「旭日旗=鉤十字」は“反日”教が生む妄想、韓国
は日本から自由になれ~西村幸祐氏。
マット安川 今回は近刊『反日の正体 』が話題の評論家・西村幸祐さんをお迎えしました。8年前に書かれた前著『反日の構造 』から何も事態が変わっていないことや日本の領土問題の本質、安全保障の課題などをお話しいただきました。
五輪男子サッカーでの行為は、彼らにとって当たり前のこと

ジャーナリスト、作家。音楽雑誌編集などを経て、主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始。2002年の日韓ワールドカップ取材以降は拉致問題や歴史問題などに関する執筆活動を行い、2011年4月『JAPANISM』を創刊。『幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s 』(祥伝社刊)など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)
西村 ロンドンオリンピックの男子サッカー3位決定戦で日韓が戦いましたが、試合後の韓国人選手の行為が何をもたらしたのか、きちんと考えなければいけません。韓国人は、あれは当然だと思ってやっているんです。というのも、今までもずっと同じことをやってきたからです。
今回はオリンピックだからIOC(国際オリンピック委員会)やFIFA(国際サッカー連盟)も問題にしていますが、日韓戦ではこれまでもアジアカップや親善試合などでスタジアムに政治的なスローガンがいっぱい出ていました。選手がやるわけではないですが。
例えば竹島(独島)は韓国領だとか、戦犯国のみなさんようこそとか、伊藤博文を暗殺した安重根の肖像画が出たり、そんなのはしょっちゅうです。それをアジアサッカー協会が厳しく注意せず、日本サッカー協会も抗議をしないという状態がずっと続いていた。
だから今回も当然のように彼らはやったわけです。その行為自体は間違っているんですけれど、彼らにすれば当たり前のことなんです。
今回、韓国のサッカー協会の対応は非常にまともでした。というのは、日本サッカー協会に対して、非常に申し訳ないことをしたと詫び状を送っているからです。
日本と韓国のサッカー協会は、スポーツ分野でお互いにある程度信頼関係がある。だから日本サッカー協会もあえて抗議声明を出さず、サッカー協会どうし大人の関係というか、謝罪してきたんだからということで済ませていた。
ところが韓国では、韓国サッカー協会が日本サッカー協会に謝罪をしたというのは何ごとだと国会でも大騒ぎになった。
実は問題なのは、それ以降に起きたことです。あの行為が世界的に非難されたら、彼らは逆に日本を非難し始めたわけです。日本が旭日旗を使うのはナチスの旗を使うことと同じだなんていうバカげた妄想を言い出した。旭日旗というのは日本の軍国主義を象徴する旗で、ナチスの旗と同じだと。
旭日旗は帝国海軍の正式な旗だったし、いまも海上自衛隊は正式な自衛艦旗として使っている。陸上自衛隊も行軍の時に使うことがあります。要するに世界的に認められた旗なんです。日の丸の兄弟みたいなものですよ。
だから普通の外国人は、日の丸とともに旭日旗もデザイン的に素晴らしいものとして評価している。もともと大漁旗にも使われていた日本の意匠、デザインのパターンだということです。
それをハーケンクロイツと一緒だという妄想を突きつけてきて、禁止させる法律を作れとか、韓国の国会では今まじめに議論している。そういう運動がいま韓国では広がっているんです。
李明博大統領の天皇謝罪要求発言にはもっと深い意味がある
今年5月、アメリカの韓国系団体がニューヨーク・タイムズ紙に従軍慰安婦についての意見広告を出しました。
その広告には、1970年に西ドイツのブラント首相がポーランドを訪れた時に、ナチスの被害者のお墓の前でひざまずいて謝罪している写真を使った。西ドイツの首相はこういうことをやったのに、なぜ日本のトップは同じように慰安婦に対して謝罪をしないのかと。
李明博大統領が竹島に上陸した後の8月14日に、韓国の大学で発言した内容が大問題になりました。天皇が韓国に来るんだったら深い反省をしなければいけないと。
あれは本当は、謝罪しなければいけないと言っているだけではなくて、ひざまずいて謝罪しなければいけないと言っているんですね。それはブラント西ドイツ首相のポーランドでの謝罪写真とかぶるわけです。同じ意味がある。
儒教の伝統では、ひざまずいて謝罪するというのは一種の土下座で、足を縛って罪人に科す刑罰の1つでもあるんです。そういうものまでもちゃんと意識した、連想させる言葉であったということです。
日本人はそこまで考えないとダメです。謝罪という言葉だけでも相当激怒しましたが、ただ謝罪しろと言っただけではなく、ひざまずいて謝罪しろと。言葉にこそしていないですが、そこには足を縛ってというニュアンスも含まれるんだということを日本人は理解した方がいいと思います。
宗教としての反日。韓国はもっと日本から自由になれ

韓国は日本を絶対視しすぎています。だから宗教としての反日になってしまうんです。反日というのは宗教です。それがマトリクスとしての反日、仮想現実としての反日の本質です。
だから現実とはまったくかけ離れた仮想現実の慰安婦というものが出来上がっているわけです。
韓国はもっと日本から自由になってほしいと思います。反日反日と攻撃しながら、実はどんどん日本の懐に入ってきている。こっちはウザったくてしょうがない。そんなに嫌いだったら離れたところから見ればいいのに、そうじゃない。
歴史観もそうです。客観的に自分たちの歴史を見てほしい。客観的にとらえるようにすれば自分たちが自由になれるんです。具体的に言うと、日本の統治時代をどう評価するかです。よかったことはよかったと、客観的に認めれば済んじゃうことなんです。しかし、それが絶対にできない。
外交には友好国も敵国もない。日本はそれを忘れている

東アジアでこれからカギを握るのは日本です。中国と韓国のどちらと組むかなどというのはあとの問題であって、日本がしっかりしなければどことも組めない。
日本と韓国はパートナーであるべしというのは従来の見方です。それは戦後日本の東アジア外交の基底になっていたんですが、それを考え直さなければいけない時期に来ています。
今までの日本の朝鮮半島に対するスタンス、特に韓国に対する考え方は根本的に変えないとマズイと思います。また、アメリカと中国の両方と、日本は縁を切る覚悟を持たなければどことも外交はできないと思います。
大英帝国のヘンリー・ジョン・テンプル首相の有名な言葉があります。国家には永遠の友も永遠の敵も存在しない、存在するのは永遠の国益だけである、と。
日本の外交はこれを忘れすぎています。つまり友好国も敵国もないんです。国益だけを考えればいい。したがって別に韓国と仲良くする必要はない。国家にとって友好国も敵国もないんですから。それが本来の姿です。