民主党に公党の資格なし。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】小沢氏処分解除





民主党の小沢一郎元代表への党員資格停止処分について、党常任幹事会が解除を決めた。

 政治資金規正法違反事件で小沢氏を強制起訴した検察官役の指定弁護士は、9日に控訴の可否を判断する予定だ。だが、民主党はそれを待たずに「判決確定まで」と自ら決めていた期限を一方的に覆した。

 これは、公党の資格はないと宣言したに等しい。国民の信頼を自ら踏みにじっては、だれも民主党を信用しなくなるだろう。

 昨年2月の処分は、小沢氏の起訴だけではなく、元秘書ら3人が逮捕・起訴されたことや小沢氏が国会で説明責任を果たさなかったことも理由に挙げていた。

 小沢氏の政治的・道義的責任は問われ続け、説明責任を果たしていない状況も変わっていない。その答えを示さぬまま、小沢氏は党代表選への出馬も可能になる。処分の全面解除の是非にどれだけ議論が尽くされたのだろうか。

 この問題で輿石東幹事長は「党内の結束」を掲げ、処分の早期解除を主導してきた。消費税増税などをめぐり、党内に亀裂が生じるのを避けるためだろう。

 だが、政権を担う民主党に求められているのは、党内融和ではなく、対立を恐れて重要政策を決められない欠陥をどう是正するかだ。処分解除は根本的な問題の解決にはつながらない。

 野田佳彦首相は処分解除問題で自らの考え方を明確には示さず、「党に任せてある」と輿石氏に全面的に委ねてきた。小沢氏の早期復権を明言してきた輿石氏の判断を容認したともいえる。

 輿石氏は消費税増税関連法案の継続審議を図るとみられている。首相は輿石氏に采配を任せ、消費税増税に反対する小沢氏の発言権拡大も認めた。消費税増税に政治生命を懸けるとしてきた発言と、どう結びつくのだろうか。

 小沢氏は民主党のマニフェスト(政権公約)を重視する姿勢を取っている。これでは、与野党協議に必要なばらまき政策の撤回など、とてもできまい。

 首相は民主党代表として、党運営への責任も有している。だが、田中直紀防衛相ら問責決議を可決された閣僚の進退問題も輿石氏の判断に任せている。自ら重要な政治判断を下せないなら、首相の指導力はどこにいったのかと言わざるを得ない。