まんまとハメられた。
劇場版Ⅱの顛末や終盤に突入した本編の情勢から考えて、てっきり、杉下の警視庁におけるスタンスが問われる『暴発』のような回になると思いましたが、蓋を開けてみると、ミクロな犯罪→マクロな組織の影→でも、犯罪の基幹はミクロな動機という、見事なまでの相棒の定番。小野田官房長とか劇場版Ⅱで出た連中の名に踊らされてしまいました。完敗です、ハイ。先回の感想でも述べたように杉下の正義と警察の正義の真っ向勝負を期待していた点では残念でしたが、ここは脚本家の巧妙な騙しの手口を素直に褒めたいと思います。べ、別に負け惜しみじゃないんだからねッ! 勘違いしないでよねッ!
犯罪の構造は杉下が述べたように単純なものでしたが、インテリヤ○ザ→トレーダーへの情報漏洩に起因する殺人の引き金になったのが、警視庁監察官→ブン屋への情報漏洩という二重構造。こういう構成がホントに好きだよなぁ、ここのスタッフ。
二木田栞。
今回のゲストキャラ。監察官の権能を利用して杉下を自らの監視下に置き、事件の真相から遠ざけようとしましたが、アンタの上司のラムネさんは全てお見通しでした。流石は大河内監察官、役者が違います。演じられたのは堀内敬子女史。ミュージカル女優だけに声の張りがいい。個人的には『The有頂天ホテル』の客室係が印象に残っていますが、今回のようなインテリ女性もキチンと演じられる方です。season9はこういう演技派のゲストが多いのが嬉しい。
「現場の人間にとって大事なことは犯人を挙げることで、警察官同士でチクりあうことではありません。杉下警部の考えることもやることも殆ど、自分には理解できません。ですが、事件解決のためなら、利用できるモノは何だって利用する。ただ、それだけですから」(伊丹憲一)
イタミン△!
降りかかった火の粉とはいえ、組織内部の暗闘の片棒を担がされた杉下たちと違い、あくまで、現場に心血を注ぐイタミン。今回の話には『相棒』の主要キャラが杉下の監察というフィルターを通して、それぞれの立ち位置を明快にするという目途もあったと思いますが、一番、カッコよかったのは、やはり、イタミンでした。一方、角田課長は、
「暇つぶしと称して特命係を監視している(キリッ)」
嘘をつけ……といいそうになりましたが、そういえば、season7の第一話で大河内監察官にそんなことをいっていたな。
次回は陣川ェ……。同じシリーズで2回目の陣川投入。葛根湯みたいな扱いだな、ヲイ。