【都道府県 伝統の教え】鹿児島県
鹿児島県十島(としま)村は屋久島と奄美大島の間に点在し、トカラ列島と呼ばれ、7つの有人島からなる南北約160キロに及ぶ「日本一南北に長い村」だ。どの島にも食堂はないが、学校だけは全島にある。小中学校が併設された複式学級で、マンツーマンに近い授業が行われている。学校行事には島民総出で参加するなど、教育熱心な土地柄だ。
7島に村立の小学校が設立されたのは昭和5年。それまで村では義務教育が行われていなかった。2年に奄美大島を視察した昭和天皇が船上で「あの島には学校があるのか」と質問されたことが、村立小学校開設のきっかけになったという。もっとも明治時代から、各島では村民の手によって私立小学校が設立されていた。
昭和30年代後半からの人口流出に伴い、村は平成3年、小中学校の活性化を目指して「山海留学生」の受け入れを始めている。
本土の小中学生を村内の家庭に年単位でホームステイさせ、豊かで厳しい自然の中で学校生活を送ってもらう試みで、毎年10人程度が留学。村では「留学生が増えれば、教師も増員され、伝統ある島の活性化につながる」としている。