【外信コラム】ポトマック通信
ニューヨーク州ウエストポイントにある米陸軍士官学校に東海大学柔道部OBの大川康隆コーチが招かれ、同校の柔道部の学生たちを9月上旬の一日、指導した。日本の現役の柔道指導者が直接に同校を訪れることは近年、初めてだという。
実は大川コーチはワシントン近郊の海軍士官学校の柔道指導を要請されての米国訪問だった。だが同校では3週間ほどの指導予定であることを陸軍側が知って、「一日ぐらいはウエストポイントにも」という招待となった。
もっとも陸軍士官学校の柔道部ではかねて日本の若手指導者の来訪を、つい最近までワシントンの日本大使館の防衛駐在官だった納富中陸将補に頼んでいたという経緯もあった。
その日は大川コーチと助手の鍋倉義盛二段にワシントンから防衛駐在補佐官の河口弘幸2等陸佐が同行し、陸軍士官学校を訪れた。同校では2時間余り、三十数人の米国人学生を相手に大川氏らは立ち技、寝技両方の実技をたっぷりと指導した。
大川氏は「学生たちはまだそれほど強くはないが、みな驚くほど熱心に練習をしていました」と語る。日本の柔道も今回の世界大会では不振だったが、総合的な水準はまだまだ高く、有益な日米交流の貴重な素材となったようだ。
(古森義久)