占術の機能の違い 4 |  ZEPHYR

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 作家として
 占星術研究家として
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

前回まで読んでいただいたら、占術にもいろいろなタイプがあり、その特性にも違いがあるということはお分かりいただけるかと思います。

たとえばタロットや易は、変わりゆく状況に対しての答えは得やすい。

今どうすべきか、どちらの会社にすべきか、といったことです。

しかし、変化する状況に対応したのがタロットだけに、結論が変わることもある、という特性を持っています。
たとえばある年まわりにはAという出来事が肯定されていたのに、次の年になったらAは否定され、Bが肯定されるということもあり得ます。

このような「変化」は、時間経過や本人のコンディションによるところが大きい。

本人の生活態度や心がけなどが変化すれば、当然、選択できる未来も変わります。
時間経過とともに以前はAだったものがBに変わることもあるのです。

このような流動性は、場合によっては相談者に「前はこうだったのに、今度はこっち?」みたいな不信感を与え、信頼性を損なうケースもあるでしょう。

これは鑑定者本人も、相談者も、タロットや易の特性を理解していないと生じがちな誤解です。

そういう意味では、タロットや易は「永続的な結論を求める鑑定」には、やや不向きだと言えます。
「彼と一生幸せに暮らせるか」
とか。これらこそ、相互の関わり方、自分の彼への愛し方などで変わってくる問題だからです。

とはいえ、タロットでも
「彼はどんな男性ですか」
「彼とは相性が良いですか」
「自分にはどんな職が向いていますか」
「どんな男性が自分にふさわしいですか」
といった、本来の性格や相性を尋ねたり、自分の本質的な才能を尋ねたり、長い目で見たときにふさわしいパートナー像を尋ねたり、というような占いももちろん有効です。

しかし、
「幸せな結婚ができますか」
というような問いかけに対して、そのときは「OK」でも、2~3年経過したら結論が変わる可能性はあります。
なぜなら、その間にその女性が、たとえば慢心して人を傷つけることを繰り返したり、悪しき因縁を持つ男性との関係を深めたりという行為を繰り返せば、最初の鑑定時には「十分幸せな結婚ができるだけの運勢」を持っていたのに、それを霧消させてしまう危険もあるからです。

つまり本人の責任や生き方というのは、とても大きいのです。

しかし、タロットも使い方次第で、そのへんの裏事情を探ることも可能でしょう。
うまく行かない原因を探り出したり、どうすれば問題を解消できるかといった具体的な内容にまで踏み込めるのは、タロットやホラリーなどの得意ジャンルです。



通常の占星術などは、これらとは逆に、かなり時間の制限を受けない鑑定が可能です。
出生図では本人の性格や基本亭なさまざまな運勢が読み取れますし、未来のことも、ある意味でカレンダーやスケジュールのように、どの年回りがどういう運勢かということも、「いつ見ても変わらない結論」として用意されます。

「私はどんな性格ですか」
「30歳のときはどんな運勢の年ですか」
「何歳ごろに結婚できそうですか」
「結婚相手はどんな人でしょうか」

これらの質問も、だいたい同じ結論が、昨年見ようと、今年見ようと、あまり変わらぬ結論が出るはずです。
つまりタロットに比べて流動的でないのです。

しかし、このようなスケジュールのように決まった運勢に対応して、その人がどうすべきかということには、タロットほど具体的でないのが占星術です。
もちろんすでにお話したように、解読の仕方次第では結論は出せますし、先が見えるからこそできる助言もあります。
これらのことには鑑定者の経験が非常にものを言います。

また本人の生き方によって、星の活かし方が違うというのも、これはホロスコープをただ見ただけでは断定はできません。これはタロットと同じです。(注)
冥王星を復讐のために使っていれば、ろくな人生にならないのは明らかですが、ハードアスペクトの冥王星でも謙虚に受け取っていき、他人への愛や親切でそれを緩和している人は、これは人生の展開が大きく違います。

しかし、占星術はタロットや易ほど本人のコンディションに振り回されることはありませんし、いわば宇宙的な視点で結論や解決方法を提示できます。


占術にはそれぞれの機能と特性がある。
占いならなんでも同じような性能を持っている、というわけではないということです。

私は一人の占術家が、多くの占術を身に着けている必要はないと思っています。
一つを究めれば十分だというのが基本的な考え方です。
私の場合は、それは占星術ということになります。

しかし、占術の機能ということを考えたら、A-1と「A-2・B-2」の両方が使えるのに越したことはない、という言い方はできるでしょう。
タロットだけでは信頼性や永続性に欠ける場合がある。
占星術だけでは具体性に欠ける場合もある。

あくまでも一つのことを、あるレベルまで知識や技術を習得する、という前提はありますが、これから学ばれる方にはこうした占術の機能の違いは、知っておいてもらって損はないと思います。
また鑑定を依頼される側の人にとっても、ご自分の問いかけにより合った占術は何かということを考える手掛かりにもなるでしょう。


このシリーズは、とりあえずここで筆を置きたいと思います。
お付き合い、ありがとうございました。


(注)
タロットも占星術も、相談者を驚かせるほど真実を言い当てることがありますが、かといって鑑定者がなんでもかんでも「神の目」のようにお見通しだと考えるのは、とんでもない間違いです。
それぞれ占者も力量の違いもありますし、星の使い方やその人自身の生き方など、やはりディスカッションしなければわからないことは多くあります。
それがわかれば、またもっと深いところへ解読は踏み込むことができます。
ディスカッションが大事というのは、どの占術でも同じだと思います。


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