幸せへのプロセス 3 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

幸せへのプロセス 1
幸せへのプロセス 2
の続編です。

土星管理社会の制限は少なくなることで、私たちには選択肢が増え、より広い世界で生きられることになりました。
しかし、これは同時に個人の負担を増やすことにもつながります。
なぜか?

江戸時代の封建社会では、個人の選択肢が社会によって限定されていたので、できることは少なかった(現代より)。
これは誰が考えてもそうだと思います。
これはつまり社会が、運勢としての土星を担ってくれていた、ということも意味します。

ところが社会が、土星に関する情報をかなり個人にゆだねてしまったのですから、個人はこの土星と向き合って行かねばなりません。
そういう意味では、江戸時代の人のほうが土星の負担が少なく、楽だったともいえるのです。
もちろん、これは生活程度とか、飢饉が起きれば飢えて死ぬ農民とか病気でたやすく命を奪われるとか、身分制度で差別されるとか、そのような現実のほうがましなどということではありません。
あくまでも個人が背負う、土星という運勢の分担の問題です。

現代ではこの土星の運勢は、かなりの部分個人が背負っています。
選択肢が増え、広い世界で生きられる。が、その分だけ責任(土星)や課題や試練(土星)も自分で向き合って行きなさい、というのが、今の私たちなのです。

このことを人生にうまく取り入れられないと、うまく幸せになれないということも起きてきます。
先日の「幸せについて……」の記事で書いたように、幸せはかならずバランスシートに乗っています。
自分のやりたいことだけをやる、酒が飲みたければ毎日浴びるだけ飲む、博打や女遊びがしたければ借金してでもする……こんな男が結婚していたら、その家族は大迷惑です。
当然、家族との間にはまともな愛情の交流もなくなり、逆に彼は孤独になっていきます。
(ちなみに土星の中には「孤独」という意味もある)
自分のやりたいことをやって幸せな気分に浸っているのは、酒や女に寄っているその時だけで、次第に現実という土星が彼に迫ってきます。
払わねばならない借金、仕事をする苦痛。
愛想を尽かした妻子が求めてくる養育費の支払い。
へたをすると立て直すこともできず、人生がぼろぼろになっていくこともあり得ます。

彼がトータルで見たときに幸せを手にするためには、最初から土星と向き合う必要があったのです。
責任とか決まり事を守るとか、そんな自律が必要だった。
この責任や自律も、土星のよき資質です。

土星と向き合うことで、バランスシートがうまく機能する。
彼は妻子のために働き、収入を得、夫や親としての責任を晴らすということが、やはり必要だった――なんていうことは、ここであらためて書くまでもなく、皆さん、「とっくに知ってるよ」という感じだと思うのですが、占星術上の土星という天体に焦点を当てると、こういったことになってくるわけです。

よく犯罪に対して、法律の厳罰化でそれを抑制しようという動きがあります。
これは社会の管理する土星機能を強化することで、個人にある種の制限を加えるという、占星術的に封建時代へ逆行するような動きです(それが良いとか悪いとかいうことは、ここでは論じません)。

本来は土星管理社会から解放された人々が、自分なりの責任や自律をちゃんと持てば、法律を厳罰化する必要もなく、やさしくて多くの人が幸せを共有できる社会ができあがるわけです。

こういった土星の求める対価を払うということが、じつは現代においてはとくに重要で、これを無責任に放棄してしまうと、人は幸せになりにくいのだということが浮かび上がってきます。

ましてや、今は土星よりも遠い天体、天王星、海王星、冥王星、またそれ以外の占星術上の候補星も見つかっている時代です。
これらのトランスサタニアンは、かなり個人の運勢の中では問題を引き起こすことも多く、土星管理社会の時代には、土星軌道がこのトランスサタニアンから私たちを守ってくれていましたが、土星がこの役目から後退している現代では、私たちはこの扱いにくい、厄介な星たちとも向かい合って行かねばなりません。

これが結局、トランスサタニアンが発見される以前の人間のホロスコープを読むときには、土星以内の7天体で良いという論理的な根拠にもつながっています。
人は社会制限を受け、そのそれぞれの社会の中で、7天体の力だけで生きて行けばよかった。
が、今は10天体と自分で向き合って行かねばならない。

こういった時代の変化も、私たちの幸せに、いろいろな干渉を加えてきています。
幸せになりにくい状況というのも、ある意味、増えてきているわけです。

「えー、それじゃ、昔のほうが良かったかも」と思う人もいるかもしれません。

しかし、10天体を使おうとすれば使える私たちは、かつてと比べるとものすごく可能性が広がっています。
地球を飛び回って活動したり、ローカルな感覚を超えた視点を手に入れるためには、これらのトランスサタニアンが絶対に必要で、そのおかげで現代人は物質的にも精神的にも、かつてない高みへ至る扉が用意されています。

私は皆さんに、このより広大で、より深遠な幸せへ至る階段を上がってほしいと願います。
そして、そのためには自分の中で、しっかりと土星を復活させる必要があります。

幸せへのプロセス、その一つとして私からの提言。
それは土星の意味を自分のものとすること。
責任、義務、勤勉、努力、忍耐、自律、厳しさ、思慮分別。
土星には様々な美質がありますが、これを自分の中に養うこと。
そうすることで、私たちの生活をトランスサタニアンの脅威からもある程度守ってくれる、一つの防衛線として働いてくれるようになります。

そうなれば、私たちは個人としても、また自分の周囲にいる人たちも巻き込んで、幸せになっていきやすい。

続きます。
次回は幸せになるための、具体的な様々な手法についても触れていきたいと思います。



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