小説 蝉しぐれ 藤沢 周平 | てんつぶ

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牧文四郎十五歳からの青春記。
江戸から百二十里離れた海坂藩。
養父・助左衛門は藩内の内紛で腹を切らされる。
互いに淡い思いを抱いてた幼馴染みのふくは江戸へ去り奥勤めから殿のお手が付き届かぬ人へ。
文四郎は罪人の子と虐げられ苦労するも反動で打ち込む剣術の腕はめきめき上達した。
支えてくれたのは小和田逸平や島崎与之助などの友。


ようやく家禄が戻った文四郎。
ある日父切腹の真実を知る。
今の筆頭家老里村が対立する横山派を退けるためにその手足であった父たちが犠牲になったのであった。
その里村から欅御殿に潜むふくが生んだ藩主の息子を屋敷に連れてくるよう難題を突き付けられる。

決行の日、文四郎共々一網打尽に葬ろうと襲ってきた里村派を振り払い文四郎はふくと子を次席家老横山に託す。
謀略に敗れた里村派は追放されることとなる。


二十数年の月日が流れた。
藩主も病死し、側室であったふくは尼寺に出家することを決意する。
助左衛門を継いだ郡奉行文四郎は、そんなふくから呼び出しを受ける。
それは後悔と満足の入り混じった再会であった。