冴えわたる満月が中空にあった。今にも魂が吸い込まれそうな神秘的な輝きだ。玲瓏たる輝きが、蒼くタジマの山野を浮かび上がらせていた。
他のものとは一線を画すほど高床の大きな建造物には、夜の静けさをかき乱す喧騒があった。女たちが音楽に合わせて身をくねらせるように踊り、男たちが卑猥な調子ではやし立てる光景が屋内に見える。その酒宴の中心にいるのは、黒頭巾の巨漢だった。壮健な雰囲気を身にまとい、ただそこに座っているだけで恐ろしいほどの力感が伝わってくる。しなだれかかる女の酌を受け、黙々と盃を口に運んでいる。
「カガチ! カガチよ!」酒宴の騒ぎを割って、甲高い声と荒々しい足音が近づいてきた。
黒頭巾の男は猛禽類のような鋭い眼を動かし、廊下から柱の間を抜けてくる男を見た。
「カガチ! 大変だぞ」
「何事だ、ミカソ。騒がしい」
「たった今、キビからの伝令の鳩が。カヤがカナンに落とされたらしい」
「なに?」
カガチの形相が一変し、その場の雰囲気も一変した。凍りついたようになったのは、知らされた情報が驚くべきものだったこともあるだろうが、むしろそれを知らされたカガチが示す態度に、周囲が恐れおののいたからだった。
「それで? キビはなんと?」
「救援を求めているようだ……」ミカソも喉を詰まらせたように答える。
「ヒメジから援軍を送るように伝えろ」
「わ、わかった」
そばに置いていた剣を取り上げながら、ゆっくりとカガチは立ち上がった。ほかの男たちよりも、頭一つか二つは背高い。小柄な女など子供に見えてしまう。カガチが剣を鞘から抜き、女たちが怯えて後ずさりする。
「おい……」カガチは低い声で、女たちに取り囲まれていい気になっていた部下のひとりに剣を向けて言った。「貴様、なぜカナンの動向に気づかなかった。俺は命じたはずだぞ」
「あ、いや……」
「能無しが」
カガチの脚が、びゅっと唸りを上げ、部下の頭部を払った。ちぎれるのではないかというほど首が伸びきった状態で、部下の身体は転がりまわった。鼻血と共に、うわああ、と何とも言えぬ呻きを上げ、もがき苦しむ。
カガチは宙を見据え、忌々しげに毒づいた。「カナン……。後からのこのこやってきて、国をかすめ取る泥棒めが。この国は俺が作り上げた国ぞ!」
カガチは数名の同胞と共に半島を追われた身だった。同族はほとんど皆殺しにされ、筆舌に尽くしがたいほどの辛酸を舐めて生き延び、ワの島国に漂着した時にはほとんど身一つ、すべてを失った状態だった。
さいわいに持っていたクロガネを作る技術だけが彼を救った。鉄文化の後進国であるワは、再起のためには絶好の場であった。クロガネ作りを普及させ、その利便性で民を魅了しながら、彼は富を得、勢力を拡大させ、今では力による恐怖支配の構造を作り上げていた。それもこれも、いつかは大陸のやつらに復讐するためだった。それをこんなところで……。
「おいっ! 新しい剣はできておるのか!」
次にカガチの憤りの矛先が向けられた部下は、蒼白になりながら慌てて言った。「も、もちろんだ。今までより強い剣を今、量産しているところだ」
「急がせろ。強い剣さえあれば、数ではこっちがカナンを圧倒できるのだ」
部下はがくがくと頷いた。
「アカルを呼べ……。誰かアカルを呼んで来い!」
怒声を浴びて一人が慌てて席を離れる。
「そ、その剣のことだが、カガチ」もっとも信頼が厚い部下であるミカソでさえ、声が震えていた。「じつはちょっと見せたいものがあるのだ」
「なんだ?」
「これを――」ミカソは手にしていた麻布でまいた長いものをカガチに差し出した。
怪訝そうにカガチは受け取った。自分の剣はその場に突き立て、麻布を開く。
中から現れたのは、荘厳な輝きを持つ剣だった。
「イナバの浜に難破船が漂着していた。船には誰もいなかった。たぶん皆、海の藻屑となったのだろう。だが、船の甲板にこれが突き立っていた」
「これは……」カガチは目を奪われていた。絶世の美女に魅了された男のように、うっとりとした眼差しだ。「なんという見事な……大陸でもこのようなものを見たことがない」
「不思議なのだ。おそらくその剣は何日も浜で潮風を浴びていたはず。なのに、まったく錆びてもいないのだ」
「まことか……」
「しかも、なんというのか、その剣には霊妙なものを感じる。持つと、なにかこう、手がしびれてくるような……痛いような心地がするのだ。俺にはとても長くは持ってはいられぬ。どうだ、感じぬか」
「おおよ。感じる」剣を握るカガチに変化が生じていた。陶然となっていた顔は、灯明の中でさえはっきりとわかるほど、赤く照り映えはじめ、呼吸が荒くなってきていた。「ものすごい〝気〟を感じる。感じるぞ! なんという力だ! これは並の剣ではない」
漲ってくる力がカガチの肉体を通じて、こぼれ出てくるようだった。誰もが息を呑んだ。錯覚ではなかった。カガチの肉体は変化し始めていた。もともとの巨漢が、さらにひとまわり、肉付きを盛り上げたように膨張し、すでに備わっていた力強さは、さらに凶暴な肉食獣の雰囲気へと変容していった。頭巾で隠されている頭部にも、なにか隆起してくるものがあるように見えた。
いきなりカガチは剣を一振りした。彼が床に突き立てていた剣は、あっけもなく折れた。
にやりとカガチの表情が歪む。口元から長い牙のような犬歯が光った。そして彼は笑い始めた。笑いの衝動が突きあげてきて、こらえきれなくなったように笑い始め、やがて高笑いに変わっていった。それは狂気じみたものだった。
全員が怖気(おぞけ)をふるった。
「ミカソ……お前、でかしたな。よくぞ、これを俺のもとへ届けた」
「お、おう」
「これはこの世のものではない」
言下にカガチは動いた。もともと機敏な男だった。だが、そのときの動きは灯明の中では消えたと思わせるほどの素早さだった。
何が起こったのか、すぐに理解できた者は少なかった。さきほどカガチが蹴り飛ばした部下は、ようやく立ち上がろうとしたところだった。ところが、その男の上半身は、直後にすとんと床に落ちていた。その瞬間には彼はまだ生きており、いきなりまた低くなった視野に戸惑い、そして自分の下半身がないことに絶叫した。
彼の身体は二つに分断されていた。彼の断末魔の絶叫と、女たちの悲鳴が折り重なって、夜闇の世界を駆け巡った。
「これさえあれば、怖いものなどない……。とてつもない力が湧いてくる。これは鬼神の剣に相違ない。まさに俺が持つべき剣……ふ、ふはははッ! すごいぞ、これは。たまらぬ。たまらぬぞ!」
噴出するマグマがしたたり落ちるような熾烈な欲望の奔流が、カガチの全身を貫いていた。凍りつく空気の中、その場の多くの者が、たった今カガチによって惨殺される予感を抱いた。彼は何かに憑りつかれていた。剣の凶暴な力に魂を奪われたのだと確信させるものだった。
「おい、女ども」
先ほどまで酒に酔い、歌い、踊っていた女たちは、小動物のようにすくみ上がった。
「来い。伽(とぎ)の相手をせよ」カガチは歩き出した。
が、女たちも怯えきっており、動き出せずにいた。
「まいれ!」
怒鳴りつけられ、弾かれたように動き出す。性の相手をさせられるだけではなく、嬲り殺されてしまうのではないかという恐怖が巣食っていた。
女たちを引き連れてその場を去るカガチと、先ほどこの場を離れた部下と巫女が出くわした。呼びつけておきながら、カガチはその巫女を無視してその場を去った。
アカルというその巫女は、すれ違うカガチを驚きの顔で見送った。まるで別人だったからだ。
そして、その場の凄惨な有様を見、息を呑んだ。
「ふつのみたま……」
その言葉が、ふっと天から降ってくるように巫女の口を突いて出た。アカルは自分自身、この言葉に打たれたように、はっとしてカガチを振り返った。
月明かりの下、女たちを引き連れて立ち去って行くカガチの後ろ姿に、魔性の気配が重なって見えた。
――同刻、トリカミの里。
スサノヲは同じ満月を見上げていた。秋の虫たちの調べが、競い合うようにあたりには満ちていたが、ほんのわずかな気配を彼は聞き逃さなかった。
「どうした? こんな夜中に。眠れぬのか」
その問いかけを受けたクシナーダは、ほとんど感じないゆるやかな風のようにやって来て言った。「はい。心がざわざわします」
「満月は人の心を騒がせる力を持つようだな」
「はい」
スサノヲはその返事を聞き、クシナーダの顔を見た。「はい」という、そのヒビキ。
「スサノヲ様も?」
「その『様』というのは、やめてくれ」
「はい」
またスサノヲはクシナーダを見た。月光に照らされ、その白い頬がいっそうに透き通るようだった。
彼女が「はい」という肯定の言葉を発するときが、なぜかスサノヲは好ましさを感じた。とても素直な反応としての言葉であるからだけではなく、なにか自分の存在を受け入れてもらえているという優しさを感じるからだった。
「では、スサノヲ――」
「なんだ」
「眠れぬ者同士、少しお話を致しませぬか」
「なんの話を?」
「天界のお話を聞きとうございます」
ふっとスサノヲは歯を見せた。「なにを言うかと思えば……。クシナーダは知っているのではないか? アシナヅチも、そなたも、この世の人とは思えぬ目と耳と、そして意識を持っている」
「わたくしはただの人でございます。この世のカタチに縛られた、肉を持つ身の一つに過ぎませぬ。感じることはできるのですが、天界のことはこのカタチの身では正確に理解することができないのです」
「それは……そうだろう」
「ですから、お伺いしたいのです」
クシナーダはスサノヲのそばで返事を待っていた。やや躊躇しながら、スサノヲは「いいだろう」と答えた。その言葉を得て、クシナーダは笑顔を浮かべ、スサノヲが腰かけている大きな岩の隣の岩にそっと腰を下ろした。
「ただ、今となっては俺も天界のことをうまく伝えることは難しい。それはコトバで伝えるられる世界ではないからだ」
「それでもお伺いしとうございます」
うむ、とスサノヲはうなずき、考え込んだ。「何を話せばよいのだ」
「スサノヲは天界ではどのようなお姿だったのですか」
「姿はない」
「やはり」
「そなたが言っていたように、カタチというのはこのネの世界のもの。天界にはこれというカタチがない。どのようにもなり得る。強いて言うなら――」スサノヲは空を仰いだ。
「言うなら?」
「この月の光のようなもの。あるいは流れる水のようなもの。見えざるヒビキの調べのようなもの」
「いかようにも変わるということ?」
「そなたは頭がいい」
クシナーダはにっこり笑った。
「光はただ光であるだけでは、なにも映さぬ。そこにカタチがあれば、カタチを浮き彫りにする。水は流れて、川のカタチでいかようにも姿を変える。声も音も、ヒビキは響かせる存在(もの)によって変わる」
「スサノヲ様は――いえ、スサノヲは――さぞかし強い光でありヒビキでしたのでしょうね」
「光にもヒビキにも、いろいろある。いや、光もヒビキも、実は同じものなのだが――」スサノヲは言葉を選び、そして思案に沈んだ。適切な表現を探し求めながら、なかなか見つけることができない。
言葉を待っていたクシナーダは、別なことを言い出した。「わたくしたちの民に伝わる古い物語には、天界で乱暴を働いた神のことが語られています。その神は姉であるヒビキの女神と争いを起こし、傷つけられた女神は岩戸に姿を隠します」
「それはたぶん俺のことだ。わかりやすく人のような物語として伝えているのだろう」
「すでに私たちに伝わっている物語が、今ここにいるスサノヲのことを語っている?」
「不思議に思うだろうな。俺は今やってきた。その俺の物語は古くからある」
「はい」
「それがこのカタチの世界、ネの国の限界だ。じつは天界では『時』は存在しない」
「『時』がない?」
「すべてのものは混沌として、あやふやな状態で漂っている。なにもはっきりとした形を得ることはなく、なにでもなく、なんでもある状態として、ヒビキそのものとしてある。それが天界なのだ」
それを聞き、クシナーダははっとなった。「わたくしたちの物語では、天地すべてを生み出した夫婦の神、イザナギ・イザナミ様はなにも定まらぬ漂った海から、カタチを作り出したと……」
「それは真理をうまく伝えている」スサノヲは驚きながら言った。「その通りだ。天界では、すべては混沌としてヒビキとして漂っている。しかし、そこに意識が働きかけたとき、すべてが一瞬にして創造される。このネの世界の太古から今に至るすべてが瞬間的にすべて生まれるのだ」
「つまりスサノヲの古い物語も、今ここにいるスサノヲも、同時に生まれる……?」
「そうだ。そなたは本当に賢いな」
驚きを隠さないスサノヲの言葉に、クシナーダははにかんだようだった。月光の中で、少し頬の色が変わったように見えた。
「俺はこのカタチを、このネの世界のこの時間で得た。ただそれだけのこと。しかし、過去の世界のどこかでも俺を表現する別な存在がいるのだろう」
「それが太古の物語を作った?」
「それもあるだろう。が、おそらくアシナヅチやそなたのような者が古くからいて、天界で起きた出来事を、同じイメージとして感じ取って語り伝えたのだ。俺がこの地に降りた場所はスサという街だったが、そのはるか西にギリシアとかいう土地があると聞く。その国の旅人が教えてくれた。かつてウラヌスという天とガイアという地は一つに睦み合っていたが、憎み合って離れたと」
「まるでイザナギ様とイナナミ様の物語のようですね」
「大地の女神を傷つける海の神の物語。同じ大地の女神を怒らせ、隠れさせる冥府の神の物語。それはきっと、そなたがいうところの、ヒビキの女神を傷つけた弟の物語と、同じものだろう」
「面白い……」
「そうか?」
「はい」
スサノヲは彼女が「はい」というたびに、胸がざわつく自分に気づいていた。が、それは無視して続けた。
「その物語たちの大元は、天界で今、そして過去、未来でも起きているあることに関わっている。俺は天界ではあるヒビキであり、ある光としてあった。しかしもう一つ別なヒビキと光があった。大雑把にいえば、その二つのヒビキは、この世界……星の海までも生み出すためには絶対に必要なものなのだが……その……相容れぬものを持っている」
うまく伝えるために言葉を選び続けねばならなかった。
「たとえばこの世の男と女と同じような対極のものだ。そなたらも男と女が交わって、はじめて子が生まれるだろう。天界も同じような力の働きがあり、対極の働きが交わり、新たなものの創造が行われるのだが、それは対極であるがために強く引きつけられもするし、また時には反撥もする。そのヒビキがうまく均衡されたら、創造がうまく行く。しかし、時には均衡が崩れることがある。いや、それも崩れるようになっているのだが……崩れたときに、ヒビキの女神は岩戸に籠る。そういう意味では、ヒビキの女神を岩戸に籠らせたのは、たしかに天界でのヒビキとしての俺の働きだ」
「それが神話の真相なのですね。わたくしたちの物語では、岩戸は開かれねばならぬようになっています」
「ヒビキの女神を外に呼び出すため?」
「はい」
「面白いな」
「はい」
しばし、二人の間には沈黙が生じた。鈴虫のヒビキに包まれたその時間は心地よいものだった。「あ……」と、二人は同時に話し出そうとして、互いに遠慮した。
「ごめんなさい。どうぞ、あなたのほうから仰ってください」
「いや、たいしたことではない」
「たいしたことでなくても聞きとうございます」
「あ……その……」言葉がうまく出てこなかった。「巫女というのは、この国では生涯独身なのか」
何を聞いているのかと、スサノヲは自分を疑った。
「そのように生きる者も多くございます。でも、巫女を捨てて男性と目合(まぐあ)ひ(結婚)を結ぶ者もございますよ」
「そなたはこの里の――いや、このワの島国の、もっとも貴い巫女なのだろう。そなたが巫女でなくなったら困るのだろうな」
「巫女はわたくし以外にも大勢おります。この里にもミツハや、他にも育っているものがございます」
「しかし、岩戸を開くほどの霊力があるのは、そなただけなのだろう」
「今のところは……。ただ……」
「ただ?」
「その……性の交わりをすることで巫女としての霊性が失われぬ場合もございます。むしろ強まることさえございます」
「ほう?」
見ると、クシナーダは真っ赤になっていた。
「それはどのような場合なのだ」
「その男性との……その……ヒビキが合うということです」
「相性ということか」
「そうとも言えるのですが、その方が巫女としての資質を壊さぬ、清き心をお持ちであることも条件です。アシナヅチ様と、もう亡くなられた大巫女様は、そのようなご関係でした。ですから、お二人はお互いの力を強めあって、とても高いところへ達されたのです」
「なるほど……。クシナーダは、何を?」
「え?」
「さっき、何を言おうとした」
「ああ、あの……」
火照りを鎮めようとするように、クシナーダは指先で自分の顔に少し風を送るようなしぐさをし、それを見てスサノヲは心の中である感情が強く動くのを感じた。それは彼女の存在自体が、すごく愛しいとか、好ましいとか感じる、心の動きだった。
「すみませぬ。もしかしたら、お怒りになるかもしれないのですが」
「言ってみてくれ」
「スサノヲがヨミへ行かれるのは、母なるイザナミ様に会うためではないでしょうか」
すぐに返答ができなかった。図星だったからだ。
「やはり、そうですか」と、クシナーダのほうで結論を出した。「お気に触りましたか」
「いや……」
「なんのためにイザナミ様に会いに行かれるのでしょうか」
もはやごまかしは無意味に思えた。
「なんのために自分がこの世にあるのか、その意味が知りたい」
クシナーダは絶句し、つぶらな瞳を見張った。その答えは彼女の想像していたものとはまったく違ったものだったからだ。ミカホシの光が地球に到達する幻視を得たとき、ミカホシは母に会うために来るのだと、クシナーダは気づいていた。
それは母を失った子が、その母を恋い慕うのと同じだと、単純に考えていた。それはあまりにも擬人化した表現だったのかもしれない。
根本にはそうだと言えるのかもしれない。きっと、それは「人」となったスサノヲの中にもある。
けれど、ここにいるスサノヲは母の胎から生まれたのでもない。
普通の子が母に感じる皮膚の感触や乳の味も、子を愛おしむ母の言葉も笑顔も、彼はまったく知らないのだ。だから、恋い慕う感情さえ、じつは彼には実感としてはないのではないか。
彼は孤独なのだ、と痛切にクシナーダは知った。この世に、誰とのつながりもないままに生れ落ちて、超人的な力を代償のように得てはいるが、それすらも他のか弱き人間とは明らかに違うということを証明するだけではなかったのか。
この男性(ひと)を抱きしめたい。
ほとんどそれは実行しそうになるほど強い想いだった。クシナーダの精神は肉体を抜け出して、すでに彼を抱きしめていた。
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