尖閣何もせず…領土守る覚悟なし。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【風を読む】尖閣問題、野望の抑止はいましかない 

論説委員長・中静敬一郎





日本政府は尖閣諸島国有化に際し、実効統治を強化しない考えのようだが、中国があらわにしている尖閣奪取を抑止するには恒久的な施設の整備と公務員常駐が不可欠だ。なにもしないことは野望を膨らますことを手助けしかねない。

 日本が想起すべきは34年前の事件である。昭和53年4月、約100隻の中国漁船が尖閣に押し寄せ、うち16隻が海上保安庁の退去命令を無視して領海侵犯を連日繰り返した。

 しかも現地へ航空機で飛んだ海保の機長は中国漁船の4分の1が機銃を構えていたと証言した。武力行使もありうるとする威嚇の一方、中国側は微笑作戦を展開した。「(侵犯は)偶発的なもので故意でも意図的でもない」(耿飃副首相)、「今後、紛争が起きないように中国船は近寄らないようにする」(廖承志・中日友好協会会長)などだ。

 安倍晋太郎官房長官は「沖縄の漁船が使っていた避難港があるので、当面、これを改修していく。その時期は政治的に判断して決めたい」と語ったが、結局、福田赳夫内閣は日中平和友好条約締結交渉を優先し、甘言に飛びついた。園田直外相は「尖閣に漁港をつくるなど火種になるようなことをするのは得策ではない。実効支配はいままでの状態で十分と思う」と国会で答弁した。この頃の力関係は、海上自衛隊が中国海軍を歯牙にもかけなかったように日本優位であり、威嚇に粛々と対峙(たいじ)すれば相手は退くしかなかった。

だが、周辺国が見たのは、自らの領土を守るという国家意思と覚悟のなさだった。これが今日のような北方領土や竹島問題の体たらくを招いているといってよい。尖閣の実効統治強化も棚上げされたままだ。

 今なら、まだ日中の力関係は大きくかけ離れていない。統治強化策を実行し、かつ中国が言う対抗措置をはね返せる。だが、時間の推移は日本に不利に働こう。

 
威嚇に屈し、甘言に乗せられたことがいかに国益を損ない、禍根を残したかを知らなくてはなるまい。



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