持っているパワーを合体させて、新しい、もっといい日本に進んでいければ、すごい!

 安倍氏「若い皆さんは、いろんな情報をマスメディアだけではなくて、インターネットからも取りますよね?」

 松岡:取りますね

 安倍氏「これはやっぱり大きなことでね。今まではマスコミみんなが談合して、『このカラスは白いよ』と言えば、国民は『あ、白いのか』と思う以外には情報を得るツールはなかった。ところが、『いや、カラスはこれだよ』と誰かがインターネットに載せると、『あぁ、そうなんだ!』という情報を得ることができる。真実は何かということを知るための情報をみんなが得ることができる時代になった」

 松岡:安倍さんを推している保守系の人たちは橋下さんに対して「ポピュリストだ」とか、「文化に対する理解がない」とか批判していますが

 安倍氏「確かに、文楽とか文化予算をドーンと切った。それは、彼が知事、そして市長になって、いわば政治の場に出てそんなに年数を経ていないというなかで、いろんなことを吸収しながら、学びながら前に進んでるということじゃないのかと私は捉えている。まぁ本当にそんな哲学的なことまで話したことはないから、私が橋下さんのことをどれくらい知ってるかといわれると、そんなによくは…」

 学生:(笑)

 ■政界再編の予感

 安倍氏「ただ、憲法改正のような大きな壁を乗り越えていくうえで、この力を吸収しなければならないというときにね、発進力とか、パワーを持ってるというのは魅力的ですよ」

 松岡:じゃあやっぱり細かいところでの意見の違いはあっても、憲法を改正する、憲法を基盤とした今の体制から変えていこう、という根本的なところが合致しているから、組もうかということですか

 安倍氏「まぁその時にはね。ただ、連立政権ありきとかそういうことでは全くないんだけどね。そうではなくって、大きな仕事をやるときには、ともに戦っていくということじゃないかなと思っています」

 安倍氏は政界再編の可能性を否定しなかった。安倍氏が自民党総裁に選出されれば、憲法改正を軸とした再編が動き出す予感がした。

≪「領土は渡さない」 意思表示が重要≫

 安倍氏は2006年9月に首相に就き、健康問題でわずか1年で辞任した。短い間だが、教育基本法の改正や防衛庁の省への昇格などを実現した。首相への再登板を目指す今回の立候補には批判もあるが、あえていばらの道を踏み出した。

 ■守ることできなかった

 古池優希(筑波大学4年):政治家としての原動力というか、源はどこにあるのでしょうか

安倍晋三氏「ちょうど私が大学を卒業した1977年の9月に、バングラディシュのダッカで日航機が赤軍派にハイジャックされたんだけれども、政府は犯人の要求に応えて、超法規的に服役囚を釈放してしまった。それで世界からテロリストに屈した、情けないと批判された。批判するのは簡単なんだけれども、果たして日本は別の道をとれたのか。日本には自衛隊あるいは警察を派遣して、救出オペレーションをやろうと思ったって、そのための法律も能力もなかった」

 「皮肉なことに次の年に西ドイツの航空機がソマリアでハイジャックされたんだけれども、彼らは特殊部隊を派遣して乗客を救出し、世界から称賛を浴びた。同じ敗戦国でありながらどこがちがうかといえば、西ドイツは何回も憲法改正したから。拉致問題でも、日本は横田めぐみさんという13歳の少女を守ることもできなかったんです。この事実に日本人は直面しなければならないし、だから戦後体制から脱却して、21世紀にふさわしい日本を作っていかないといけない」

 松岡宏明(早稲田大学2年):拉致の問題にしても、領土の問題にしても、しっかりと日本が言わないと、国が根底から崩れてしまうと思うのですが

安倍氏「北方四島と竹島は、領土問題なんです。これは不法に占拠されてしまっている。それを取り返し、解決するには外交交渉しかないんです。相手がいることだから、こっちが決めても、分かりましたってことにはならない。国際司法裁判所でやろうと言っても、相手がだめと言ったらだめ。基本的には2国間で、日本の言うことに一理あるということにならないといけないが、簡単なことではない。一方で、尖閣諸島については領土問題は存在しない。尖閣はまったく日本のものだし、日本がちゃんと管理している島ですからね。これを守るのは、海上保安庁の力も含めた軍事力なんですよ。取られたものを取り返すのは外交ですけど、取られていないものをちゃんと守っていくためには、国家的な意志や物理的な力を示していくことが必要なんです。尖閣については、公務員がちゃんと住んで管理していく。絶対渡さないよという意志を示すことが、その道だと思います」

 ■批判にひるんじゃだめ

 荒冬樹(流通経済大学4年):1年という短期間で教育基本法の改正といった国の根幹を作る大事な仕事をされたと思うのですが

安倍氏「政権に就いたときに戦後レジームからの脱却をテーマに挙げたんだけれども、日本は戦争が終わっての7年間は占領期間で主権がなかった。その時代にいろんなことが決められた。それはやっぱりおかしいでしょ。それで憲法を改正するための国民投票法をつくった。そして、日本人として生まれたことに誇りを持てるようにするために、教育基本法を変えました」

 荒:当時の朝日新聞が過剰なほど政権を批判していたように感じました。これからもメディアから過激な批判が出ると思うのですが

 安倍氏「まぁ、そういった批判を恐れていては、結局、仕事はできないわけで。戦後体制のまさに一番中心的なものは何かというと、憲法なんかのいろんな仕組みもあるけど、やっぱり、マスコミの世界で働いている人の頭の中なんだね。われわれは、彼らが今まで言ってきたことを言い始めているわけだから、自らの権威を守ろうとしている人たちは、必死に抵抗するんだろうね。マスコミは大きな力をもっているけれども、ひるんじゃだめ。今は幸い、インターネットというツールもある」

 ■「ゆとり」取り返せる

 星和希(流通経済大学2年):私たちは俗に言う「ゆとり教育世代」なんですが、安倍さんは、教育基本法を改正してゆとりを脱却しようとしたっていうことはやっぱり、ゆとり教育は間違っていたんでしょうか

秋葉貴幸(帝京大学4年):多分これからも、「ゆとり世代」と言われ続けるじゃないかと思っているのですが

 安倍氏「でも皆さんは今、大切なことに目覚めているから、関係ないよ。これからいくらでも勉強して取り返せますから。実際、学校の理科の教科書なんかは、世界でも最も薄くなっている。それで、ゆとりが生まれたかというと、逆につまらなくなってしまった。海外の理科の教科書に比べてもつまらないということになっている」

≪「日本は夕暮れじゃない」 卑下するな!≫

 秋葉貴幸(帝京大学4年):(2012(平成24)年)9月初旬に幻冬舎から「約束の日・安倍晋三試論」(小川栄太郎著)という本が出版されました。安倍内閣のことを書いてあるのですが、ニュースで見たことを信じ込んでいたんですけど、その裏にはこんなことがあったんだという、本当に知らないことばかりでした

 安倍晋三氏「小川さんは、文芸評論家で、音楽評論家なんですが、安倍政権時代のできごとを分析しながら、安倍政権は何だったのかということを書いてくれた。どうなるのかなと思ったけど、小川さんは当たり前なんだけれども文章力がすごい。こういった本は大体、つまらない本が多いんだけれども、自分で読んでいてもおもしろかった」

 秋葉:今日は学生と安倍さんの座談会ということで、最後に若者世代にメッセージをもらえないでしょうか

 安倍氏「今の日本は、人口が減少していくし、少子高齢化も続いていて、中国にGDP(国内総生産)で抜かれてしまい、なんとなく近隣諸国に侮られている。かつてはライジングサンなんて言われたけれども、夕暮れ時を迎えているのではないかという人たちがいますがこれは間違いです! 未来というのは決まっていない。今まさに皆さんが何をやるかにかかっているんです。日本は本当に素晴らしい自然に恵まれ、長い歴史と伝統文化を持っている。たくさんの可能性があふれているんです。その可能性を引き出すのは、皆さんの情熱と勇気だと思います。将来を悲観したり、過去を卑下するよりも、未来を語ることにわくわくしながら、頑張ってもらいたいです」

秋葉:私たちが頑張るためにも、この日本のトップには、しっかりした人がついてもらいたいと思っています

 松岡宏明(早稲田大学2年):大変な時期だからこそ、外からの圧力をはね返す安倍さんしかいないと思っています

 安倍氏「外交や安全保障の問題で、みんなイライラするんですけど、日本というのは礼儀正しく、物静かなんです。今後もそうかもしれないけれど、日本の領土や領海を侵そうとしたら、断固としてそれは許さない、日本の誇りを傷つけようとしたら、それは許さないんだということを、われわれがメッセージとして発信していかなければいけないと思っています」



【編集後記】

 ■気難しそうなイメージが一転…

 政治家と学生が対談をする。それだけでもすごいことなのに、ニュースや新聞で大注目されている安倍さんが、居酒屋で対談することを承諾してくれたことに感動した。領土問題や拉致問題に対して熱く話す姿からは、日本を本当に守りたいという意志が伝わってきた。5年前にテレビで見ていた首相の安倍さんは、冗談も通じない気難しそうなイメージがあった。ところが、実際に会ってみたら、会話はユーモアにあふれ、お酒も交わし健康そのものだった。日本の未来を考え、変えようとして戦っている安倍さんにリーダーになってもらいたいと強く感じた対談だった。(帝京大学4年 秋葉貴幸)

■戦う姿から刺激

 安倍さんの人柄、国家に対する考え方を知り、まさしく首相にふさわしい人であると感じた。また、安倍政権の約1年間で実現したことは、日本の根幹を改める重要なものであることを知ることができた。憲法、教育、外交といった日本が直面する最重要課題に対し、矢面に立って、勇敢にあらゆる敵と戦いながら政治家として邁進(まいしん)している。私たちも国家の一員として日本人としての誇りを持ち、国家に貢献していきたい。(流通経済大学4年 荒冬樹)

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 ■「日本人としての心」感じた

 自民党総裁選が間近に迫っているのに、今回の企画を快く引き受けてもらえたことにまず感動した。居酒屋という環境のおかげで、政治家・安倍晋三氏と話すのではなく、人間・安倍晋三氏と話すことができたと感じた。日本という国を大切に思い、日本をより良き方向へと引っ張っていきたいという一人の日本人としての心を感じた。座談会を通じ、若者である私たちは、日本の文化・伝統を日本中に、そして海外へ発信していき、やがてはこの国を担う一人として、良き日本を引き継いでいきたいと思った。(流通経済大学2年 星和希)

■一番大切なことを言葉に

 元首相(早く現に…)と一緒にお酒を飲みながら国の未来について語り合うなんて二度とない経験だ。領土問題の話になったとき、私は「ニュースを見ると頭に血が上る!」と言った。韓国や中国に対する日本政府の弱腰が許せないと訴える私に、安倍さんは「日本人は外交においても国防においても礼儀正しい。これからもそうだけれども、日本の領土、誇りを傷つけようとするものは断固として許さない姿勢でいなければならない」と話してくれた。こんな当たり前で一番大切なことを言える政治家が今の日本にいるでしょうか。日本人として日本を守るために何をしなければならないのかということを誰よりもわかっているのが安倍さんだと実感できる座談会だった。(筑波大学4年 古池優希)

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 ■国家観に触れ、感銘

 日本は主権国家の要件を満たしていないのではないか。こうした思いが、安倍さんの政治への原動力になっているのではないかと感じた。日本国憲法を核とした戦後体制は、日本国が国家であることの阻害要因になっているのではないか。日本がまっとうな国家となるためにも、安倍さんが言うように戦後体制から脱却する必要がある。総裁選を控えて多忙な時期に貴重な機会を得られ、首相となるかもしれない安倍さんの人間性や国家観に直接触れることのできたことは本当に幸運だった。(早稲田大学2年 松岡宏明)





草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 
総裁選への出馬で記者会見する安倍晋三元首相=2012(平成24)年9月12日、東京都千代田区永田町の自民党本部(産経新聞_酒巻俊介撮影)



草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。