復興願う「雄勝硯」 室町時代から600年。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【都道府県 伝統の教え】宮城県



東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県。中でも壊滅的な被害を受けた沿岸部の雄勝(おがつ)町(石巻市雄勝町)は、約600年の歴史がある「硯(すずり)の町」としても知られていた。

 雄勝町は平成17年に石巻市などと合併した。三陸のリアス式海岸の湾に面し、ホタテやカキなどの養殖が盛んなほか、「雄勝硯」は国の伝統工芸品に指定され、国内産の硯では生産シェア8割だったという。

 関係者によると、雄勝硯の歴史は、約600年前の室町時代にさかのぼる。手彫りの昔から、高い技術による使いやすさと上品で美しい形で知られ、戦国武将の伊達政宗が牡鹿半島に鹿狩りの際に献上された硯をほめ、長く愛用したというエピソードもある。

 専門紙の書道美術新聞が、硯業者らの活動拠点でもあった町中心部の伝統産業会館が深刻な被害を受けたことなどを伝え、「筆墨業界にも衝撃を持って受けとめられている」と報じるなど書道界でも震災直後から心配する声がでていた。

 硯の原料の採石場や生産工場なども被害を受け、復旧、復興への道のりは険しい。一方で職人、業者から「時間はかかるが絶対に復興させたい」などの声も伝えられている。一日も早い再興が願われている。