鬼平犯科帳番外編。
長谷川平蔵がまだ火付盗賊改方の長官となる数年前から着任初期の頃の物語。
加賀屋女中のお松は自分を捨てた男・煙管職人の勘蔵を絞殺した。
殺害で朦朧としていたお松は通りすがりに襲われたところを小間物屋の長次郎に助けられた。
その繋がりで倉ヶ野の旦那・徳兵衛に囲われ京都で数年間を暮らすことになる。
御徒頭の平蔵が御用聞きの三次郎から女中行方不明と煙管職人が殺された話を耳にしてから幾年かが過ぎた。
お松や長次郎は知らないが、実は徳兵衛は中国筋を縄張りにした大盗賊の頭だった。
最後のお務めに江戸を選んだ徳兵衛はお松を手切れして江戸に返し、錠前外しの名人である豆岩の岩五郎を仲間に誘う。
しかし岩五郎は火盗改め筆頭与力・佐嶋忠介の密偵なのであった。
火盗改め長官となっていた平蔵は倉ヶ野一味に網を張り捕縛に至る。
お松は母を早くに失い父からは顔に刀創を受け、同棲した勘蔵からは「不作の生大根」と罵られ捨てられるという不遇な女であったのだが、京での暮らしで見違えるようになっていた。
長次郎の店に戻ったお松は、ある日薬舗回生堂の主人に見初められ、遂には女将さんに収まることとなる。
そして早や五年。
いつしか男の子も授かり店の者達からも慕われていた。
そんなお松を久しぶりに見かける平蔵。
鬼平は彼女のかつての犯罪・勘蔵殺しを見抜いていたのだが。。。
