さらなる攻撃の前触れ? | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【朝鮮半島ウオッチ】金正恩大将の韓国挑発が再開。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110820/kor11082007110002-n1.htm



北朝鮮の軍事的な対南挑発が9カ月ぶりに再開した。軍事路線を強化する金正恩氏の指導は、世襲作業と連携して来年に向けた仕上げ段階に入っているとみられる。北朝鮮軍の北方限界線(NLL)付近への砲撃(8月10日)は、米韓合同軍事演習(8月16-25日)への牽制(けんせい)との分析がある一方で、金正日総書記が砲撃前に平壌の海軍司令部を視察していることから、さらなる対南挑発の前触れとの見方も出ている。(久保田るり子)


金総書記の新たな指令?


 北朝鮮は砲撃の翌日(11日)に事実関係を否定し「韓国の捏造(ねつぞう)」と対南批判、「爆撃音は建設工事の爆音だった」と主張した。だが、北朝鮮黄海南道の竜媒島(リョンメド)から発射された2回の砲撃(13時、19時46分)は130ミリ海岸砲で、2発がNLLの韓国側に着弾。韓国軍はまず警告を行ったあと着弾から約1時間後に応射。2回目の砲撃には約15分後に応射した。

 韓国軍の慎重な対応には、昨年の韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件や延坪島砲撃後に決まった「即応体制」に反するとの批判もあるが、着弾点の確認など北朝鮮軍の動きなどを見極めたためとされる。

韓国側が北朝鮮軍の動向に神経をとがらせたのは、金正日総書記、金正恩氏(朝鮮労働党中央事委員会副委員長)が7月末に海軍司令部を訪問しているため、今回の砲撃の意図や後続の作戦など全体像を探ったとみられる。

 「金総書記は司令部の訪問で何らかの指令を下すのが通常」(軍事専門家)である。金総書記は2002年5月に海軍司令部を訪問しているが、この約2カ月後には北朝鮮の警備艇がNLLを越え韓国の高速艇を攻撃した第2次延坪海戦が起きた。また、昨年3月の哨戒艦撃沈事件の約4カ月前には、金総書記は南浦市にある西海艦隊司令部を訪問している。

 また、金正恩氏が実質、軍のナンバー2となった中央軍事委副委員長就任(昨年9月28日)の前後に哨戒艦撃沈事件、延坪島砲撃が起き、いずれも「正恩大将の実績作り」(同)とみられているため、米韓両軍の最大関心事はまさに「金正恩氏のさらなる対南挑発」である。

 今回の2回目の砲撃は夜間だった。通常の演習は視界のいい昼間に行われる。異例の夜間攻撃は、延坪島事件以降に整備された韓国軍の即応能力を試す意図があったのではないかとの分析も出ている。

米韓両軍が実施中の「乙支フリーダムガーディアン演習」は、朝鮮半島有事に備え韓国軍の防衛力強化が目的の年次合同訓練だ。例年、韓国軍が5万人以上、米軍は3万人規模で参加し、一部の米軍はコンピューターで米本土から作戦に加わる。訓練には、南北の紛争海域、NLL付近の軍事管理も入っている。


「金正恩氏の若さは危険だ」


 韓国は砲撃を受けた翌11日に統一省が、「北朝鮮への水害被害に関する人道支援については継続する方針」を明らかにした。

 北朝鮮は7月下旬の豪雨で大きな被害が出た。韓国はこれに人道支援を申し出た。砲撃のあった10日は、韓国政府が大韓赤十字を通じ50億ウォン(約3億8000万円)の乳幼児向け食品やインスタント・ラーメンなどを送ると北朝鮮に通知した日だった。

 韓国には「対話ムード」を維持したい事情がある。北朝鮮の核問題をめぐり、米国と北朝鮮の直接協議(7月28、29日)が1年7カ月ぶりに動き出したばかり。だが、昨年の北朝鮮による2件に挑発事件後の南北間の軍事緊張はすでに1年以上続いており、韓国側が緊張緩和に妙手を見いだせないことに「米国がいらだっている」(外交筋)からだ。

また、韓国は国会議員選挙(2012年4月)と大統領選挙(同12月)という“政治の季節”を控えている。「軍事対立による戦争か、対話路線への変換による平和か」を問われる内政事情からも、李明博政権は北朝鮮との緊張を緩和したい時期にさしかかっている。

 一方で、北朝鮮が得意なのは、南の政治情勢を利用した政治謀略・政治工作だ。緊張を予感させ、危機感をあおりながら支援を獲得しようという「瀬戸際外交」の出番だ。ただ、金正恩氏への世襲過程の「緊張と対話」は、今秋から来春の2月16日(金総書記誕生日)にかけ、再び緊張(軍事挑発)局面を招来する危険性を指摘する声が少なくない。

 韓国の専門家は「3度目の核実験は後継者の正恩氏の業績となり、海外や韓国への圧迫・威嚇手段となり得る」と分析する。日本の軍事専門家も「準備状態からいって、ミサイル発射や核実験は短時間で実行が可能。金総書記の政治決断次第」と述べる。

 7月中旬に就任したジェームズ・サーマン米韓連合司令部司令官(在韓米軍司令官を兼任)は「金正恩氏の若さと経験不足は誤算を犯す可能性を持つ。正恩氏は軍部の強硬派の支持を得ようとする行動を取っている」(米上院軍事委員会)と証言している。