選抜クラス所属の高村と申します。
今回は、洋画の吹替の授業を受けさせていただきました。
暖かな親子の時間を過ごす場面と、招かれざる来訪者との緊迫感のある場面の対比に苦戦しているのか、男性も女性も「愛情を感じない」「家族の距離感じゃない」と森川先生に指摘を受けている生徒が多く見受けられました。
私自身も「もっと台詞の意味を理解しないといけない」とご指摘を受け、もう一度挑戦した際に「今の演技はさっきの演技と本当に変わっていたのか?」と、ままならない自分自身に悔しさを覚えました。
今回男性が演じた役には「叫び」のシーンがありました。この叫びに、自分も含めて皆四苦八苦していたように感じています。
ただ「叫ぶ」だけでは芝居とは言えません。その叫びは何を思って行われた行為なのか、どんな意図があったのか、考えて演技プランを構築することは最低ライン。
迫力が無ければ当然、画に演技が負けてしまいます。ですので声を張ることも要求されています。
かといってマイクに向かって全力で叫べば音は割れるし、音響監督の耳にダメージを与えてしまいますから、声を出す方向を調整し、配慮することも当然必要です。
叫び終わった後はどうでしょうか。画面の役はまだ荒い呼吸をしているのに声優が声を出さなければ成立しません。以前の授業で「最後の息を整える瞬間を演じる新人と演じない新人、選ばれるのは当然前者」であると教えていただきました。カットが出るまで決して気は緩めません。
考える事はとても沢山あり、それらをすべて同時にこなしながら演技が出来て当然の世界が、私たちの目指しているプロの声優の世界であると改めて認識します。
時の流れはとても早く、あと数ヶ月もすれば、プロの世界に足を踏み入れる生徒が居ます。それはゴールラインではなくスタートライン。より厳しく険しい世界へと身を投じていくことになります。そんな中で周りのライバル達に埋没せず、「叫び」一つで役を勝ち取れるような声優にならなければならない、と今回の授業で強く感じました。
選抜クラス 高村