海自と海保連係プレーで81人救助も 宮城県名取市の救助は難航。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





【東日本大震災】



続々と判明する孤立被災地。12日には、宮城・石巻港沖で漂流していた船の乗員81人を海上自衛隊と海上保安庁のヘリコプターが共同作業で陸上自衛隊霞目駐屯地(仙台市若林区)に搬送するなど、必死の救助作業が続いた。

 12日午前5時33分。夜が明けてまもなく、海自ヘリが、がれきの流れる石巻港沖で漂流する建造中の船を発見した。81人の乗員に対しヘリの収容人数は10人。複数のヘリが同時に作業することはできないため、同機と海上保安庁のヘリによるピストン輸送が始まった。

 救助はヘリから船上にワイヤをぶら下げ、足や腰をワイヤに金具で固定して引き揚げる仕組みだ。「降下した海自クルーがワイヤの取り付けをしたり、気をなだめたりして救助にあたったのだろう」とある海上自衛官はみる。

 ヘリの燃料は2時間しか持たず、10人ごとに霞目駐屯地に運んで給油する間に行き違いに海保のヘリが救助を続けるピストン作業が続けられた。防衛省は「海自と海保のパイロットは操縦士の免許を取るため1年半一緒に勉強する」と熟練の連係プレーを強調する。

一方、津波の濁流にのみ込まれた宮城県名取市では困難な作業が続く。同市内では家屋に十数人が取り残されている、という情報が入っていた。だが、周辺はがれきの山が多く、粉(ふん)塵(じん)を巻き上げて周囲に危害を与える可能性が高いためにヘリが使えない。

 11日夜にはブルドーザーなどを備えた陸自東北方面隊の第2施設団が派遣されたが、救助の報は入ってこない。「がれきの撤去にはブルドーザーが必要だが、まだ人が残っているかもしれないから慎重にやらざるを得ない。明日中にできるかどうか」。施設団勤務の長い男性自衛官は仲間の気持ちを推し量った。