最後の五匹・回想録9 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「最後の五匹」の制作現場で、あと絶対に忘れてはならない人たちがいます。

まずその一人は、音響・映像を担当していたO君です。
すべての練習に参加し、創作された楽曲を場面に合わせて流して、練習をサポート。
練習から本番まで、一番時間を拘束されたのは彼でしょう。

またオリジナル映像の制作で、ミュージカル全体の完成度を高めてくれました。
ホントにプロの仕事みたいでした。
彼のサポートについていたSさん、N君らも本当にご苦労さまでした。

そして!

参加してくださった市民の皆様。

中学生たち。

もっと小さい子供たち!

七十五匹の狐の伝承が背景にあるため、舞台上では何場面か、狐たちによる群舞があります。
また中東の子供たちが学校が出来上がったことを喜んで踊るシーンとか、アメリカでのチアガールの踊りとか、大勢でのダンスも少なくないのです。

集団による踊りは、そりゃあ、見ていてもきれいですが、それも練習を積み重ねて、皆さんそろっての動きができるようになってこそ。

M先生の教え子で、演劇部のOGの方々も大勢参加してくれていましたが、その市民たちの結集した力が、まさに各シーンでの群舞でした。

そしてさらに!

この踊り、振り付けを指導してくださったのがTさん。

M先生の演出の意を受けながら、そのシーンでの振り付けを次々に考案していくアイディア。

そして人にそれを伝えるときの的確な言葉、身振り手振り。

私は彼女Tさんのために「狐の女王」という、本来のシナリオにはなかった象徴的な存在を、2稿以降は書き加えています。

それほどに彼女の踊りはすばらしく、プロのデザイナーでもあるKさんの衣装を見事に着こなして、踊る踊る!

彼女を中心にしての狐たちの群舞。

まさに圧巻のものがありました。

とくに本番の山場で、浄化された狐たちがすべて白狐になって舞台上に現れるシーンがあるのですが、そのときに凛としたTさんの神秘的な姿に鳥肌が立ちました。


こうしてミュージカル「最後の五匹」は作られました。

書き漏らしてしまった人も大勢いらっしゃるのですが、とても一人一人は書けない。

でも、このミュージカルに参加して制作に携わってくださった人、すべてに深い感謝を覚えています。
あの感動を与えてくれたこと。
あの日、あの場所で千人を超える観衆と共有できたもの。

それは皆さん、一人一人の胸に今もあり、そしてそれはどこかでエネルギーのコアみたいになっているのではないでしょうか?

次回はこのシリーズの最終回。

そして「最後の五匹」の最後の不思議。