「復興への道のりを末長く見守っていきたい」
今年1年、日本の国内外で様々なことがありましたが、3月11日に発生した東日本大震災は、言葉で言い尽くすことができない程衝撃的な出来事でした。あの日、東京でも強い揺れを感じましたが、その後の報道を見るにつけ、とりわけ東北3県の被害の大きさ、失われた多くの生命(いのち)や、そうした尊い家族などをなくされた方々の今なお続くであろう深い悲しみを思い、とても心が痛みます。震災後、あまりの被害の大きさに、私自身とても辛い気持ちでおりましたが、被災され、厳しい状況に置かれた方々のために何が出来るのかを考えながら、専門家の方々のお話を伺うとともに、4月に都内、5月に埼玉県に避難された方々のお見舞いに伺い、その後、宮城、福島、岩手の東北3県の被災地を訪れ、被災された方々をお見舞い致しました。
被災者の方々に直接お会いし、それぞれの方の様々な思いを伺う中で、この方々のお役に少しでも立てたらと思ったことや、厳しい状況にある被災地の方々から、逆に私の体調のことをお気遣いいただき有り難く感じたことなどが昨日のことのように思い出されます。今でも、お会いした方々一人一人のお顔や伺ったお話がよく思い出され、被災地で苦労しておられる大勢の皆さんのことを思わない日はありません。被災地はこれから厳しい冬を迎えることと思います。
これからも、被災地の方々の思いを深く心にとどめ、一人一人の方の今後の幸せを祈り続けながら、復興への道のりを末長く見守っていきたいと思います。
また、愛子の学校のことが私の生活の中で大きな部分を占めてきた年でした。
この問題では、多くの方にご心配をいただいていることと思いますが、昨年から、皇太子殿下とご相談をしながら、どうすれば愛子が安心して学校に通うことができるようになるか、そのために、親として何をしてあげられるのか、日々考え、力を尽くしてまいりました。学校とも相談を重ねてまいりましたが、愛子の学校への付き添いは、与えられた状況の中で唯一取れる可能性として続けてきたものでした。
そして、今年の9月には、学校からも参加をすすめられ、愛子自身も是非参加したいと希望した、山中湖での2泊3日の校外学習がありました。この時、先生方のご配慮を頂き、私が少し離れて付き添う形で、全行程一人で、お友達の皆さんととても楽しく参加できたことが、学校生活に戻っていく上での大きな自信と励みになったように感じております。そして、このことは、学校の先生方もとても喜んで下さり、ありがたく思っております。その後、愛子が私の付き添いなしに通学する日も増えてくるなど、段々と良い方向に向かってきていると思います。また、愛子は、4年生になり、学校の特別クラブの活動として管弦楽部に入部し、お友達と一緒にチェロの練習に励むなど、これまで以上に様々な分野に関心を持ち、色々なことに取り組んできております。
一つ一つ成長していく子供の姿をみることは嬉しく、私にとり、日々の励みになっております。
今後とも、愛子が安心して学校生活を送ることができるように、愛子自身の気持ちをよく聞きながら、学校の理解と協力をお願いしつつ、私も出来る限りの手助けをしてまいりたいと思っております。
このような中にあって、天皇皇后両陛下には、温かいお心遣いをいただきながらお見守りいただいておりますことに心からお礼を申し上げます。天皇陛下には、先頃ご退院になられましたが、お後も、呉々もお大事になさって頂きますよう心よりお祈り申し上げます。また、皇太子殿下にもいつも変わらずお支えいただいていることに感謝申し上げております。
国民の皆様には、私自身や、愛子のことにつき、日頃より温かい気持ちをお寄せいただき、この機会に厚くお礼を申し上げたいと思います。
私自身、引き続き快復に向けての努力を続けながら、愛子に必要な手助けをしていくとともに、被災地を始め困難な状況にある方々に心を寄せていきたいと思っております。これからも温かく見守って頂ければ幸いに存じます。
東宮職医師団見解全文 週刊誌の誤報「心を痛めていらっしゃる」
東宮御所で談笑される皇太子ご一家 =11月23日(宮内庁提供)