生活保護の受給は全国でも大阪が飛びぬけて多く、その割合は18人に1人だ。なかでも西成区は、4人に1人と凄まじい。こういう風土だから、住宅ローンを理由に開き直るナマポ芸人の姿を見た大阪市民は、不正に怒るどころか、俺も俺もと大阪市役所につめかけて新規申請をはじめたと聞く。これは大問題だ。ところが、いつもは歯に衣着せぬ発言が持ち味の橋下市長が何も語らない。生活保護世帯ばかりの自治体ゆえに、ヘタなことを喋れば人気を落とすからだ。
橋下市長はもともと吉本興業 の芸人に見出されたタレント弁護士だ。橋下&維新のにわかブームは、吉本 を所有するマスメディア軍団が総力を発揮して作り上げた虚像だ。政治家としての国家観や理念はなく、政策提言も支離滅裂なのは舟中八朔でよくわかった。方向性は某宗教団体や反日政党に近いが、その辺りはオブラートに包み、とにかく大衆にウケル台詞を連発する。一言一言にメディアが騒ぎ、熱狂状態を演出する。それだけのことだ。
原発にしても最終的に再稼動容認と転じたが、これも政治的妥協と呼ぶほどの高度なワザじゃない。もともとエネルギー政策もへったくれもなく、放射能ヒステリー状態の国民相手にウケ狙いで反原発を唱えただけだ。ところが皆が冷静になって電力不足を懸念し始めるや、態度を豹変させた。正しい方向への豹変だから、文句をつけるつもりはないが、空気を読んでさっ舵を切るのが橋下流 だ。
原発再稼動は大阪市民の望むところだ。普段、おちゃらけているように見える大阪人だが、実は頭がよくて現実的だ。放射線医学会の権威や国連 科学委員会の分析データを持ち出すまでもなく、福島の放射能で健康被害が出ないことくらい誰もが知っている。電力不足で不便で不快な生活を強いられる謂れはない。
仮に停電にでもなれば大阪人はぶちきれるだろう。「何をしとんねん!」と怒鳴り、「クーラーくらい使わさんかい」と凄み、「ウチとこは扇風機やけどな」と笑いを誘うのが浪花の心意気だ。
さて、政治家たる者、目先の人気取りばかりでいいのか、と心中穏やかでない人もいるだろうが、それが大阪人の好みなのだ。かって横山ノックの人気は絶大だった。お笑い芸人として活躍する傍ら、長年、参議院 議員を務めあげ、圧倒的な支持を得て府知事になった。それらしい国家観も理念もないし、然したる実績もない。それでも庶民派のエロダコとして、まさに通天閣同様、大阪の顔だった。
昔はノック、今ハシモト。女子大生のお尻を触らない限り、橋下市長の人気は衰えないだろう。どことなくインチキ臭いところが、大阪で愛され親しまれる所以でもある。