~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。


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以上、今週の『西郷どん』でした。

 

 

昨晩のツイッター録画実況中にMasaさんが繰り出した究極にして至高のネタ画像。今週の『西郷どん』を見逃した視聴者の皆さま。週末の再放送も深夜の『5分で分かる西郷どん』も見る必要はありません。上記のMasaさんの画像を御覧頂ければ、それで充分です。この『オッカムの剃刀』の理想的見本を思わせるエレガントな解法に比べたら、冗長極まる文言が目につく私の感想文なんぞは、旧型パンチカードシステムを用いたゴリ押し演算によるエレファントな解法と評するしかありません。嗚呼、自己嫌悪。今週はMasaさんの画像の凄味に敬意を表して、余計な解説は極力控えた簡易感想でいきます。ポイントは1つ。

ちなみに今年のオフ会に関しては一両日中にブログで御報告致しますので、今暫くお待ち下さいませ。

 

 

1.ちょっと何言っているか判らない

 

西郷吉之助「慶喜は日本を自分のもんじゃち思い込んじょっとじゃ。そいは人の上に立つ将として、一番相応しくなか了見じゃ」

 

おう、ソースあんならすぐ出せよ。

 

西郷吉之助「江戸に降って浪士を五百人程集めろ。ほいで市中の商家を襲って火をかけろ。出来るだけ大きか所にせぇ。小さか所じゃ焼けると潰れてしまうでの。そん時、こいが一番肝要じゃが、薩摩の仕業じゃち判るようにすっとじゃ。連中を怒らせれば、それでよか」

 

これが少し前まで『攘夷か開国か、それを考えるためにも、まずは民の暮らしを守ることを考えてたもんせ』と慶喜にドヤ顔で宣っていた男の台詞である。

 

西郷吉之助「慶喜公は日本を異国に売り払おうとしちょる。生かしておったら民が苦しむこつになる」

 

薩摩の指示で店を焼き払われた江戸の商家は黒糖地獄に苦しむ奄美の人々と同じく、日ノ本の民じゃないんですか。そうですか。

 

ダブルスタンダードどころか、トリプルスタンダード、クアドラプルスタンダードと評してよい主人公のブーメラン発言が連発した今週の『西郷どん』。今週は珍しく、巷説(≠史実)準拠の描写が多かったものの、物語自体が『慶喜は日本を異国に叩き売る売国奴! それを阻止する西郷は絶対の正義!』という論拠のない捏造三流の勧善懲悪を基幹としているので、多少の小細工があったところで、全体のクオリティに影響はありませんでした。やんなるね。

いや、別に西郷が悪辣な策謀を巡らすのは問題ないのですよ。近年の研究では薩摩主導による江戸擾乱計画は公的には中止命令が出ていたのに益満や相楽への連絡が間に合わなかったとの見方もあるそうですが、王政復古の大号令と共に急速に終息した『ええじゃないか騒動』と同じで随分と薩摩にとって都合のいい話ですねとの思いは禁じ得ませんので、個人的には江戸擾乱計画を西郷主導で描いたこと自体は評価したい程です。

 

問題は西郷の闇堕ち描写が今までの言動と全く整合性が取れていないことなのですよ。

 

口では『民のため! 新しい日本のため!』といいながら、民の暮らしを踏み躙り、国を危うくする戦を引き起こそうとしている筋金入りのサイコパスにしか見えないのですね。

これ、実はキチンと筋道立てた物語を心掛けていれば、普通に視聴者の賛同を得ることが出来た筈なのですよ。幕末の情勢、就中、金銀の為替相場の不均衡から生じた経済恐慌、そして、開国以前から失策続きの徳川幕府の外交音痴という負のレガシーの所為で、諸外国に対する日本の信用度が回復不可能な水準にあったことを踏まえたうえで、

 

「不平等条約や為替レートの改正は愁眉の急であるが、タダでさえ、外交音痴で信用度ゼロの徳川幕府に早期の条約改正が出来るとは思えない。幕府と仏国との連携も一歩間違えると西欧列強による内政干渉の呼び水となる危険がある。この際、薩摩も英国の援助を受けて、短期間に幕府を屠るしかなさそうだ。そして、ダラダラと内戦を長引かせないためには一戦で慶喜の首級を獲る。多分に賭けの要素が強いが、これしかない」

 

史実の倒幕運動の内実は措くとして、この程度の解説をしておけば、視聴者は西郷に感情移入出来る筈なのですよ。その労を惜しみ、慶喜を売国奴に貶めて、相対的に西郷を正義に仕立てるというやっつけ仕事で片づけようとするから、その場その場の西郷の言動に全く一貫性がなく、昨年の井伊直親も裸足でトンズラするレベルのサイコパスになってしまうのですね。今回、他にも色々と触れたい点はありますが、結局のところ、本作の欠点の全ては上記した理由に帰結すると思うのですよ。それこそ、先述したように本作にしては巷説準拠の描写が目立ったものの、それらが心に全く響くことなく、逆にあざとい印象を残してしまったのも、そういうところなんじゃあないでしょうか。

 

次回予告で藤本隆宏さんが演じる山岡鉄舟が登場しましたが、これ以上ない神キャスティング&西郷VS『JIN-仁-』の西郷という、このうえなく心躍るシチュエーションにも拘わらず、全く心に響かないんだよなぁ。純粋に勿体ない他の作品で見たかったという思いしか抱けない。最高級の配役にハチミツをブチ撒けるが如き作品です。ピュア勝ならぬ、ダーク勝の、

 

勝海舟「アンタ、徳川の恥だよ!」

 

という台詞も、慶喜の苦衷に少しでも思いを致せば、おいそれと書くことなんて出来ないよね。まぁ、

 

福沢諭吉「降伏した勝や榎本のほうが恥知らずだぞ」(@『瘠我慢の説』)

榎本武揚「私と一緒に降伏した大鳥君は何でセーフなんですかねぇ」

勝海舟「適塾の同窓生だからだろ(ハナホジー)

 

こんなことをツイッターで呟いてしまう私も大概ですが。

 

 

 

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最近、頓に疲労が蓄積するようになりまして、腰痛や目の霞みといった身体的なものもありますが、一番愕然となったのは『ザ・ウォーキング・デッド』の最新シリーズを一気見出来なくなっていたことでした。昔は平気で一気見していたのに、今は一日一本見ただけでメンタルの疲労度がヤバいことになるのよ。今回リリースされたのは8期前半の8話分ですが、@2話残したまま、最終巻に手をつけられないでいます。明後日には返却しないといけないのに……でも、リックが立てた聖域封じの作戦は以前から私も考えていました。ワイ、リックの軍師になれるかも?

上記の理由により、半ば自業自得でメンタルをやられているため、今回も短めの記事がメインの徒然日記です。

 

まずは今週の『西郷どん』感想。

第二次長州征伐が具体的な戦闘描写なしで終わったことについて、

 

岸静江「今年も俺は出番なし!」

 

という声が聞こえた気がしましたが、村田蔵六や山縣狂介や井上聞多といった既に配役が発表されている人物でさえも登場していないので、これを期待するのは高望みというものでしょう。それにしても、聞多が忍成さんで狂介が村上さん……相変わらず、キャスティング『は』素晴らしいのですよ。キャスティング『は』ね。この山縣は眉一つ動かさずに、

 

山縣有朋(山城屋事件がバレないうちに野村を)斬り捨てますか」

 

と即断しそう。キャスティングといえば、

 

『松田翔太「幕末は“全員正しい”からこそ面白い」『西郷どん』慶喜役で』

 

でヒー様の中の人がナチュラルに脚本をdisっていたのがツボ。松田さんにはリアルでゴッシーやヒー様の素質ありますわ。この一事のみを見ても本作のキャスティングは神レベルと評して差し支えありません。逆にいうと本作の問題点がキャスティング以外にあることの傍証ともいえます。

実際、先回&今回のストーリーは幕府が仏国の援助を受けるのであれば、薩摩は英国の支持を取りつけるといった具合に、

 

 

を地で行く展開にも拘わらず、西郷は絶対的な正義の体現者として描かれる一方、慶喜が売国奴的な扱いを受けるという容保公でさえ慶喜に同情するレベルの偏向描写に草も生えない。幕府と仏国の連携を批判することは薩摩と英国の紐帯へのブーメランになることに制作陣は気づかないのでしょうか。幕府と仏国、薩摩と英国の繋がりとは、諸外国のバックアップを受けつつも、如何に内政干渉をさせないうちに相手を叩き潰すかというチキンレースな訳で、その辺の事情をガン無視して、一方的に慶喜をヒールに仕立てあげるとか、制作陣の幕末に対する理解と愛情の欠落を指摘されても仕方ありません。

ブーメランといえば、慶喜の大政奉還に対して、

 

西郷吉之助「慶喜公はうまく逃げただけじゃ。大政奉還の真の狙いはオイたちが振りあげた拳を躱すこっちゃ。タダの詭弁じゃ。あん頭のよか御人は判っちょる。政権を返したところで今の朝廷にはないもできんち。すぐにまた政権が手元に戻ってくるち」

 

と主人公がボロクソに貶すシーンがありましたが、

 

徳川慶喜「ほならね? 薩長が新国家の青写真を用意しておけって話でしょ? そう私はいいたいですけどね?」

 

との思いを禁じ得ません。いや、別に西郷が『慶喜にハメられた』と悔しがるのはOKなんですよ。でも、それを慶喜への人格攻撃や新国家の道義的優劣論に持っていく姿勢が本当に我慢出来ないのよね。取り敢えず、制作陣は松田翔太さんのインタビューを百遍読んでから出直すべし。

 

次はこれ。

 

 

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公開時には各局で放送された宣伝番組を結構見た記憶がありますが、今でも本編は視聴していません。理由は単純明快で、

 

原作の情報量を三時間弱の映画に圧縮するのは物理的に不可能

 

と判りきっているからです。情報を直接ダウンロードする電脳化の技術でもないかぎり、原作を名作足らしめている要素を劇場映画の制限時間内に第三者に伝達するのは無理。原作と別物の面白さを作ることは不可能とはいいませんが、原作の面白さを再現するのはインポッシブル。これは監督の力量とか脚本家の腕とかではなく、単純に現代の科学技術の問題ですので、別に作品への批判ではありません、念のため。まぁ、企画した人間は何を考えていたのかとの疑問は残りますが。

それでも、この『関ケ原』は序盤から太閤秀吉の死や左近の暗闘、三成と初芽のエチィシーンといった見せ場があるので、終盤の合戦シーンまで観客のハートを引っ張れなくはないと思わないでもありませんが、先日発表された、

 

『司馬遼太郎の名著「峠」映画化! 役所広司、松たか子、仲代達矢ら豪華キャスト結集』

 

このニュースを聞いた時は、正直なところ、

 

 

と思いましたよ。いやね、この作品は全三巻のうち、後編の中盤に発生する北越戦争まで特に目立ったイベントはないのよ。河井継之助という合理主義のカタマリのような人物が何故、北越戦争という無謀な戦に出たか。その理由や動機づけに全体の八割が費やされる異端の作品なのよ。特に上巻は継之助の吉原通いがクローズアップされたり、自身の政治思想を確立するために全国の名士を訪問したり、小田切の勘定だけ断ったりと致命的に映像化に向かないのよ。しかも、タチの悪いことに、そうした継之助のグータラ書生生活のほうが、肝心の北越戦争よりも遥かに面白いのよ。歴史劇というよりも継之助の日記に基づいたエッセイに近い内容なのよ。それが最大の魅力の作品に『最後のサムライ』というサブタイつけちゃうセンスの持主が映像化に携わるというのは不安要素しかねぇ。

ついでにいうとキャスティングも……主演の役所広司さんは大好きですけれども、正直、大御所過ぎるといいますか。『八重の桜』の感想記事でも述べましたが、今、河井継之助を演じて欲しいのは兄つぁまこと西島秀俊さんなんですよね。今回の出演陣の中から選ぶとしたら佐々木蔵之介さんでしょうか。幾ら何でも佐々木さんの良運さんは違うやろぉ。

 

最後はこれ。

 

 

昨年上半期のベスト1作品『帰ってきたヒトラー』以来の洋画鑑賞。あれから一年以上経過していますが、これほどの短期間で洋画を立て続けに見たのは私の人生で初めての経験。多分、@二十年は洋画を見なくてもいいと思います。例外は『ダウントン・アビー』の劇場版。上映されたら必ず行く。でも、ローズが出ないってどういうことなの……?

それはさて置き、この『レディ・プレイヤー1』。冒頭で触れた『ザ・ウォーキング・デッド』4本と新作5本セットの数合わせで手を伸ばしたのですが、八十年代サブカルネタとVRMMOが融合した世界観がツボにハマったのか、メチャクチャ面白かった! サブカルとMMOのどちらか一方でも好きな方は見て損はないでしょう。版権の煩いアメリカで、よくもまぁ、これほど多くの作品のネタを映像化出来たものです。その労力だけでも充分凄いのに、純粋なアクションアドベンチャーとしても面白かった。多重債務者にゲーム内での労働を課す企業『IOI』も、ネットゲームでの悪質なRMT業者の延長線上にあると思うと妙にリアリティあったなぁ。まぁ、一番ツボったサブカルネタは作中ではなく、メインカップルの吹き替えがギーヴとファランギースということでしたが。

そんな訳で久しぶりに頭をカラッポにして楽しめた作品で、純粋な面白さでは今年ダントツのクオリティと評して差し支えありませんが、単純に『面白い』と『好き』がイコールで結ばれるとはかぎらないのが私のハラワタのねじくれさの証明といいますか。『好き』か『嫌いか』と聞かれると『好き』とは言い難い作品でもあります。理由はVRMMOを題材としているにも拘わらず、作中の価値観がかなりの比重で現実に置かれていること。開発者がゲーム内に残した莫大な遺産を探すという作品の性質上、ゲーム内での成功が現実社会の成功に直結するのはやむを得ないとしても、主人公もゲームの開発者も最終的には、

 

「やっぱり現実世界が唯一のリアルだよね」

 

という価値観に落ち着いちゃっているんですよ。そういう結論に落ち着くのでしたらVRMMOを舞台にする必然性ないやろと思ってしまうのよ。第一、そんな結論下す人間がVRMMOにハマったり、開発したりする訳がない、と嘗て某MMOで猫耳ネカマスペルキャスターで語尾に『にゃー』をつけていた私などは考えてしまうのよ。この辺、同じVRMMOを舞台にした作品でも、

 

 

こちらは現実世界と仮想空間を『=』とまではいかなくても『≒』で結んでいます。キリトさん曰く、現実世界と仮想空間の違いは情報量の多寡に過ぎないし、何時か仮想空間は現実世界と同等の情報量を再現出来るようになる。『SAO』はヴァーチャルからリアルに回帰するのではなく、ヴァーチャルからリアルを変えることがメインテーマなのですね。アニメ二期のシノンのトラウマ克服、ユウキのメディキュボイドが典型でしょうか。巷では典型的な俺TUEEEEE系ウハウハハーレムものと囁かれており、私自身も全く同じ評価を下している『SAO』ですが、上記の『ヴァーチャルからリアルを変える』という作品の主題においては、胸を張って『好き』といえる作品です。その『SAO』3期も近日放送開始。今回は4クールとか……流石に2クール分割になると思いますが、正気の沙汰じゃないな、これ(誉めています)

まぁ、繰り返すように好き嫌いは個人の問題であって、純粋に『レディ・プレイヤー1』がエンタメ作品として飛び抜けて面白い事実は揺るぎません。興味を抱いた方は絶対に見て! 損はしないから!

 

 

 

 

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西郷吉之助「視聴者の皆さん、じゃあ聞いてくださいよ。今ここで何が起こったのかをね。

僕は今日、あれですよ、皆さん御存知の生き地獄ドラマ……じゃない、今年の大河ドラマに登場した訳ですよ。皆さん、もう御覧になったでしょう? 僕は英国艦でパークスと交渉した西郷ですよ。薩摩の西郷吉之助ですよ。 あの後、僕はやっと自宅に着いたわけですよ。もう時間もなくて、急いでお風呂に入ってお食事をして、その後、僕は家族にナマコを配って回りました。今週も全然歴史と関係ないホームドラマのノルマの消化で、スケジュールはイッパイイッパイですよ。

すると、現れたのがこの嫁なんですよぉ! 何の気か知らないけども、嫁が現れて、僕も視聴者も別に何も思ってないのに、

 

愛加那について腹を割って話そう!

 

と、この嫁は僕の部屋に乱入してきたわけですよ! 僕も視聴者も今更、愛加那と嫁の関係に蟠りも何も持ってない。仲がいいですよ。二人とも愛する女房だ。別に嫁と腹を割って話すことなんて何もないですよ。ところが、嫁は僕に、

 

愛加那について腹を割って話そう!

 

といって、何を話したいのか知らないが、僕の部屋に居座って、もうかれこれ嫁は半刻も僕の部屋を離れようとしないんですよ!

どうですか、視聴者の皆さん! おかしいでしょう、この嫁は! 僕は話を進めさせてくれっていっているんですよ! 視聴者の皆さんは御存じの筈ですよね! 僕が@何回で西南戦争を起こさなきゃいけないか! 僕が十二月初旬の最終回で死ぬには最低でも一カ月前には熊本城を攻めなきゃいけないんです! この時点で開戦までに残された時間は@二カ月だ!

もう一つ言いましょう、僕はまだ髷を結っています。散切り頭になっていないんだ。戊辰戦争どころか、大政奉還にも到達していないんだ。九月中には江戸城を無血開城しなくちゃいけないのに、この嫁は至極神妙な顔つきをしながら、まだ僕と、

 

愛加那について腹を割って話そう!

 

としているんですよ! この状況を視聴者の皆さんはどう思いますかぁ!」

 

 

 

 

二年振り二度目の登板となった腹を割って話そうネタ。東北二泊三日生き地獄ツアーならぬ、薩摩西郷邸引き延ばしツアーともいうべきでしょうか。いやね、西郷とイトサァと愛加那の関係性なんて、この段階でやらなきゃいけない話じゃあないでしょ? 結婚の回でまとめてやっておきなさいよって話ですよ。そもそも、やらなくても何の問題もないよね? それを何で今更、そんなことを蒸し返すために一話まるまる費やさなきゃあいけないのですか? 今月限定でも四境戦争~家茂病没~将軍慶喜~孝明帝崩御~山川帰国~四侯会議~薩土盟約~倒幕密勅~ええじゃないか~大政奉還~龍馬暗殺~岩公復権~王政復古~錦旗捏造~小御所会議~江戸薩摩藩邸焼討~鳥羽伏見会戦~慶喜遁走~山川憤怒~五箇条御誓文~赤報隊無惨~エトセトラエトセトラ……と江戸無血開城に至る歴史イベントが山積している訳ですよ。そして、そのどれ一つ取っても、西郷とイトサァと愛加那の関係性の清算に優先度で劣るとは思えないのに何故、本作はイトサァの妊活というニッチなニーズに応えるストーリーに奔ってしまうのか。そんな今回のポイントは2つ。

 

 

1.【手紙映え】女人禁制の霧島山に男装させた嫁と登って天之逆鉾引っこ抜いたなう【炎上】

 

西郷吉之助「坂本さんは薩摩で匿ったほうが安全かち思うての」

 

寺田屋襲撃事件を受けて、龍馬を薩摩本国で匿おうとする西郷。西郷の申し出を快く受け入れた龍馬ですが、同じようなシチュエーションで月照どんを匿おうとして失敗した挙句、相手と入水したことを知っている視聴者的には不安しかありません。まぁ、製作者サイドはとっくに月照どんや橋本佐内のことを完全に忘れているのかも知れませんが……そもそも、今回の襲撃事件の舞台となった寺田屋で精忠組の凄惨な同士討ちがあったことさえ、登場人物の誰一人触れない段階で色々と御察しです。やんなるね。

久しぶりに吉之助サァが帰ってくるということで沸き立つ西郷家ですが、ほぼほぼ毎週のように家に戻っている&必要のないホームドラマパートがダラダラと続いている影響で、全く久しぶり感がないのも失笑を禁じ得ません。挙句におりょうを吉之助サァの愛人と思い込んだ吉二郎と兄弟喧嘩になりかけるとか…………こんなシーンの何処にニーズがあると思っているのやら。

一応、お断りしておきますけれども、俳優さんの演技や熱意にケチをつける意図は毛頭ありません(ただし大久保、テメーはダメだ)。少し話は逸れますが、先日、我がJE市でこういうニュースがありました。

 

『大河ドラマ「西郷どん」西郷弟役の渡部豪太さん 金谷山の「薩藩戦死者墓」を墓参り』

 

このニュースで一番嬉しかったのは『渡部さんはこの後、同じ金谷山にある戊辰戦争で敗れ高田藩に預けられ命を落とした会津藩士らが眠る「会津墓地」も訪れた』という最後の一文です。吉二郎役の俳優さんなのですから、薩摩藩士の合葬墓で手を合わせて下さるだけでも充分なのに会津墓地にも足を運んで下さったのですよ。サンキュー基盛。フォーエヴァーフルチン。会津墓地は江馬さんと装鉄城さんがお越しになった際に私も案内しましたが、薩摩藩士の合葬墓の規模に比べると慎ましやかで、地元でも知らない人が多いのに……ありがてぇ、ありがてぇ。案内した学芸員の方と案内された俳優さんの心配りには感謝の言葉しかありません。敵味方の区別なく、時代に殉じた人々に敬意を払うのは歴史劇に携わる人間の理想的な姿勢ですね。

 

問題は製作サイドに敬意が微塵も感じられないことです。

 

上記の渡部さんの墓参には本作のCPが同行したとのことですが、全部会津が悪いみたいな禁門の変を放送したあとで会津墓地に足を運んで心が痛まなかったのかと小一時間問い質したい。

 

 

2.ぐらんぶる的薩摩隼人(だいたいあってる)

 

パークス「何故、宴会ばかりで重要な話をせんのか? 君らは何を求めておるのか?」

 

『西郷どん』に対する視聴者の感想を代弁したパークス。司馬さん作品の傲岸不遜なキャラクター設定の影響でイマイチ好きになれずにいたパークスですが、この台詞で好感度200%UPです。何かというと飲んで騒ぐ薩摩隼人しか描かれない本作への痛烈な皮肉、或いは自虐ギャグに聞こえてしまいました。

それにしても、吉之助サァとパークスの会談は本当に酷かった。まず、本編のみならず、予告でも放送された『吉之助サァがエゲレスの軍艦に捕まった』という話がデタラメ。捕まったのではなく、交渉に乗り込んだのを周囲が勘違いしたというストーリー展開ですが、この作品は同様の手段で視聴者の興味を煽る姑息さが目に余ります。ナベケン斉彬に無礼を働いて投獄された~実はジョンマンから情報を聞き出すように命令を受けていたとか、沖永良部島にエゲレス艦隊が砲撃を仕掛けた~実は吉之助さんの夢でしたとか……このように意図的に視聴者の誤解を招く方法で興味を煽り、しかも、その真相が絶望的に面白くないという、姑息さに無能さを上塗りする作劇をドヤ顔で披露する厚顔無恥ぶりには草も生えない。嘘、大袈裟、紛らわしい。吉之助サァの再婚劇の熊吉の物言い同様、充分にJARO事案です。

更に交渉の内容も酷い……というか、そもそも、交渉になっていない。

 

① パークス「何で宴会ばっかしているの? 本当は何がしたいの? そもそも、この国は天皇と将軍のどっちが実権を握っているの?」

 

② 西郷吉之助「天皇から政治を任されている筈の幕府は腐り切っています。民を蔑ろにする幕府の命令なんか誰も聞きません。その過ちは薩摩と俺が糺します!」

 

③ パークス「私は貴方を信用します!」

 

おかしいでしょ? どうして、こういう結論になるの? 普通は②と③の間に何か入るでしょ? パークスが『幕府はどう腐り切っているのですか?』とか『貴方と薩摩が日本を仕切るとして、その方法論をお聞きしたい』とか『我々が薩摩に肩入れするメリットは何でしょう?』とか、具体的なことを尋ねて、それに吉之助サァが理路整然と返答をして、初めて『貴方を信用します』という言葉が出てくるものじゃあないのですか? 何でそういう話なしで無条件に吉之助サァのいうことを信じるの? 陰謀劇のみならず、交渉劇もマトモに描かずに幕末大河を描いた気になるなよ。

まぁ、仕方ないっちゃあ仕方ないともいえなくもありません。そもそも、吉之助サァの言い分は、

 

幕府は腐りきっている⇒具体的な描写は一切なし

誰も幕府のいうことを聞かない⇒お前らの陰謀だろ

民を蔑ろにする政治では国は立ち行かない⇒つ『奄美黒糖地獄』

 

と全部ブーメランになってしまうのですから。この辺、幕末独特の政治劇や時代背景をガン無視して、チャカポンと慶喜を安っぽい悪役に描いてきたツケがモロに表面化している感じで、初期段階から警鐘を鳴らしていた身としては『それ見たことか』という昏い笑みが零れるのを抑えきれません。いっそのことノーモアナマコという大河史上空前絶後のパークスの台詞をクローズアップして、

 

西郷吉之助「やれやれ、この程度の料理でナマコを不味いと決めつけるとは……パークスさんを見て『英国人は皆、偏屈で傲岸な国民』と決めつけるようなものだぜ」

パークス「何だと、この無礼者! ナマコなど美味い筈がない!」

西郷吉之助「一カ月後にもう一度、此処に来て下さい。本当のナマコ料理を御馳走しますよ」

 

龍馬に能登から輸送させたコノワタとクチコの味でパークスを改心させるというギャグ展開に振り切ったほうが、まだしもマシであったのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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