占星術では、様々なアスペクトを取り扱います。
よくご存じない方は、「ブログ・ガイド」の以下の記事をご覧ください。
<アスペクトについて>
この中に、トラインという調和的に働くアスペクトがあります。
地球を中心に見て、たとえば牡羊座15度と獅子座15度にそれぞれ天体があれば、これは非常に正確な120度=トラインを形成していることになります。
アスペクトにはある程度の許容範囲があり、誤差を認めます。
上記のものが牡羊座14度と獅子座16度であっても、たいていの占星術師はこの二つの天体にトラインが成立していることを認めるでしょう。
許容角の幅、オーブについても太陽や月などの天体では広く取る説があったり、接近と分離で分けて考えるなどの説がありますが、まあ、かならずしも正確な度数でなくても、そのアスペクトが成立するのだと、今はご理解ください。
すべての天体は、地球から見て太陽の軌道である黄道を中心として、その黄道が通るとされる12星座に散らばっています(正確には13星座だとかいうお話や、現実の星座と占星術の星座には大きなずれがあるというお話もありますが、ここではとりあえず天宮を12等分した個々のエリアに意味づけがなされているという立場で続けます)。
天宮は360度。
120度はその三分の一です。
円を描いてください。
その円の中心から、まず円周上の一点Aを定め、そこから120度のポイントBを取ります。
そのBからまた120度のポイントを円周上にポイントCを取ります。
120度は360度を正確に三等分したものなので、CからAも120度になります。
つまりABCはすべて、中心から見て120度の角度になり、見た目上、正三角形の頂点に配置されることになります。
このようなABCのポイントに天体が存在していることを、グランド・トラインといいます。
トラインという幸運のアスペクトが三つそろって、しかも相互に連動しているわけで、これは見た目にもキレイだし、普通に考えたら幸運×3のはず。
実際、占星術のテキストの中には、これら三つのポイントの天体が、それぞれによい作用をし合い、調和的な働きを強める、場合によってはマイナス要因さえ消してしまう最高の幸運のアスペクトだと解説しているものもあります。
グランド・トラインは基本的には、あるエレメントの中で発生していることが多い。
火のエレメント(牡羊座、獅子座、射手座)
地のエレメント(牡牛座、乙女座、山羊座)
風のエレメント(双子座、天秤座、水瓶座)
水のエレメント(蟹座、蠍座、魚座)
これらの星座は、もともと120度の関係だからです。
そして一つの星座は30度の幅と決まっています。
星座の境界付近に天体がある場合は、違うエレメントが混在するケースもありますが、多くは同じエレメントで発生します。
グランド・トラインはこれらのエレメントの質を強化するとも言われています。
「へえ、そんなにすごい完璧な調和のアスペクトなんだ」
「それを持っている人間は、さぞかし幸運なんだろうねえ」
と、思われると思います。
ところが、現実はほとんど違います。
ここからが本題。
じつは私が実際に鑑定で遭遇した、グランド・トラインを持つ多くの人は、超幸運な人生など歩んでいません。
それどころか、厄介な問題を抱えていたり、体験している人がほとんどなのです。
確かに山口百恵とか美空ひばりのような「大成功者」にも、このグランド・トラインは確認できます。
しかし、グランド・トラインを持つ人の多くが、そのような人生を生きているわけではない。
私が実際に遭遇したグランド・トラインを持つ人のケースで確認できたのは、以下のようなことでした。
① 自分ではどうしようもない厄介な人間関係に悩まされる(生まれ育った家族や、結婚、あるいは仕事上で遭遇する人間関係)。
② 社会活動上、自己責任を越えたところから来る大きな苦難を経験する(就職している会社の倒産やリストラ、経営している会社の破綻・倒産)。
③ 恋愛などでは、非常に臆病で閉鎖的であったり、また過去にあった恋愛経験の中にいつまでも閉じこめられる。
④ 性格面に出ている人の場合、非常にデリケートな資質を持っている人間が多く、普通の感覚であれば「些細な」と思われるような出来事でつまずき、人間関係を閉ざしてしまったり、なかなか立ち直れないということもある。
これらのケースで、どうも共通して背後にあるのは、グランド・トラインがかなりの強制力を持つアスペクトで、本人の努力や責任以外のところで出来事が発生していく、ということです。
「どうしてこんなことになったんだろう」
「なぜ、自分の人生にこんなとんでもないことが起きるんだろう」
というような経験をされている方が非常に多い。
実際に、自分の親が非常に金銭にルーズで、いつも迷惑をかけられ、やがて大借金を作って破産した、というようなケースもありましたし、自分の経営する会社が不景気で倒産、多額の借金の返済のために離婚、自分一人になって働きながら返済しているとかいうケースもありました。
またこのグランド・トラインが、家庭や家族に関わっていると、非常に難しい親子関係に悩まされることもあります。
もちろん結婚に関しても、同様に厄介な相手が配偶者になったり、あるいはほとんど強制のようにその相手との結婚が成立してしまうことも考えられます。
「家族は仲がいい」というようなケースでも、自分や家族が②のようなことを経験しているケースがよく見られます。
なぜこのようなことが起きるのか、というのは、まだ推測の段階でしかないので、はっきりとしたことは申せません。
ただ、グランド・トラインはあまりにも整っている複合アスペクトで、持っているエネルギーが非常に高いと思われます。
これを使いこなすということをしないかぎり、使われない余剰のエネルギーが、そのグランド・トラインに関わる項目で暴走するのではないかということは考えています。
非常に運命的というのか、宿命的な働きをする複合アスペクトであることは、ほぼ間違いなく、言ってしまえば、山口百恵や美空ひばりのような非常に際だったスターたちも、それは彼女の努力だったというよりも、むしろ運命的に導かれての輝きだったような印象も受けます(その時代に望まれた)。
むろんグランド・トラインを持つ人が、努力とは無関係で生きているというようなことはあり得ません。
百恵さんだって、現役時代には大変な努力をなさっていたと思います。
しかし、そのスターダムに彼女を導いたのは、グランド・トラインの強制的で宿命的な働きであったような気がします。
いずれにせよ、グランド・トラインの持ち主は、こういった本人の努力や責任とは関わりなく、大きな出来事や逃れがたい人間関係の中に置かれる傾向があります。
ホロスコープはその人が生まれる前に立てた魂の計画が表現されたもの、というのが私の基本的なスタンスですから、その人は実は、「そのような自分でコントロールしがたい人生すら経験しようということを選んだ」ことになります。
もしかすると、この宿命的なアスペクトを生きることで、たとえば大きな魂の成長を成し遂げようとしていたり、前世にあったカルマを精算しようとしていたりするのかもしれません。
その目的は多様であろうと思われます。
グランド・トラインそのものは非常に珍しいかといわれたら、それほどでもありません。
ただ持っている人の方が、やはり絶対的には少ない。
ちゃんとした統計は取ったことがありませんが、たとえば学級や職場に40人とかの人間がいれば、その中の数人は持っていると思われます。
アセンダントやMCを含んだグランド・トラインも含めれば、もっと数は増えるでしょう。
このグランド・トラインを二つもっているというケースは、非常に少なく、かなりレアです。
ただ1974年あたりに生まれた方は、その当時の天体配置がグランド・トラインを非常に作りやすいものになっていたため、複数持っている人も比較的多く存在します。
さて。
じつは、グランド・トラインだけではなく、以下のような複合アスペクトにも似たような傾向を感じることがあります。
カイト(グランド・トラインのAB間、さらに中間にセクスタイル=60度で四番目のポイントが存在する凧型の配置)
ミスティック・レクタングル(180度になっているABを、トラインとセクスタイルで調停するポイントCがあり、そのCに対してさらに180度のDが存在すると、Dは同様にABを調停するトラインとセクスタイルを持つようになる。このような見た目、長方形型の配置)
グランド・クロス(ABCD四つのポイントすべてが180度か90度で結ばれている正方形型)
グランド・セクスタイル(グランド・トラインが二つ存在していて、ダビデの星のように六角形になる。すべての天体がセクスタイル=60度かトライン、あるいはオポジション=180度で結ばれている)
ヨッドとセミ・ヨッド(Aから150度になるBCが存在し、BCが60度になるのがヨッド、セミ・ヨッドは60度のABの中間に30度でCが介在すること)
これらも天体の持っている総合エネルギー量が非常に高く、うまくそれが昇華されない場合は、いろいろと宿命的な出来事を運んでくるようです。
中身はグランド・トラインとそう変わらないとお考えください。
もちろん、これらの研究はまだ途上のもので、これらの複合アスペクトの完全解明にはまだ遠いと思います。
参考程度に留めて頂ければと思います。