先日、外画吹替のお仕事に参加させていただきました。
大変ありがたいことに先輩方の収録を見学させていただくこともできましたので、そのことについても記述していきます。
まず、収録のスピードがとても速いことに驚きました。
一気に15ページ分ほど本線を収録し、それから別線の収録、状況に応じて別パターンのお芝居でリテイク。という具合に進んでいきます。
ディレクションを受けて言葉の立て方やニュアンスの伝え方を細かく変えていく先輩方のお芝居を見て、普段から森川先生が仰っている「1ミリ2ミリの調整」というものを実感しました。
また、合間で交わされる談笑は演者同士の距離を縮め、それによってさらに息の合ったお芝居になっていくのだなと思いました。
休憩のタイミングでご挨拶させていただいたのですが、皆さんお一人お一人がまっすぐ目を見て聞いてくださいました。
そのような細かい仕草からもお人柄の良さが溢れ出ていて、改めて「人となり」を大切にしたいと思いました。
その後も順調に進んでいき、先輩方と一緒に収録をさせていただく段になりました。
事前にリハーサル映像と台本をチェックしてシーンを確認し、その場に適した言葉やセリフのメモをたくさん用意していたものの、実際に収録が始まると想定していたよりも尺が長く、用意していた案は一瞬で使い切ってしまいました。
だからといって黙っているわけにもいきません。
なんとか思考を巡らせて言葉を絞り出すことができたものの、自分の未熟さと瞬発力の重要性を思い知りました。
大勢での収録を終え、自分の順番になりました。
今回いただいた役は細身の男性だったのですが、太めの音が出てしまい、体格のがっしりとした人の声になってしまいました。
「声の低さは問題ないんですけど、もう少しシュッとした感じでやってください」というディレクションをいただき、2度目は映像に合ったものを出せたと思います。
イメージした音をそのまま出力する「音声コントロールの正確さ」を身につけることも自分の大きな課題の一つです。
収録後に演出家の方の「リテイク自体は悪いことではありません」というお言葉を聞いて、上手くやろうとするのではなく、まずは自分の内にあるもの・自分なりに考えたお芝居を打ち出すことが必要なのだと再認識しました。
また、台本上に記載されていなくてもその役が画面に映っていれば、その場でセリフを追加する場合もあるため細部までチェックしてチャンスは逃さないという気持ちも大切です。
今回のお仕事での経験を自分の成長の糧とし、プロのレベルに到達できるようにより一層精進して参ります。
選抜クラス 佐藤