【戯言戯画】
野田佳彦首相 空気が分かっていただけるか。
ボクは千葉県西部にある“ドジョウ宰相”の選挙区の有権者である。地元では彼の人気もなかなかのものだった。伝説となっている駅頭での「朝立ち」。地元の名門高出身で、この地域で大きなコミュニティーを築いている自衛隊にお父さまがいらした、という点でもポイントを稼いでいた。首相になると、フツーのおばちゃんにしか見えない奥様はファーストレディーに。まわりでは「昔、ヨシヒコはねぇ」などと得意げにメディアに語ってみせる“にわかご学友”があふれ出す始末…。
あの騒ぎから4カ月余りか。相変わらず、わが日本は「沈みっぱなし」の「ナメられっぱなし」である。ところが、わが“ドジョウ宰相”ときたら、こんなどん底の非常時にあっても悠然。恥知らずの隣国大統領から謂(い)われなき罵倒を浴びても笑顔を絶やさず、“トンデモ大臣”らが失言を繰り返しても「党内融和」に勤(いそ)しみ、揚げ句の果ては「改造」も不発。「消費税」とともに自爆の気配である。
結局は“乱世のリーダー”じゃなかったということか。1970年代のアメリカで破廉恥なウォーター・ゲート事件にイヤ気が差すあまり“正直者ジミー(カーター大統領)”を選んでしまったのに似ている。前任者たちがあまりにウソつきでペテン師だったがために、いかにも誠実そうな“ドジョウ宰相”が誕生してしまった。
かくなる上は今一度駅頭で「国民の声」に耳を傾けてみるか。そうすれば一刻も早く総選挙を断行し民主党政権に去ってほしい、という空気が分かっていただけるかもな。
(喜多由浩)
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文化部記者が批判を承知で各界の著名人を“斬る”辛口コラム「戯言戯画(ざれごとざれえ)」は昨年3月から休載していましたが、今回から再開します。