地元・石垣市の管理に移しては。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【40×40】山田吉彦





3月初旬、(中国・旅順の)二〇三高地を訪れ、およそ1万5千の英霊に手を合わせてきた。この小山の頂からは、旅順港を望むことができ、その先に広がる海は、黄海、そして東シナ海へとつながる。日露戦争時、この二〇三高地を制することは、ロシア海軍に打撃を与え、東シナ海の制海権を確保することにつながった。東シナ海を管理下に置くことは、日本の国土、国民を守ることに直結した。東シナ海の安全を確保しなければ、日本人が安心して暮らす国土が脅かされることは、現代においても同様である。

 東シナ海の安全保障において、もっとも注目されることは尖閣諸島の確保である。この島々が他国に支配されると、東シナ海の管轄権が削(そ)がれ、海底資源、漁業資源を失うことになる。さらに、日本の生活を支える海の道も閉ざされる可能性があるのだ。

 政府は、海の国境の基点となる39の無人島に名前を付けることを発表した。そもそも名前もないのでは、島を国土の一部として管理しているとはいえない。管理もできていないのでは、中国に「岩」であり、海洋権益が認められる排他的経済水域の基点とはならないと難癖を付けられることになる。日本は、ようやく島の管理の第一歩を踏み出した。しかし、対する中国の対応は早かった。中国政府民政部と国家海洋局は、すかさず尖閣諸島の周辺に点在する71の無人島に名を付けたことを公表した。中国は、「海島保護法」により離島を含めた沿岸部の管理を推進し、必要であれば島に標識を建てることにしている。この法は、地方行政が管轄するが、人民解放軍と調整の上、執行することになっている。

日本政府は、23地域の所有者不在の無人島を国有地としたが、尖閣諸島周辺の小島は対象外だ。これでは、いずれ中国の標識が建ち、中国軍の庇護(ひご)のもと漁民が住みつくことも考えられる。

 政府が尖閣諸島周辺の小島を所有しないのであれば、地元石垣市(沖縄県)の管理に移してはどうか。そして、米国、ASEAN諸国、台湾などの国際社会を巻き込みながら、地域住民と志のある国民が知恵を働かせて、島を守り、国を守るのだ。(東海大教授)