『真田丸』第34回『挙兵』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

先回の六周年記念記事で『丸会』の募集をさせて頂いたところ、多くの皆さまから参加希望のコメントを頂戴致しました。私の中では先々週の治部主催の宴会を越えられたらいいなというだいそれた希望を抱いていましたが、現時点で既に人数で上回っている模様。ありがとうございます。ありがとうございます。オフ会に参加したことはあっても、主催した経験はないので、もの凄く不安でした……でも、もう何も怖くないんだ(*^◯^*)!
そんな怖いもの知らずの心境で書き綴る今週の『真田丸』感想。後藤又兵衛や明石全登といった大坂の陣の指揮官たちが続々と登場&治部と虎之介の謎の会話といった具合に、終盤に向けてのキャラクター描写と伏線の準備に重きが置かれた内容でした。先週先々週の内容と2話くらいにまとめられたんじゃあないかと思わないでもありませんが、今週は治部のコミュ障描写は控えめでしたので、見る側の負担は少なかったです。それにしても、今回ラストで治部の元に結構な勢力が集まっていましたが、何故、彼らは治部の宴会に出席しなかったのか。そんな素朴な疑問が残った今回のポイントは5つ。


1.闇聖典抹消失敗

「い゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

冒頭から炸裂した松岡茉優さんの壮絶な顔芸。春ちゃん可愛いよ春ちゃん。しかし、年頃の女優さんになんちゅう演技をさせるのだ、このドラマ。
さて、遂に判明した春ちゃんの過去。まさか、治部に懸想していたとは……父親が父親なので、この子も闇深の系譜と思っていましたが、同じ闇でも春ちゃんの抱えていた闇は黒歴史の闇でした。治部にフラれた……というか、自分の勘違いと気づいた時の反応も、失恋の悲しさではなく、途轍もなく恥ずかしいことをやっちまった羞恥、煩悶、苦悩がメイン。『いっそ殺して!』といわんばかりにのたうちまわる姿に草生えた。こうした思い出したくない過去を抱えているからこそ、現在は幼い容貌と裏腹に、己の本心を容易に表に出さない振る舞いを心掛けているのかも知れません。中二病の過去を払拭しようと足掻くモリサマーのようです。
しかし、何故、春ちゃんは櫛や鏡といった女の子向けのアイテムとは程遠い、筆を貰ったことで治部に好かれていると勘違いしてしまったのか。恐らくは刑部が治部に筆をプレゼントしたのを目撃したのでしょう。筆=好意のアイテムという刷り込み。つまり、全部刑部が悪い。今も昔も闇が深いな、あの男。

石田三成「苦労するぞ。まぁ、しっかりな」ニタァ

治部の揶揄いに呆然となる信繁。今回は佐和山に蟄居を命じられた時も、信繁相手に悔し涙を浮かべていました。喜怒哀楽を表に出すことを極力抑えてきた治部が感情を露わにしているのですから、これは信繁相手にデレたと考えるべきでしょう。目が見えなくても治部が泣いているのを察する刑部という闇深がいますが、あれは別格なので比較の対象にはなりません。
尤も、デレとか闇とか関係なく、単純に治部が笑いのツボを押されたと考えてもいいでしょう。何の気なしに渡した贈り物が契機で、相手の女が自分と気持ちが通じていると勘違いするというのは、何処かで見た構図。治部にとっての春ちゃんは、信繁にとってのきりちゃんなのですね。新妻の正体が梅ちゃんの皮をかぶったきりちゃんというのは信繁にとっては悪夢そのもの。しかも、治部にとっての春ちゃんと異なり、きりちゃんは今でも信繁の周囲をウロチョロしているのですから、気苦労も倍率ドン、さらに倍。治部としては同情と揶揄の笑みを禁じ得ないシチュエーションといえます。
その春ちゃん。信繁の口から黒歴史の源である治部の名前が出た途端、ガッツリと障子に大穴を開けてしまいました。表面上は全く平常運転というのが逆に怖い。辛うじて抑えた内心の動揺が行動に出てしまったのか。或いはこれ以上治部の話をしたら貴様もこの障子のようになると思えという威嚇なのか。闇深の血統から考えると後者の可能性が若干高そう。


2.きりちゃんのきりは……(完結編?)

寧々「つまらぬ騒ぎに巻き込まれるのは、もう沢山。秀頼殿の婚儀が整ったら、出家するつもりだわ。今から少しずつ、身の回りの片づけをしとるところ……それで、きりにも暇を出すことにしました」

寧々の断捨離宣言にも呆然となる信繁。信繁としてはきりも一緒に出家させればええやんと切実に願っているでしょうけれども、当のきりちゃんはキリシタンかぶれ状態なので、仏門に入るという選択肢は考えていないのでしょう。何気にキリシタンかぶれ設定がうまく機能しているようです。キリシタンのキナ臭さが立ち込める細川屋敷にきりちゃんを入れることは、気化したガソリンが充満した密閉空間に火のついた葉巻を放り込むようなもので、政情の安定化を願って已まない信繁にとっては、徳川家と諸大名の婚姻よりも阻止したい事案に違いありませんが、信繁が勧めたように上田に戻っても、どのみち戦になることを考えると、結果としてきりちゃんの判断は間違っていないと思います。それどころか、七将襲撃の情報を事前に信繁に伝えるという、見事な間者ぶりを今回も如何なく発揮。

きり「私、役に立ってる?」
真田信繁「……たまに!」


たまにどころか、ぶっちゃけると信繁よりも活躍の場面が多いです。第二部以降のきりちゃんの間者としての才能には目を見張るものがあります。今まではきりちゃんのきりはキリシタンのきりだと考えていましたが、ここまでくると霧隠才蔵のきりじゃあないかと思えてきました。才蔵は男だろというツッコミは重々承知ですが、現代日本では歴史上の偉人をも女体化する文化が絢爛と花を咲かせているので、そのくらいはブレの範囲内でしょう。


3.ジブ×トラ

徳川家康「今は合議で全てを決することになっておる。わし一人がしゃしゃり出る訳にはいかんのじゃ。まずは老衆と奉行たちを集めて……」ニマニマ

口調は神妙そのものですが、表情は内心の喜悦を抑えきれない内府殿。実際、豊臣恩顧の諸大名を生かすも殺すも自分の指示一つと思えば、内心でほぼイキかけているのは間違いありません。若干アヘ顔気味の表情には信繁もドンびきです。こりゃあ、わしに仕えよとかいわれても丁重にお断りするレベル。
さて、先回は描かれなかった七将襲撃事件。窮した治部が徳川屋敷に庇護を求めるという巷説ではなく、治部少輔丸に立て籠もるという定説に拠る描写となりました。一方、裏で糸を引いている家康に敢えて仲裁を頼れという指示を出したのは刑部殿。通説と定説の落としどころとしては丁度いいんじゃあないでしょうか。創作面ではカブトムシこと本多平八郎が七将を一睨みで抑える場面が圧巻の一言。これはキャスティングの勝利です。そんなカブトムシに背後から迫られても、キチンと小水を終わらせたことのあるお兄ちゃんは何気に七将よりも肝が据わっているといえるのかも。
創作といえば、蟄居の直前に交わされた佐吉と虎之介の密談。恐らくはこれが今回の最大の鍵でしょう。あまりに気になったので、字幕をONにしてみましたが、表示されませんでした。残念。取り敢えず想像できるのは、

① わしが死んだら豊家を頼む。
② 太閤が今わの際に『家康を殺せ』と命じた。
③ 刑部とは別れた。今はフリーだ。


常識的に考えると①ですが、有名な巷説を排して最新の定説に準拠しつつも、ねじ込む余地のある想像はガッツリと盛る本作のスタンスを考えると②じゃあないかと。実際、虎之介は関ヶ原の戦いの本戦には参加しておらず、九州で黒田官兵衛と共に贔屓目に見て東軍寄りというスタンスで活動していたので、実は治部と裏で繋がっていたという展開あるかも。大木土佐? 梶原助兵衛? 知らんなぁ(すっとぼけ)


4.今週の闇深男(not刑部)


直江兼続「我らに逆心はないと申し上げた筈。にも拘わらず、逆心なければ上洛できる筈だとは……フハッ……赤子の理屈で全く話にもなり申さぬ」(イケボ)

朗読の途中に鼻で笑った!

世に直江状と呼ばれる『家康への手紙(笑)』。文面や朗読のトーンがかなりのハイテンションにも拘わらず、それを書き連ねている時の兼続の無表情さが逆に心に秘めた怒りのマグマの胎動を感じさせます。山城守の闇も深い。直江状を読む御屋形様も百万ドルの笑みを浮かべていますが、いつも無表情で自分のいうことを聞いてくれる兼続が斯くもドス黒い感情を秘めていると思うと、ヘラヘラ笑っている場合ではないんじゃあないでしょうか。しかし、本当にいい笑顔だな、御屋形様。
まぁ、直江状に関しては予想通りの事案を予想の最高レベルでやって頂けたことに感謝するほかありませんが、むしろ、驚いたのはもう一人の闇深男。

片桐且元「豊臣家が上杉を討つ謂われはございません! 秀頼公の御名を持ち出すのはおやめ頂きましょう!(キリッ

まさか、この男が家康相手に面と向かって意見できるとは! 『何でもござらん!』と半泣き半ギレになった御屋形様とは偉い違いです。流石は秀吉の御前で猿回しをやってのけた闇深男、NOといえる日本人、片桐且元。心情的には直江状のクオリティを考えて、今週のMVPは上杉主従にしたかったのですが、手紙ではなく、面と向かって己の意思を押し通した片桐且元のほうが相対的に上なので、MVPは且元にしたいと思います。何気にピンでも2回目の受賞なんだよな、コイツ……。


5.ウソです(AA略

真田信幸「……私は真田安房守の嫡男、父上に従うに決まっているではありませんか!」

尚、次回予告では【略

今でも乱世の到来を夢見るスズムシ、脳筋の宇喜多や病床の刑部を頼りに豊臣家を支えるという理想論を語る弟に、いい加減、お兄ちゃんがブチぎれるのではないかと思っていましたが、この時お兄ちゃん、意外に素直……というか、今回のお兄ちゃんの台詞は芝居じゃあないのかと思っています。それこそ、上杉討伐のギリギリの段階、周囲を親徳川派の軍勢に囲まれた状況下で『いい加減、現実を見ろ! そうでなけりゃあ、俺はおまえらと袂を分かつ!』と三下り半を叩きつける予定ではないでしょうか。先回のスズムシは徳川に合力すると見せかけて寝首を掻く機会を窺っているのだとしたら、今回のお兄ちゃんは徳川に合力すると見せかけて寝首を掻く機会を窺っているスズムシの寝首を掻く機会を窺っているのかも。実直で堅実なお兄ちゃんの言葉であるからこそ、スズムシも信繁もお兄ちゃんの意図に気づけない。実際、信繁と将来を語らう場面のお兄ちゃんは常に半身なんですよ。正面から信繁と向き合っていません。今回のお兄ちゃんの台詞は話半分で聞いておいたほうがいいのではないでしょうか。全ては次回の犬伏で明かされそうですが、ガラシャの死も絡むとなると、きりちゃんの安否も気になるところ。いや、信繁は気にしなさそうですが、視聴者としては、ね。

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