直ちに「全員参加」に戻せ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】全国学力テスト 




小学6年と中学3年を対象に行われた平成23年度全国学力・学習状況調査(学力テスト)で、文部科学省に問題配布を希望した学校が全国の76・2%を占めた。

 学力テストは民主党政権下で「過度の競争を招く」とする日本教職員組合(日教組)の主張に沿う形で全員参加から抽出方式に変更された。

 だが、テストを希望する学校が多い実態は、日教組や政府方針の誤りを明確に示している。野田佳彦政権は学力テストの需要の高さを真剣に受け止め、速やかに全員参加に戻すべきだ。

 学力テストは昭和30年代、中学生対象に行われていた。だが、日教組の激しい反対闘争で国は昭和39年を最後に実施をやめた。

 その後、「ゆとり教育」の下で児童生徒の学力低下が表面化し、教育のあり方に不信が拡大した。これが「教育水準の維持向上」という国の責任を明記した教育基本法改正につながり、学力テストも平成19年度から43年ぶりに全員参加方式で復活した。

 ところが22年度から、競争原理の排除や50億円超に及ぶ費用の問題などを理由に全員参加から「サンプル抽出」方式に改められた。さらに、対象の児童生徒数も当初は全体の4割抽出だったのが、行政刷新会議の事業仕分けにより3割抽出に減らされていた。

 保護者だけでなく学校、教師らも「子供が普段の授業内容を身に付けているかを知りたい」と全員参加のテストを望む声は強い。今回も、秋田、広島などの14県で希望校は100%に達した。

 学力テストは教師が授業を工夫する上でも多くのヒントになる。同一条件下で継続調査を蓄積して初めて読み取れる傾向もある。授業をやりっ放しで済ませるような姿勢こそが問題なのだ。

 文科省は専門家検討会議が「数年ごとにきめ細かい調査が必要」とした報告を受け、25年度のみ全員参加で行う。24年度は「理科離れ」対策として国語と算数・数学に理科も加えるなど一定の改革を決めた。だが、到底十分とはいえず、改革を加速すべきだ。

 一方、国も地方もテスト結果の公表に消極的だ。「競争を煽(あお)る」との批判が根強いためだが、学力テストを真の学力向上につなげるには子供や親にも結果を明かし、学校や地域単位で教育を見直していくことが欠かせない。