国益にかなう成果は疑問。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【主張】日中外相会談

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110705/plc11070503140009-n1.htm






松本剛明外相が訪中し楊潔●外相と会談した。次期指導者の習近平国家副主席にも表敬訪問した。中国の巧みな外交演出をうかがわせる。

 しかし、日本にとって重要なのは、国益にかなう成果を挙げたかどうかだ。残念ながら今回は否定的に見ざるを得ない。「大変有意義な意見交換ができた」との松本外相の言葉とは裏腹に、日中間の懸案は解決に向けて具体的な進展はみられなかったからだ。

 中国が東シナ海や南シナ海で実力行使を含む海洋活動を展開していることについて、松本外相は関係国間の緊張が高まることへの「懸念」を伝え、「そうならないよう中国を含む関係国と協力していきたい」と表明するにとどまった。これでは中国に一方的行動の自制を促すことにはならない。

 松本外相はまた、中国に対して「航行の自由」など国際的行動規範の順守を迫った先月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表についても説明した。楊外相は「日米同盟は2国間の範囲に限定されるべきだ」などと公式見解を述べるにとどまった。

 両外相の会談はこれで3度目である。だが、今回も昨年9月の中国漁船衝突事件をふまえた危機管理の「海上連絡メカニズム」の構築促進や昨年7月以来、中断されたままの東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉の早期再開を追認しただけだ。

 今回の日中外相会談では、日本側の主権意識の希薄さが浮き彫りになったといえる。

 1つは中国の調査船が先月下旬、宮城県沖合の日本の排他的経済水域(EEZ)で事前連絡なしに行った「放射能調査」であり、もう1つは外相会談の前日に明らかになった中国の漁業監視船による沖縄県・尖閣諸島の接続水域境界付近への接近だ。この2つについて松本外相が毅然(きぜん)と抗議しなかったとすれば極めて遺憾だ。

 主権と国益を守る戦略と具体的な行動が必要だ。例えば沖縄・南西諸島の防衛はほとんど空白だ。陸上自衛隊の混成団(那覇市)は旅団に格上げされたが、沖縄本島以南への陸自部隊の早急な配備が望まれる。

 会談では来年の日中国交正常化40周年に向けて、文化や人的交流を強化する方針も確認された。だが、こうした対中融和の前にやるべきことは山積している。

●=簾の广を厂に、兼を虎に