『坊っちゃん』を生んだ名門校。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【都道府県 伝統の教え】愛媛県



学校を舞台にした小説やドラマは多い。古くは『二十四の瞳』、近年は『金八先生』『ごくせん』など世相も映し、さまざまな教師像が描かれてきた。最近では中学の教師や生徒をリアルに描いた異色の漫画『鈴木先生』(武富健治作、双葉社)がテレビドラマ化され話題にもなっている。

 だが、多くの人が親しんでいる一冊を挙げるとすると、夏目漱石の『坊っちゃん』ではないか。舞台は、漱石が新人教師として赴任した明治28~29年の愛媛県尋常中学校(現在の県立松山東高校)がモデルだ。

 作品では主人公が同僚教師らにあだ名をつける。数学教師に似合わない体格で人望がある「山嵐」のほか、官僚的な教頭は「赤シャツ」、優柔不断な校長は「狸(たぬき)」など、現代にもいそうな忘れがたいキャラクターばかり。

 松山東高校は、松山藩の藩校「明教館」からの歴史があり、司馬遼太郎の『坂の上の雲』の主人公の秋山好古、真之兄弟や正岡子規らを輩出した名門校。女子ボート部の活躍を描いた映画『がんばっていきまっしょい』のモデルにもなった。「がんばっていきまっしょい」は部活などで伝わる気合のかけ声だという。

 文武両道、たくましい気力、体力を身に付けた人材を育てている。