11年に1度の幸運というのは、都市伝説に近い |  ZEPHYR

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 占星術研究家として
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

昨日は立秋。

いきなり夜過ごしやすくなったので、驚きました。
まあ、これですぐに暑さがゆるむとは、とうてい思えませんが。

巷はオリンピックで連日盛り上がっていますね。

今月の12星座のタロットで、「運命の輪」がよく出ていたこと。
これはオリンピックのことではないか、というご指摘をいただいたいのですが、まさにそうなんでしょうね。

金環食の時は、「日食」そのものを表現する「月」のカードが多かったわけで。

しかし、どこかでこの8月を通過すれば、あるいは通過する課程で、それぞれの人の状況が変わる、好転するという全体傾向もあるだろうと思っています。
(あくまでも全体傾向)


ところでお話は変わりますが。

世に流布している「11年に1度の幸運」について。

今年は双子座に幸運の星である木星が入るから、双子座は大ラッキー。

今年のチャンスを逃すな!

てなことが、よく言われてしまいます。
これは木星が12星座を一周するのが、ちょうど11年かかるので、11年周期で幸運期が巡ってくるという理屈です。

これを読んだ双子座の人は、もちろん喜ぶでしょう。

一方でたとえばいい年齢が来た女性などは、「たいへんだ! 今年中になんとか結婚しなくちゃ」とか、かえって焦ってしまうこともあるようです。

前にもお書きしましたが、木星が自分の生まれ星座に入ったからといって、いきなり幸運になるわけではありません。

ではなにか?
すべての双子座の人が今年は幸運なのか?
全世界の?

というようなことを理性的に考えてください。

そのようなことは、現実的にあり得ません。

なのに、あたかもこの木星の効果が絶対的なもののように表記してしまうことが問題なのです。12星座占いの功罪というものの一つかと思います。

ちなみに一般的に流布している12星座占いと、私がやっている本格的な西洋占星術は、まったく別物といってもいい違いがあります。
それこそ天と地ほどの差があります。

これはちょうど、四柱推命の中で「空亡」が「天中殺」「大殺界」などの言葉で一人歩きしているのと、非常によく似ています。

この年回りは凶だ、何もするな、おとなしくしていろ。
こんな年回りに結婚したら離婚するぞ。

こんなことがよく言われてしまうのですが、ホロスコープで見たら天中殺の年回りに非常によい運勢になっている人間はけっこういます。

実際には、四柱推命では「空亡」や「天中殺」は全体の理論の、ごくごく一部でしかありません。
その運用には、非常に細かい相関関係を考慮しなければならない。
それをせずに「天中殺」だけを取り出して騒ぎ立てるのと、この「11年に1度の幸運期」は非常によく似ています。
(四柱推命の流派の中には、天中殺の存在そのものを否定しているものもあります)

なにが似ているかというと、膨大な占星術の知識の中の、本当に芥子粒のような一つだけを取り出して、大きな声で訴えられてしまうというところが似ているのです。

木星が自分の生まれ星座に入ることは、もちろんまったく無意味ではありません。

一つの星座に、非常に広く浅い効果かを及ぼすと思います。

しかし、本当に木星の幸運の効果が強く働くのは、自分の太陽に重なってきたときです。
このとき、バブル的な幸運期が発生します。
これは間違いありません。

木星の星座の中を移動するスピードは意外に速いときもあり、この太陽に重なる期間は数日で終了することすらあります。

1年の中で数日。

これで今年は双子座が幸運、などと、どうして言えるでしょうか?
(木星が逆行などを繰り返すと、長く作用する人もいますし、他にもその効果が長く持続する人はいますが、一握りです)

ただ、もちろん。
これまで努力してきたことが、木星効果の時期に実るとか、きっかけを得る可能性は大いにあります。
私が申し上げたいのは、やみくもにすべての双子座が幸運だと誇張することに問題があるということです。


私も12星座の今年についての記事を書いていますが、その表記の仕方はかなり気を遣ったものであることが、読むとお分かりいただけると思います。

実際のところ、12星座の運勢をひとくくりに語ることには、もともと無理があります。

今年の運勢などというものは、個人のホロスコープを詳細に分析して、はじめて判明するものです。

12星座占いを読むときは、まあ、ちょっと参考にしておこうか、くらいのスタンスが一番です。
あまり深刻に受け止めすぎないようにしましょうね。


追記
誤解のないように申し上げておきますが、今年せっかく幸運だと思いこんでいた双子座の人を落とす意図はまったくありません。
気を悪くされた方がいたら、ごめんなさい。