~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

 

またしても何も知らない明智十兵衛さん。

 

あまりにもギャグの完成度が高かった安土城での家康饗応シーン。要潤の表情が『二度目のブンブン流し』に気づいた大泉洋か、或いは『お笑いウルトラクイズ』の人間性クイズでハメられた中堅芸人のリアクション過ぎて腹筋に候。それでも、ここまでは何とか声に出す笑いを堪えたのですが、

 

 

このシーンで深夜の録画視聴にも拘わらず、家族の迷惑を顧みずに大爆笑してしまった。フフフ、ダメだって、こんなの。言い訳の仕様がないレベルのプロレス技やんけ。織田信長のドロップキックが見られるのは『豊臣兄弟!』だけ! これを褒めていいことか否かの意見は分かれると思いますが、しかし、個人的には面白かったのでOKです。

いや、でも、冗談抜きで今回の本能寺の変『は』21世紀の大河ドラマで一番クオリティが高かったと思いますわ。織田信澄黒幕説という大河ドラマ……というか、既存の戦国ものでは初トライと思われる設定に相応の説得力を持たせた筋運びは賞賛に値します。何が凄いって、実行犯の十兵衛、教唆犯の信澄、被害者の信長の当事者三人が、

 

全員悪意だけで動いていない

 

ということ。思いッくそ巻き込まれただけの十兵衛は元より、信澄の動機も今後の展開を考えると唸らされるものがあるし、信長本人も(少なくとも信澄に対しては)一方的なパワハラ上司ではなく、謀叛人の子としては十二分に厚遇している訳で、それでも全員に引けない事情があったからこそ悲劇に到達してしまったの、ドラマとして見応えがあった。

また、饗応シーンの家康の動向もいいアクセントでした。一早く毒に感づくという『健康ヲタ家康』のイメージから逆算した展開もですが、常に胸中に毒を忍ばせて『身の破滅さえクリア出来れば、何時でもやれる』と思い込むことで、自分の無念や怨念を飼い馴らそうとする設定のリアリティよ。実際、私も似たようなシチュエーションで10年以上も怨みを制御していたのですよ。いや、流石に毒じゃないけど、法律の許す範囲で色々とアレしてコレして、ソイツが原因の不眠症で苦しむ時期に『ああ、俺、何時でもやれるんだ』と夜中にベッドで妄想して辛うじてメンタルを保っていた時期があったからね。

まぁ、個人的な話はさて置き、本能寺本編も迫力がありました。初手から種子島で応戦するオグリンに『おお、舘ひろしのアブ長オマージュ!』とグワッと心を鷲掴みにされ、殆ど束になって突き刺さる無数の矢の雨には『蜘蛛巣城の黒澤リスペクト!』と思わず拍手してしまいました。流石に十兵衛が出て来た時はやり過ぎ感が否めませんでしたが、これは信長が見た幻影と判ってホッとした。尺も充分でキッチリ腹を切るところまでやったからね。『敦盛』を舞わないのもアリ寄りのアリ。主人公が信長か十兵衛、または信澄であれば、理想的な本能寺の変であったと思います。

 

ただ、問題は皆さま御承知のように本作の主人公は信長でも十兵衛でも信澄でも秀吉でもなく、羽柴秀長なのよね。本能寺の変に至る描写や本編自体は非常に見応えがあったのですが、じゃあ、同時期に主人公兄弟がガッツリと関わっていた筈の高松城が、

 

開幕と同時に水に浮かんでいる

 

のは流石にどーかと思うんスよ。これ、信長が主人公でしたらアリですけど、その逆はダメよね。干し殺し・餓え殺し・水殺しの秀吉中国殺し三段活用全部から逃げてはイカンでしょ。一応、中国大返しの伏線になりそうという前提を踏まえたとしても、この時期の小一郎が安土城近辺をウロついているのはフツーに引く。まぁ、世の中には本能寺に主君を討ちにいく秀吉や、それに対して『愛よ』と答える信長も存在するので、この辺は来週以降の展開次第として評価は保留するとしても、他にも小一郎関係では信長に『兄貴に死んで欲しいと思ったことある?』というクエスチョンに対して『しょっちゅうあるで!』と答えるシーンの残念ポイントの一つ。

いや、ここ、凄く惜しいんですよ。信長の、信澄に対する負い目や呪いを主人公が解いてやる展開自体は非常にエモいシチュエーションですけど、問題は小一郎が兄貴を殺したいとしょっちゅう思うほど藤吉郎にコキ使われていないことなのよね。それこそ、信長と義昭の間で板挟みになって、心身共にボロボロになって、ちょっと義昭に背中を押して欲しかっただけなのに、恐らくは『もう俺には関わるなよ』と好意で突き離されてしまったがため、逆に謀叛ゲェジをブッチぎってしまった十兵衛くらいの苦悩が描かれていないと、このシーンの説得力が皆無なんですよ。

 

 

見ろよ、このメチャクチャ美味いうどんのダシが出そうな表情。

 

この極上のカツオ節を思わせる十兵衛の表情から滲み出るグルタミン酸に比べたら、小一郎は見てくれがカツオ節に思えるだけのタダの生木を煮た汁なんですよ。圧倒的に理不尽な境遇に置かれたキャラクターの、煮込んで絞って叩いて滲み出る感情こそが視聴者の共感を生むダシだというのに、小一郎は三流ラノベの転生主人公のような薄っぺらい悩みしかないから、そこから取れるダシも薄っぺらい味にならざるを得ないのよね。

それこそ、今回の信長・信澄・十兵衛のように、制作陣はやろうと思えば、キチンとダシが取れる力量があるにも拘わらず、主人公兄弟に関しては全く旨味成分を抽出出来ないのは羽柴秀長という人物に殆ど思い入れがないからでしょう。要するに『信長公記』と『太閤記』を書きたかっただけで、小一郎は名目に過ぎないのではないかと思います。

 

後半、通常通りに厳しめのレビューになりましたが、繰り返すように今回は21世紀の大河ドラマでは最も面白い本能寺の変になったと思います。ただ、そうであるからこそ、最初から信長や秀吉を主人公にした作品を見たかったという思いも禁じ得ません。総評で『どうする家康』はタイトル設定に答えられなかった作品と評したことがありますが、本作は主人公設定に答える気がなかった作品ということになりそうです。

繰り返すように今回は21世紀の大河ドラマでは最も面白い本能寺の変になったと思います。大事なことなので3回書きました。

 

 

 

 

 

今年、管理人が触れた作品の中で特に印象に残ったものを列挙する年末恒例にして、ここ数年は上半期での中間発表。この上半期最大の衝撃は、どの作品が選ばれたかよりも、

 

『閃光ハサ』まさかの選外

 

という事態であった。いや、決して悪い内容じゃあなかったとはいえ、第一部の鮮烈さには遥かに及ばなかったのが主要因。第一部ってホントに『判る奴だけ判れ』というスタンスで、私も初見では色々と把握出来ていない部分のほうが多かったけど、そこが繰り返しの視聴に耐え得る強度になっていたのに第二部は判りやすくファンサに奔り過ぎたという印象。特にCCAを当時のタッチを再現した回想シーンは、最新の映像技術でリファインして欲しかったのよ……あと、ハサウェイは病院に行ったほうがいい、マジで。

 

まずは6~10位の作品はこちら。

 

第6位 劉備玄徳の素顔(書籍) 関羽の北伐

第7位 劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使(劇場アニメ)

第8位 爆弾(映画)

第9位 YOH VS 藤田晃生(大田区総合体育館)(プロレス)

第10位 メダリスト&ダーウィン事変(漫画)

 

『劉備玄徳の素顔』は姓+名+字呼びのタイトルや、冒頭の『新解釈三國志』の引用で感じた悪い予感を吹き飛ばす内容。流浪の大器・劉備も後漢末の学閥の面倒臭さや、本貫から離れがたい名士・豪族の思惑に翻弄されていた様子は非常に新鮮であった。『劉備はさー、人材を見る目がないよねー、田豫や陳登や陳羣を手放すとか最悪じゃんー?』とか偉そうに宣っていた若い頃のワイに読ませたい。あと、荊州失陥は漢中王・劉備が関羽に節・鉞(行政・軍事専断権)を与えたことが契機というのも納得。あれで劉備との連携が崩れてしまったんやろうなぁ。

『ハイウェイの堕天使』は大味ながらもコナンがメインではやれないド派手なアクション全振りの爽快さが◎。千速、原作に登場した時から明らかにストーリーから浮いていて『これ、劇場版向けに新設したキャラクターやろ』と思っていたけど、今回でキチンと結実した感あった。ただ、作中随一の推しキャラではあるけれども、本編の展開とはあまり関係なさそうなので、今後の出番は控えめになりそう。千速は推しとはいえ、ストーリーの進捗のためにはそうなって欲しくもある。蘭ねーちゃんの中の人の訃報を知ると特にね……。

『爆弾』はキャラクターの設定説明をほぼほぼストーリーと同時並行で展開させて、しかも、それが一切気にならないほどに密度と速度が両立した快作。映像面でも残虐描写がキチンと作品の緊張感を担保していてグロさを心地よく感じることが出来た。しかし、一番の驚きは本作の脚本家が『豊臣兄弟!』のメインライターと同一人物であること。これが出来るんなら、何で今年の大河はああなってしまっとるんや……。

『YOH VS 藤田晃生』は今年のベストオブ・ザ・スーパージュニアの決勝戦。前年と同一カードにも拘わらず、YOHさんの一人CHAOS劇場の器用さと藤田の化け物じみたタフネスさがガッチリと嚙み合っていた。更に試合後に乱入して来たSHOさんとDOUKIさんを逆金的で返り討ちにしてからの、

 

YOH「君たちなんだけど……魚やって貰っていいですか?」

 

はめっちゃシビれたわ。『大改造!劇的ビフォーアフター』の新日道場リフォーム回で初々しい姿を見せていた頃を思うと感慨深い。

『メダリスト』と『ダーウィン事変』は以前記事にしているので省略。

 

それではベスト5の発表に移る……が、同着で3作品が3位にノミネートされるという椿事となった。

 

 

 

第3位『あかね噺』(TVアニメ)

 

阿良川一生「えー、今日の出場者、全員『破門』です」

 

『女子高生』と『落語』という『女子高生』と『戦車』に匹敵するミスマッチから始まるジャンプ連載漫画のアニメ化作品。バトル要素から最も程遠いポジションの『落語』というジャンルでありながら、冒頭から立ちはだかる無慈悲なラスボス、親父の遺志を継ぐ子供(死んでない)、厳しくも暖かい師匠や先輩、一癖も二癖もあるライバルなど、ガッツリとジャンプの王道を征く設定で、今日日流行りの露悪趣味なバトル漫画よりも安心して見ていられた。アニメの質も高く、話題性でも内容的にもゴールデンの地上波でやれないのが悔しく思える一作。練磨家からしとかいうジャンプバトルものの序盤の難敵の定番のようなデザイン&言動のキャラクター、好き。ワイ的に可楽杯のナンバーワンは君や。

ただ、第一期のラスト近くで明かされたイッセー阿良川による主人公の父親への破門宣告の真相は言うてることは正論やけど概ね想定の範囲内だし破門するほどでもないよねという中途半端なところに落ち着いてしまったのが惜しい。一つにはイッセー阿良川の『落語家としての凄み』が今季では描かれなかったため、発言自体の重みが実感出来なかったのもありそう。既に第二期の制作が発表されているので、今後の展開に期待。

また、主題歌も大御所・桑田佳祐の起用が題材のレトロカルチャー感を醸し出していた、いい意味で。アニソンにかぎった話ではないが、Aメロ~サビ~Aメロ~サビの3分そこそこで〆という近年の音楽界において、Aメロ~Aメロ~Bメロ~サビ~Aメロ~Aメロ~Bメロ~サビ~サビで4分40秒近い尺を費やすクラシカルスタイルのOPテーマも、まさに本作の雰囲気とマッチしている。OPムービー自体も近年で一番好きかも。

 

 

 

 

 

 

 

第3位『黄泉のツガイ』(TVアニメ)

 

ハナ「中に馬が入っていて凄い速さで走る!」

 

『マッチョ』『バトル』『銃火器』『刀剣』『弓矢』『異能力』『漫画家最強説』と荒川弘の大好きがパンパンに詰まったバトルファンタジー。何よりも第一話冒頭の、

 

「お、古風&和風ファンタジーか」

「え? ヘリ? 現代ものなの?」

「え? やっぱりファンタジーなの?」

 

の怒涛の展開をAパートでまとめ切ったのが凄い。これを見て食いつかん人はおらんやろ。奇しくも同じファンタジーで、ほぼ同時期にBS4Kで再放送が始まり、

 

「ネズミが出るまで踏ん張れ」

 

がファンの合言葉になるほどの、序盤から一切の解説なしに主人公がワケの判らない境遇に叩き込まれて、事情や世界観が明らかになるまでアニメでも1クール近くかかる『十二国記』とは好対照。別に『十二国記』が悪いということではなく、それぞれのよさではあるのだが、今日日の作品はこれくらいの疾走感がないと多くの視聴者を繋ぎ留められないのかも知れない。

こちらは同率3位の他作品と異なり、2クール連続放送ということで、秋までじっくり楽しめそう。今のところ、気になっているのは『二体一対』のツガイの能力の縛り・設定がどのくらい活かし切れるかという点と、第一話でやりたい放題やらかしたガブちゃんの処遇かな。ヴィジュアル的にも性格的にも私の好きなキャラクターとはいえ、あれだけやって何のオトガメもなしで済ますほど荒川センセは甘い御方ではなさそうなので、どの時点で報いが来るのか、ビクビクワクワクしている。

 

 

 

 

 

 

第3位『とんがり帽子のアトリエ』(TVアニメ)

 

キーフリー「人は本当に恐ろしいよ。簡単に『恐ろしいことが出来てしまうのだ』と自覚している者が少ないのも恐ろしい」

 

拙ブログの当該企画では既に原作版が二度ランクインしている本作が、アニメ版でも高位の入賞。品質向上のために放送時期が順延された経緯を差し引いても、否、それがあるからこその本作の卓絶した映像美は、劇場アニメ版並みのハイクオリティと評するしかない。原作の主題が『創作とは何か? 描くとはどういうことか?』を追求するものである以上、生半可な作画動画では私も含めたファンが納得しないワケで、その時点でアニメ化のハードルは他作品よりも3割増しで高かった筈であるが、そこをキッチリとクリアしてくれたのは本当に有難い。最初の試験『王の許し』で、ココさんが手製の魔法ハンググライダーで王冠草を手にするシーンは原作よりも遥かに尺を費やし、しかも、それらが全てヌルヌルと動いていたのは圧巻の一言。書き込みがスゴ過ぎる所為で動きが捉えにくいところがあった原作序盤の幾つかのシーンも、アニメ版を見て『おお、こういうことだったか!』と得心出来たことも一再ではなかった。OPテーマもAメロを聞いた時は『いい感じだけど、本作の主題歌は女性ヴォーカルが良かったかな』と思っていたらBメロでヨルシカが入ってきて悶絶した。何から何まで完璧過ぎるやん。

それでも敢えて難点を挙げるとしたら、キャスティング方面で私の解釈とビミョーに異なるケースが多かったことかな。いや、全員問題ないですよ! 問題ないけど、個人的なイメージとズレているというだけで、フツーに許容範囲。そのうえでゼータクな注文と知りつつ、第2クール以降に登場するであろうキャラクターでは、

 

ヴィナンナ…榊原良子 ベルタルート…関俊彦

 

この二人はお願い、ハズさないで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

第2位 『証言 プロレス界ケンカマッチの真実』(書籍)

 

川田利明「昔、よく小橋がカッコいいことを言っていたじゃん。『俺は今日、リングの上でいつ死んでもどうのこうの』みたいな。お母さんに電話をして『俺に何かあっても、三沢さんを恨まないでくれ』みたいな話があったよね。でも、本当に死と隣り合わせで生きている時は、逆に口に出さないものだよ」

 

『フェイク』『ブック』『アングル』といった所謂『台本』の存在が公然の秘密とされるプロレスにおいて、稀に発生するケンカマッチの顛末を特集した本著。このテの話題は『プロレスは最強の格闘技』を標榜したアントンに代表される新日本の独壇場になるかと思いきや、全日・インディー・女子プロからも広く逸話を集めており、特にスペル・デルフィンの股くぐり事件は『ファイトスタイルの違う海援隊☆DXの仕掛けにいちいち反応するのが面倒臭くて唯々諾々と従っていたら、最終的に下手なガチンコよりも観客がドン引きする事態になった』という点で、プロレスの持つ底知れぬ闇を垣間見た気がする。

また、冒頭で引用した川田利明の言葉も、封印していたタイガードライバー91の解禁&投げっぱなしジャーマン3連発など、当時の三沢の川田に対する明らかに当たりの強い試合を思うと、色々と納得してしまう。ホンマ、三沢→小橋はコイツだったら受け切ってくれるという信頼感があったのに対して、三沢→川田はコイツだったら良心が咎めないという負の感情が先行していて、格闘技顔負けのグロさがあったからなぁ。まぁ、川田は川田で垂直落下式パワーボムや自分の腕が骨折するレベルの裏拳を放っていくからお互い様ではあるのだが、奇しくも本著で佐山聡が定義した『プロレスのケンカマッチとは単純なシュートやブック破りではなく、ルールの範囲で相手を捻じ伏せようとする試合』を毎回やっていたのが三沢と川田な訳で、安易なガチンコネタだけではなく、情念を主体としたケンカマッチとしての三沢VS川田を取り上げてくれた本作には感謝しかない。

それにしても、稚気と客気に溢れたエロ親分肌として業界の信頼も篤かった三沢が、後輩の川田にだけは異常に当たりが厳しいのは理不尽さの極みに見えるが、学アマ時代、川田の都合で一つ下の階級に入れられた三沢が、減量がエグくてマトモに練習出来ずに、それでもどうにか勝ったところに川田から『三沢さん、練習しなくても強いっスねぇ』と心から祝福されてブチギレた逸話を知る者としては、川田にもそこそこ責任ありそうという視点も成立する。実際、プロレス入門時に川田が三沢にボコられた逸話に関しては、川田の言い分を一通り記してはいるが、

 

「三沢が川田をどついた理由は定かではない。誰よりも先に手を出すことで、他の先輩たちから川田が殴られるのを防ぐためだったのか。それとも社会人になりたての若者の多くがそうであるように、悪意のない失礼があったからなのか」

 

一切川田を庇わない文章で締め括っている辺り、取材者も何か察するものがあったのではあるまいか(邪推)

 

 

 

 

 

 

第1位『雪煙チェイス』(SPドラマ)

 

クリス「脇坂! 今どこ? ヤベーことになっている! うちに警察が来た! お前を探しに!」

 

クリス、日本語喋れたんかワレ!

 

2026年の初笑いシーン。何気に本作で一番爪痕を残したのはクリス役のジョエル・ショイヘイだったな。こういうネタ、狂おしくすこ。

さて、本作は自身に掛けられた殺人容疑を晴らすべく、アリバイの証人になってくれる『ゲレンデの女神』を探しにスキー場を駆け回る大学生コンビと、所轄と本庁の手柄争いの狭間で鬱屈しながらも彼を追う冴えない中年刑事が繰り広げるサスペンスコメディ。

予め弁明しておくと、全体的なクオリティは今まで紹介した2~5位の作品よりも見劣りはする。何せ、ロケ日程の都合か変わりやすい山の気候が影響したのか、シーンごとに天気がコロコロ変わってブツ切り感が凄いわ、主人公が容疑者認定された経緯があまりにもアホ過ぎるわ、真犯人の正体は『それ、何の前フリもなかったやろ!』と言いたくなるレベルのポッと出だわ、主人公の友人の警察不信の理由は最後まで明かされないわ、ゲレンデの女神もその時期に【ネタバレ厳禁です】するのは無責任にも程があるわと、ツッコミどころの元日エレクトリカルパレードで、好みが分かれることは間違いない。

一方で物語のフレーム自体はシッカリ&キャラクターの行動原理もハッキリしているので感情移入しやすくて、大学生も刑事も双方が事件の全体像を把握していないがゆえに生まれるニアミスや読み違いも面白くて、頭に『バカ』がつくレベルの主人公のお人好しぶりが事件の発端ながらも、そのお人好しゆえの善行がキチンとリターンされて、仲間や故郷を思う心の絆にもほっこりさせられるあまずっぺぇ青春群像劇で、最終的には寅さん的オチになりながらも、主人公の未来は希望とやる気に溢れていて、

 

正月特番ドラマはこういうのでいいんだよ、こういうので!

 

という緩い気持ちでニマニマしながら鑑賞するのに持ってこいの一作……とはいえ、上記した諸々の欠点を補強して、大規模で綿密なゲレンデロケを敢行したら、結構人気の出る映画になるんじゃあないかと思っている。誰かお願い、撮って。

 

 

 

 

 

さて、ここからは2021年の『白い砂のアクアトープ』以来、実に5年ぶりのラジー賞の発表に移る。まぁ、今年の拙ブログの筆調を御存知の方には概ね予想がついておられるとは思うが、改めて記しておきたい。

 

ゴールデンラズベリー賞『豊臣兄弟!』(大河ドラマ)

 

「どうしてもむりなんじゃ」

 

それはこっちの台詞だよ。

 

5年ぶりのラジー賞の栄誉に浴したのは、大河ドラマとしては『西郷どん』以来、8年ぶりの大河ドラマのラジー賞となった『豊臣兄弟!』。うん、まぁ、なんちゅーか、言いたいことは総評に取っておくとして、念のために申しあげておくと作品自体は単なる駄作とは呼べない面も確かにある。信長も義昭も光秀も長政も村重も半兵衛も官兵衛も権六も、それぞれのキャラクターは面白いし、歴史の解釈という点でも見るべきところはないでもない。しかしながら、それら一切の美点を主人公パートのクッソつまらなさが帳消しにしているところが、本作最大の問題点であろう。

原因としては『令和の太閤記』がやりたかったけど、諸々の事情で秀長メインになったことに端を発する主人公への制作陣の思い入れのなさ、小一郎を主人公にするなら必須の兄との役割分担が全くなく、二人でどうにか一人前の『秀吉』になってしまっているバディもののセオリーの欠落、身内には『我らは武士になったんじゃ』と人質を出させておきながら、自分はいつまで経っても武士の自覚が芽生えない主人公を『さすが小一郎じゃ』とワッショイする薄気味悪い構図……要するに『主人公さえいなけりゃ楽しめる』という、今までのスィーツ系駄作大河とはビミョー異なる作品といえるが、どう贔屓目に評しても、

 

『軍師官兵衛』以上『どうする家康』以下

 

の誹りは免れ得ないであろう。毎年の総評でやっている『当年の大河ドラマを食べ物に例える企画』も現時点の候補では、

 

舎利マズ創作寿司大河

ピストル大泉大河

負けた時の究極のメニュー大河

 

と悪い意味でバラエティに富んでいる。秀長は本能寺以降、名実共に乱世の表舞台に飛び出す訳で、ここからの巻き返しを期待……と言いたいところではあるが、それは流石に難しいであろう。

 

 

 

さて、今年下半期の注目作は新作では『ワールド イズ ダンシング』で二期目では『逃げ若』かな。この室町ブームに大河ドラマも乗っかって欲しいけど、再来年までは予定が決まっているのが残念。『攻殻機動隊』も注目はしているものの、草薙素子の声は偉大過ぎる先代のイメージが強いので、慣れるまでに時間がかかりそう。しかし、秋アニメは今のところ、これといった注目作がないんだよなぁ。2027年に入ると『ラーメン赤猫』や『あかね噺』の2期があるので、そこまでは我慢の日々か。

 

 

 

 

羽柴長秀「何とか説き伏せることは出来んかのう。わしはこの戦、一滴の血も流さずに終わらせたいのじゃ……まだ、はっきりとした策は浮かばぬが……やりたいのじゃ」

 

ノープランッ! ノープランだッ!

 

他の登場人物がコツコツと積みあげたクオリティを、主人公のゴミのような一言一句で切り崩してゆくことに定評がある今年の大河ドラマ。今週初登場のクロカンとか、コイツは如何にも才気が勝ち過ぎて、己の舌を過信して年単位で地下牢にブチ込まれて、晩年は猿の形をした猜疑心になった秀吉に警戒されて、関ケ原の戦いの結果を聞いて『弓も引かずにただ待つだけで天下取ったか家康よ&十万の兵士率いて敗れた石田三成愚か者』と武田鉄矢の歌声で愚痴りそうな雰囲気マンマンで、ヘタすると2014年の大河ドラマの『ぼんくら』よりもクロカンっぽくてワクワクするのですが、残念なことに今年の主人公はクロカンではなく、小一郎とかいうジェネリック『天地人』の偽善者なんだよなぁ。

そもそも、竹田城を無血開城させたいとか言われましても、そらぁ、誰でも戦争は血を見ずに終わるに越したことはないと思っている訳で、その前提が通じない時代の作品で、それを敢えてやりたいとしたら『何のために?』をキチンと言明するのが筋でしょう。国衆の懐柔とか、戦後統治を見据えた展望とか、銀山の労働力確保とか、何らかの理由を提示したうえで、更に通常の攻城戦とのリスクの差異を解説して頂かないことには、前線の将兵も後方のノッブも納得しないのではないでしょうか。これを見た視聴者が無条件で、

 

「キャー! 不殺を掲げる小一郎さんカッコイー! あげちゃうわッ、わたしのパンティー!」

 

と狂喜乱舞すると思っているのでしたら、そいつぁ随分とオカドチガイな考えと評さざるを得ません。そのうえ、無血開城のノウハウはノープランとか戦争をナメ腐っとるにも程があります。『何のために?』と『どうやって?』が欠落した主将の命令に誰が喜んで生命を預けたがるのでしょうか。

最終的には地味な持久戦&小手先の詭計の合わせ技一本で勝利した小一郎ですが、如何せん敵将の描写が余りにゲス雑魚過ぎて、これが仮に史実や巷説通りであったとしても、

 

こんな相手に勝ったところで小一郎の株があがる訳では全くない

 

という致命的な作劇ミスには言葉もありません。挙句にゲッスい太田垣を殴って、

 

小一郎「あ、血が流れちゃった、メンゴメンゴ(・ω<) テヘペロ

 

とか悪い意味での漫画の主人公のような軽い物言い、ホンマ薄っぺらい。

実際、本作の小一郎って欠点は乙女心に鈍いだけといういつの時代の少年漫画の主人公だよというレベルのくっさいキャラクター設定なんよね。近年の大河ドラマの主人公は『まーちゃんは意外と嫌われている』『メンヘラマジレスニート』『美化されたのは顔面だけの下半身モンスター』『キノコ』『ヘタレ白兎』『KY托卵女』『絶対フンドシコケにするマン』といった具合にキッチリと欠点も設定されていたし、本作も小一郎以外は冒頭で触れたクロカンのように短所を踏まえたキャラクター設定が出来ているのよ。それが小一郎に関しちゃあ、ラノベや転生もののでも滅多にいないレベルの薄気味悪い人格のっぺらぼうで、ノッブとか十兵衛とか権六とか高虎とか三成とかが必死に面白くしていたストーリーが、主人公が出てくるとオリジナリティも史実へのリスペクトの欠片もなく、歴史劇ですらないストーリーの連打に変わるの、ホンマどういうことなの? それこそ、先々週の嫁の過去編もそうでしたけど、いっこも面白くない創作を延々と見せられる苦痛といったら、基本的にドラマは役者の『間』を見るためにも通常速度で見ている私が、前々回と今回は倍速視聴に切り替えたくらいでしたからね。『耳障り』という言葉をドラマ化したら前々回&今回になると思う。

先日、旧Twitter界隈で『どうする家康』と『豊臣兄弟!』のどっちがマシかという議論が囁かれていましたけど、私的には『どうする家康』のほうがマシだと思います。『どうする家康』もハズした時のクソつまらなさは『豊臣兄弟!』とどっこいですけど、ツボるにせよ、スベるにせよ、そこに主人公がキチンと関わっていましたからね。この辺は、

 

同じ料理人でもシェフ大泉の料理とピストル大泉の料理くらい違う

 

のではないかと思います、思えない?