法相は粛々と職責全うを。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】死刑の執行






死刑囚3人の刑が執行された。千葉景子法相当時の平成22年7月以来、死刑の執行は1年8カ月ぶりだ。

 昨年はついに19年ぶりの「執行ゼロ年」となり、死刑確定者が130人を超える異常事態が続いていた。

 小川敏夫法相による執行の判断は法律に基づく当然のものだ。今後も粛々と法相の職責を全うしてほしい。

 民主党政権下では、柳田稔氏、仙谷由人氏(兼務)、江田五月氏、平岡秀夫氏と、4代の法相の下で執行ゼロが続いていた。

 死刑執行について、江田氏は在任中に「悩みながら勉強している。悩んでいるときに執行とはならない」と発言した。

 平岡氏も、就任時に「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できない」と語った。

 だが刑事訴訟法は、死刑確定から6カ月以内に刑を執行するよう定めている。「死刑の執行は法務大臣の命令による」とも明記している。就任後に悩むことなど求めていない。執行する覚悟を持つ者だけを法相に任命すべきだ。

 自民党政権時代にも個人的信条から執行を見送り続けた法相はいた。法相の勝手で執行の有無が決まるなら、「法の下の平等」が守られているとはいえない。

 また、退任間際になって執行に立ち会った千葉氏は「改めて根本からの議論が必要と強く感じた」と語り、死刑存廃論議に結びつけようとした。

 刑の執行は厳粛に行われるべきものだ。政治的パフォーマンスに利用すべきではない。

 小川法相は執行後の会見で「犯罪に対してどのような刑罰で臨むかは国民が決めること」と前置きし、世論調査で多くの国民が死刑を支持していることに言及した。「裁判員裁判でも死刑が支持されていることを重要な要素とした」とも述べた。

 平成22年に内閣府が公表した世論調査では、死刑を容認する意見が過去最高の85・6%に達した。今年で3年目を迎える裁判員裁判では、国民から選ばれた裁判員が評議に苦しみ抜きながら、それでもやむなしと多くの死刑判決を下している。

 国民に究極の重い判断を委ねておいて、政治家だけが職責から逃げることは許されない。