櫻井 たった今、雨の中の新幹線から古屋圭司さんが駆けつけてくださいました。
自民党拉致問題対策特別委員長です。古屋さん宜しくお願いいたします。
◆野田新内閣を占う最初の試金石が朝鮮高校への支援金問題への対応
古屋圭司(拉致議連幹事長、自民党拉致問題対策特別委員長)
大変遅れまして申し訳ありません。天災には勝てないということで、新幹線が1時間以上遅れてしまいました。でも間に合ってよかったです。新幹線の中でパソコンを打って、櫻井さんにメールして、もし私が間に合わなかったら読上げてくださいねと、出しましたが、何とか間に合いました。
今日は、拉致議連会長の平沼赳夫議員が出席する予定でしたが、出張が入って
しまい、どうしても今日は来られないということで、私は拉致議連幹事長であり、同時に自民党拉致問題対策特別委員長を兼ねておりますので、二つの立場からご挨拶をさせていただきたいと思います。
政権が代わって丸2年です。3人目の総理大臣が先日誕生しました。しかし、拉致問題担当大臣は、今日ご出席されて、もうお帰りになられた山岡大臣で5人目です。私は、本当にこの拉致問題に対して、まなじりを決して今の政府が取組んでいるのかどうか、強いメッセージが北朝鮮に伝わっているのかどうか、おそらくここにお見えの皆さん方も同じような忸怩たる思いで出席されていると思います。私たち、議員連盟に所属する人間、あるいは自民党の対策本部の人間としても思いは共通です。
そうは言っても、今度野田総理大臣が誕生しました。私は、どんなことがあっても、この拉致問題については徹底的に厳しい態度で臨んでいただきたい。そのことを皆様と共にエールを送りたいと思います。是非そういうふうにしていただきたいという皆さんと共通の思いです。
しかし、色んな問題を抱えているのも事実です。例えば、去る8月29日、菅総理が辞める直前、ある意味では空白の一日というか、この期に及んでと言うか、朝鮮高校の無償化手続きを開始することを突然指示しました。我々議員連盟も、あるいは自民党もこの問題については一貫して反対の立場です。それは当然でしょう。
例えばあの朝鮮高校は、ご承知のように、朝鮮総連の事実上の下部組織でもありますし、金正日の独裁体制を支援するための教育機関でもあります。そして私たちは、何といっても北朝鮮に対して厳しい制裁をかけています。要するに1円の税金も投入していないんです。
それだけに止まりません。拉致問題で誤ったメッセージを発することになりかねないということで私たちは、これは断固反対の意を唱えていました。
しかし、この期に及んで、どさくさに紛れて指示しました。その理由は1年前の11月の、あの延坪島度の砲撃事件以前の状態に戻ったということが根拠だそうです。全く変わってないじゃないですか。8月の10日、彼らはもう1回海上に砲撃していますし、何といっても、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、「この状態はまだ安定からは程遠い」とはっきり言明しているじゃないですか。
では、どうやって前の状態に戻ったということを検討したのか。これも明らかになってませんよ。ましてや私たちが問題にしているのは、この手続きそのものに正当性がないということです。外務大臣の記者会見を、私はつぶさに議事録を見ました。外務大臣は、「色々慮って、多分こういうことを考えながらやったのでしょう。そういうことを想定してます」ということは言いますが、自らが関与して、総理大臣と綿密に打合せをしながら、時には韓国とも連携をとってこれを判断したということは、全くうかがい知ることができません。
それだけに止まらず、中野前拉致担当大臣には全くこのことが伝わっていないし、また事前に相談がなかったこともはっきりしました。だからこそ我々は、先週の水曜日(9/14)に、自民党の合同部会を開いて、自由民主党としてこの問題を絶対に再開してはならないとの決議をし、そして新しい内閣にも申し入れをしました。
野田新内閣は50%から70%の支持率と報道されています。私は頑張っていただきたいと思います。しかし、この支持率が本物かどうか、これを占う最初の試金石がこの朝鮮高校への支援金問題でどういう対応をするかということにかかっているんです。敵に塩を送る必要は全くありません。
私はこの問題で、我々議員連盟としても是非反対であるということを、平沼会長から、このことを伝えていただきたいということで今日私がご報告をさせていただきました。
私は試金石という話をしましたが、そういう意味ではいくつかの問題があります。まず、菅前総理初め民主党の複数の議員が、拉致実行犯と不覚関与する政党、あるいはその関連団体に、また関連の市会議員、県会議員も含め、なんと3億円に近い額を不明朗な形で資金提供している問題です。
私はこのことについて予算委員会でも指摘をさせていただきましたし、また複数のメディアで報道されました。菅総理が辞めてもこの問題は一切解決していないのであり、野田新総理にはこの実態の解明とはっきりした説明責任があると思います。
もう1点あります。実は日本は2006年に制裁強化をして、北朝鮮籍の人間を一切表玄関から日本に入れないことを決定しています。しかし、今年7月には、OCA(アジアオリンピック評議会)の役員が入国しました。
そして9月、ワールドカップサッカーの予選で北朝鮮の選手を入れることが決定されました。確かにIOC(国際オリンピック委員会)とかFIFA(国際サッカー連盟)の規約を見ると、例えば人種や政治的な問題に一切関与してはならないということがはっきり謳われており、私も承知しています。
しかし日本は、国家の意思として北朝鮮籍の人間を一切入れないということを国家の意思として決定しています。私も委員会で質問させていただきました。「こういう制裁を課しているということをFIFAやOCAにしっかり伝えたのでしょうか」と。そしたら、「そういうことは全くしていません。お任せしています」と、こういうことです。私は、FIFAが当事者ですし、決定を出すわけですから、
おそらく結論は変わらないと思います。
しかし、一方で日本の意思をはっきり示すべきだと思います。例えサッカー連盟であろうが、スポーツであろうが、しっかりと意思を伝えるということが、北朝鮮に対する牽制にもつながります。逆にそういうことをしないと、足元を見られてしまうことになりかねないのではないでしょうか。
これから西岡先生も発言されると思いますが、金正日が3回も中国に行った。異例のことです。しかもまともな支援は得られていないでしょう。相当焦っていますね。そして頼みの綱であった統治資金が枯渇している。こういうことですから、拉致の一部解決で凌ごうとしているという報道がさかんに流れています。
私は、そんなことは絶対に許してはいけないと思います。彼らが再開を反故にしてからちょうど3年経ちました。いよいよ野田新総理のもとで、拉致問題についても、北朝鮮問題についても、厳しく、厳しく、まなじりを決して対応していただく、このことを私たちは強く、強く求めたいと思います。
最後に、松原議員からも話があったと思いますが、拉致議連として、また家族会・救う会合同で、一昨年に続きアメリカに行って、ワシントンで政府関係者、議会関係者に精力的に要請をしてきました。テロ支援国再指定、それから食糧支援は絶対してはだめということ、3つ目は拉致問題でももっと日米と連携してください、と。一定の成果があったと思います。
しかし、まだまだ拉致問題の全面解決にはほど遠いんです。もう時間があまり残されていません。みなさん是非、再度結集して、この新しい内閣に対して、そして拉致担当大臣に対して強く働きかけをしていこうではありませんか。拉致担当大臣は今、議員連盟に入っておりません。だから即刻入っていただこうと。大臣だって入っていただけます。多分入っていただけるでしょう。そういった意思をしっかり示していきましょう。そして拉致問題解決に向けてみんなで取組んで
いこう、このことをお約束し、決意表明をして、拉致議連幹事長そして自民党拉致対策特別委員長としてのご挨拶に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
櫻井 古屋さんありがとうございました。古屋議員の問題提起は多岐にわたり、有意義なものであったと思いますが、再度ここで確認をしておきたいと思います。
菅直人さんの個人的な政治資金管理団体から6250万円、民主党の複数の議員から合わせて3億円以上が「市民の党」及び「政権交代をめざす市民の会」に渡っています。このお金は約85%が税金だと考えておくべきだろうと思います。
私たちは、このようなわけの分からない政党や団体に、税金から支援をするために一人250円の政党助成金という税金を払っているわけではありません。私たちの監視の目が届かない所で、このようなよこしまな政治資金の使い方をするような人々には、どうしても私たちは支持を与えるわけにはいかないのです。こ
のことだけは本当に心に刻んで、そして政権が交代したからこの問題は終わりだというのではなく、国会で菅さん初め、「めざす会」、「市民の党」に献金をした人々のきちんとした説明を求めていくのも、拉致問題解決のための必要な一歩かと思います。