【産経抄】4月20日 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







大地震が起きたとき、菅直人首相は国会内での参院決算委員会に出席中だった。この日の朝、外国人から首相への違法献金疑惑が一部のマスコミで報道され、委員会で厳しく追及されていた。まさに「針のむしろ」状態だった。

 ▼そうでなくとも内閣支持率は10%台に落ち込んでいた。次の日の小欄も、囲碁や将棋を例に「そろそろ投了の時期では」と書く予定でいた。だがあの悪魔のような大津波はそんな政治状況も一気に押し流してしまった。国会での追及も「休戦」となった。

 ▼あの日から40日がたち、支持率は多少上がったとはいえ20%台に低迷中だ。フジテレビ「新報道2001」の世論調査では、3分の2以上の人が大震災復興を「任せられない」としている。菅政権に向ける国民の目は大震災後も一段と厳しくなってきた。

 ▼ところが首相はどう勘違いしたのか、「続投」に意欲をお持ちのようだ。復興で「見せ場」をつくれば人気はすぐ取り返せると期待しているのか。それとも、就任以来の数々の「失政」も大震災によって国民から忘れさられると、都合良く思っているのだろうか。

 ▼しかしそうは問屋が卸さない。昨年秋の中国漁船衝突事件で那覇の検察審査会が中国人船長を「起訴相当」と結論づけた。釈放したうえ起訴猶予とした検察への罰点だ。いや中国側に何一つ言えず、ビデオも公開しようとしなかった菅政権の外交姿勢に国民目線で「ノー」を突きつけたといえる。

 ▼このことこそが、菅内閣の凋落(ちょうらく)の始まりだった。国家意識がまるでないという政権の恥を満天下にさらしたのである。そんなことを思い出した以上、改めて国家再建などという「大事」は任せられないという気になる。