花道と聞いてもスラム ダンクくらいしか思い浮かばない人は放っておく。花道と云えば、やはり歌舞伎。舞 台の下手から伸びる通路を「花道」と呼び、巧みに3D効果と臨場感を演出するのだから、日本の伝統芸能は凄い。花道を通って出入りする役者が、途中で立ち止まって見栄を切る。観客は「待ってましたっ!」と絶叫し、やんやの喝采です。
花道で有名なのが、勧進帳は武蔵坊弁慶の飛び六法。安宅の関で富樫の執拗な追及をかわし、義経一行を先に逃がす。自らの度胸と機転で危機を脱した弁慶、かっと目を見開いて決めポーズ。腕を大きく上げたかと思うと、勢いよく足を踏み鳴らし、義経を追って花道を走り出す。笛や太鼓のリズムに乗って、だーん、だーん、だーん、だんだんだんだんだん。「成田屋!」なんて掛け声。いやあ、興奮しちゃいます。
さて、菅首相。辞任にあたり花道を用意するの、しないのと議論がある。一方、本人が花道論に乗らないって話もある。舞台から引く場面だからこそ、それなりの演出もあるのだろうけど、なぜ、この人に花道なの?
外交失政で国益を喪失させ、原発事故で人災を広げ、震災復興を放ったらかしにする男。なんたって村山や鳩山と並び、憲政史上、最低の首相です。
自民公明の執拗な辞任要求をひらりとかわし、逃げ仰せたつもりかも知れないが、安宅の関とは趣旨が違う。嘘と方便で延命が図れるほど政界は甘くない。
辞任となれば、「待ってましたっ!」って、皆が叫ぶだろうけど、ま、それだけの話。仮に花道で見栄を切ったって、「直人屋!」なんて掛け声は絶対にかからない。むしろ、「売国奴!」「嘘つき!」「バカヤロー!」なんて観客から絶叫され、石のひとつもぶつけられるのが関の山です。
悪いことは云わない。さっさと菅さんを舞台から引き摺り下ろしたほうがいい。こんな首相に花道を用意すること自体、日本の伝統文化に対する冒涜。歌舞伎ファンが怒り出します。