『江~姫たちの戦国~』第7話『母の再婚』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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今回は普通に観れました。


そりゃ、突っ込みたい点は腐るほどありましたが、とりあえず、コレは捏造ではなく創作ですと強弁できないこともない範囲に収まっていたので、よしとしましょう。秀吉の水戸黄門ごっこもパロディと割り切っていると思います(そうじゃなかったら、色々な意味でヤバイです)。創作というより、強烈なたぶちんフィルターの掛かった戯画(カリカチュア)でしたが、巷間に伝えられている清州会議を大きく逸脱していないことが幸いしたといえます。

やっぱりね、普通でいいんですよ。

普通に歴史を追い、普通に歴史を描く。それだけで観れる話になるんです。歴史に興味も敬意も抱いていない人間が歴史劇の脚本を書くなら、それで充分なんです。通説を覆すほどの奇抜なアイデアや斬新な解釈を取り入れるなんて、余程の腕がないとできないことです。ムリに歴史上の人物や事件に主人公を絡ませる必要なんてない。その意味で今回の話は脚本家の身の丈にあったサイズに収まっていたと思います。


それでも、どうしても指摘しておきたいことがあるので続けます。議題は羽柴秀吉の受難。


まず、何で秀吉がここまで嫌われているのかの描写が全くない。


サルの顔が嫌い。性格が嫌い。卑しい出自が嫌い。うん、まぁ、一人の女性の感性としては、それでもよろしい。でも、大事なことを忘れていないか? そう、万福丸のことだよ。 アレをキチンと描いていないから、御市たちが秀吉を嫌う理由が曖昧になっている。秀吉嫌いを表現する言葉が何の脈絡もない罵詈雑言に終始している。御市と勝家の政略結婚も、織田家のためではなく、単に秀吉を追い落としたいという私情に基くものにしか見えなくなる。秀吉を悪、御市を正義に描きたいんだろうが、現実には御市のほうが織田家の内紛を煽ったように写るわけで、

「母は武将の心で嫁ぐ!(キリッ

といわれても説得力はゼロ。この記事 でも述べたように、キレイキレイな絵空事に感けて、歴史の現実とド正面から向きあわないから、こういうことになるんだよ。それにしても、


ここまで薄っぺらい秀吉ははじめてだぜ。


何、あの小物感丸出しのラスボスの描き方。『天地人』のコブ康に匹敵するぞ。これから、浅井三姉妹は秀吉に(性的な意味でも)酷い目に遭わされるわけだから、悪く描くのは判る。悪く描くのは一向に構わないが、小物臭を漂わせるのはやめろ。秀吉を小物臭く描けば描くほど、その意向に屈しなければならない浅井三姉妹もまた、小物臭く観えるだろう。主人公の魅力を際だたせるには、敵役も有能、且つ巨大に描かなければならない。そんなことは梶原一騎の劇画作品や『ガラスの仮面』を見れば一目瞭然だ。その程度の計算もできないから、この大河は漫画以下といわれるんだよ。あぁ、緒形秀吉(『黄金の日々』ver)が懐かしい。

尤も、秀吉の小物ぶりと裏腹に袴田秀長、柴官兵衛の描き方はいい。ラスボスを貶めた分のバランスを、この二人で取ろうとしているのかも知れない。この点は素直に評価したいです。


(これまでに比べて)突っ込む点は少なかったですが、見るべき点も少なかった回でした。