【都道府県 伝統の教え】滋賀県
滋賀県長浜市の旧浅井町田根地区では5人の偉人を「五先賢」と呼び、昭和初期から顕彰を続けてきた。
「五先賢」とは比叡山の高僧で難行として知られる「比叡山千日回峰行」の創始者、相応和尚(そうおうかしょう)、安土桃山時代の画家、海北友松(かいほうゆうしょう)、安土桃山時代の武将、片桐且元(かたぎりかつもと)、江戸時代の茶道・造園美術建築の巨匠、小堀遠州(こぼりえんしゅう)、江戸から明治の漢詩・書道の大家、小野湖山(おのこざん)の5人。同町では地域ゆかりの五先賢に学び、子供たちに「努力や忍耐の大切さ、創造することの素晴らしさ、寛容な心の大切さ」を教えている。
とりわけ学校教育で熱心に取り組んでいるのが田根小学校だ。同校では校歌に「五賢(ひじり)の血潮うけつぐわれら」とあり、同校で取り組む「五先賢学習」は地元では親子三代にも及ぶ伝統的な取り組みだ。現在では総合学習の時間などに「五先賢カレンダーつくり」や「水墨画」「茶道」「座禅」の体験、史跡探訪などがあり、研究者や識者を訪ね、五先賢の生き方に触れる機会もある。
郷土に誇りを持つとともに、地域で永く受け継がれている精神に触れながら、自らも生き方を見つめ直すのだ。