【都道府県 伝統の教え】愛知県
子供たちの模範として学校教育を通じて地域の偉人を語り継ぐ取り組みは愛知県にもある。
朱子学や陽明学をきわめた学者としてだけでなく西洋画の遠近法などを取り入れた画家としても名高い渡辺崋山。40歳で田原藩(現在の愛知県田原市)の政務を司る家老として貢献し、天保の飢饉(ききん)では一人も餓死者を出さなかったことで知られる。
同市の小学校には今でも渡辺の生涯を記した「渡辺崋山少年物語」と題した図書が配布される。
今年夏には、市内の博物館が崋山を含む地域の偉人19人を焦点にしたパンフレット「田原の文化財ガイド2ふるさとの偉人を訪ねる 田原を築いた人びと」を作製。ふるさと学習の一助とする、地道な取り組みが続いている。
市教委によると、田原城址(じょうし)近くにある小学校の学芸会では「崋山劇」が長年続いており、上級生の代表らが立志の場面などを演じる取り組みが30年以上にもわたって続いているという。
外国の事情に通じていたことから蛮社の獄でとらわれの身となり、その後、藩主に災いが及ぶ事を恐れ、自刃し49年に及ぶ生涯を終えた崋山。同市では「わがまちに崋山あり」と掲げ、激動の時代を先見性豊かに生き抜いた彼を地域の偉人として顕彰を続けている。