根付く日本の桜。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






【外信コラム】台湾有情



1月は台北も40年ぶりの寒さだった。曇天に冷たい霧雨の毎日には気分がめいったが、2月末から20度を超える晴天の日もあり、急に春めいてきた。そこで地元情報を頼りに新北市(旧台北県)淡水区を散策したところ、ソメイヨシノの桜並木に出合った。

 桜並木は上りの舗装路2キロ弱の両側に数メートル間隔で続く。まだ2メートル前後の小木が多く満開とまではいかないが、淡いピンクの可憐(かれん)な花々にしばし心を癒やされた。

 地元客でにぎわっていたが、小さな花びらを大切な宝のように撮影している若者の姿が印象的だった。台湾の人々も花好きだが、とりわけ日本の桜は珍重されているようだ。

 台湾原生種のヒカン桜はトロピカルな紅色で2月に満開になるが、日本の桜は1カ月ほど遅い。日本の桜がさらに普及すれば、台湾ではかなり長い間、2つの桜を楽しめることになる。

 淡水の桜並木は日本の「神奈川東」と「津島(愛知県)」の2つのロータリークラブが2007年に寄贈したものだった。

 この分野の“ご本家”は日本李登輝友の会(小田村四郎会長)で、03年からこれまでに各地で計4千本を寄贈した。1万本が当面の目標という。桜をめでる心で日台は深くつながっている。双方の協力で台湾全土を桜色に染めたいものだ。


(山本勲)