自覚や資質養う教育再生を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【解答乱麻】参院議員・山谷えり子





この4月から使われている中学校教科書は良質になったと安心していたが、来年度から使用される日本史などの高校教科書の検定結果の発表を見ると教科書改善運動の方向は決して明るいとはいえない。

 例えば、中学校の教科書からは消えた「慰安婦」に関する記述が高校教科書では「日本軍兵士の性の相手である慰安婦として動員した」(実教出版)、「多数の女性が『慰安婦』にかりだされた」(東京書籍)と記されている。主語のない悪文なので、主語は誰かと文部科学省の担当者に聞くと「『かりだした』の主語は日本軍とはかぎらない」との回答であった。では誰かとさらに問うと、答弁できず、これでよく検定を通したと文科省の無責任さにあきれた。

 教育が史実に基づかない反日政治運動に翻弄されていいわけがない。

 鉄の女サッチャーの映画が上映中だが、ソ連と手をつないだ英国教職員組合の反英運動に対しサッチャーが教科書を守るため戦ったことは知る人ぞ知ることである。私は教育大臣らから英国を一方的に断罪するかのような教科書を見せてもらったことがある。「歴史には光と影がある。事実を年齢にふさわしくバランス良く教えるべきだ」と政権は教育再生を英国再生と位置付けて戦った。

 ところで今月6日(現地時間)、私はニューヨーク・マンハッタンから車で約30分のニュージャージー州パリセイズパーク市を有志国会議員と訪ねた。公立図書館の敷地内に「日本帝国政府の軍によって拉致された20万人以上の女性や少女」などと事実無根のことが記された慰安婦碑が建てられ、その撤去を求めるためである。この問題をめぐっては3月の予算委員会で私は野田佳彦首相に碑の記述は事実かをただした。

首相は「数値や経緯を含め根拠がないのではないか」と答弁されたが、その後、日本政府は撤去に向けた強い姿勢をとらず、在米日本人保護者たちから大きな悲鳴が届いた。“下劣な日本人”と、子供へのいじめが始まる不安や、韓国系米国人により、日本人学校で竹島を日本の領土と記した教科書を使うのは「偏向だ」と補助金停止運動が起こる中で、日本の名誉と教育の公正、史実を守ってほしいという声である。

 パリセイズパーク市は韓国系米国人が約52%に達し、市議の定数は6人で約1千票で当選できる。副市長も市議会議長も韓国系米国人である。私たち4人の議員団は当時の新聞や米国立公文書館の資料をもとに2時間以上にわたって市長や市議らに「軍による強制連行」の事実はなかったことを説明したが、市側は聞く耳を持たなかった。今後も互いに資料に基づき議論をしようと別れたが、その後、記念碑撤去と日本人への国際的嫌がらせを支持せぬよう求めるホワイトハウスへの請願が私たちの行動がきっかけとなり始まっている。

 歴史に対して謙虚であるべきで事実でないことの喧伝(けんでん)は慎むべきである。日韓、日米の友好関係が脅かされ、日本の名誉が損なわれ、子供たちがいじめられ悲しい思いをすることは許されることではない。

 左派の教職員組合や運動家は今も「日本断罪史観」がお好きらしいが海外の反日活動家らとの連携活動は米国や韓国では過激な形となり日本の名誉と国益を損なう。子供たちを守り日本国民としての必要な自覚や資質を養うための教育再生に一致団結して働ける日を願っている。

                   

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【プロフィル】山谷えり子

 やまたに・えりこ サンケイリビング新聞編集長、首相補佐官(教育再生担当)など歴任。1男2女の母。