3月8日の体験 |  ZEPHYR

 ZEPHYR

ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「リブラ(猫)が家にいないの!」

娘からの電話はそれでした。
もうすでに泣き声で、ものすごく取り乱しているのが伝わってくる。

「もうすぐに帰れるから、待っとけ」
私は電話を切って、車を再スタート。
自宅は目と鼻の先だったので、すぐに到着。

家に飛び込んでいくと、娘が取り乱した様子で家の中をあちこち探し回っている。
「リブラ~、リブラ~」と泣きながら。
「リブラがいない。リブラ~」

どういういきさつか。父や母の話も交えて説明すると。

私たち夫婦が今日は食事。
だから、あらかじめ娘におばあちゃんたちの用事で車の運転をしてあげて、と頼んでいました。
おばあちゃんたちというのは、私の母と、いつも椎茸を手伝ってくれているTさんの二人。

買い物にも行きたいし、市場に椎茸の代金を受け取りにいったりせねばならなかった。

我が家はド田舎なので、車でなければ生活はできません。
息子もこのときに一緒に出かけ、自宅には最近、とみに判断力や動きが鈍くなったおじいちゃん(私の父)だけが留守番で残った。

リブラは山の斜面で廃材の下敷きになっているところを、娘と奥さんに発見してもらい、まだ片手に乗るほどのサイズの乳飲み子のころから、私たちが育ててきました。

母猫も分からない状況だったので、仕方なく久々の家猫として飼うことに。

今でもう大きくなって、つい先日、初の発情期を迎えました。

性格のきつい猫ですが、娘のかわいがりようは、そりゃあ、べたべたでした。
今まで一度も家から出したことはなく(外には半ば野生のような荒っぽい猫もたくさんいるので)、とくに玄関の扉の開け閉めには気を遣っていました。

ところが。

おじいちゃんだけが留主を預かる家に、どうやら人が一度訪ねてきたようなのです。
その方はすぐに帰ったのですが、

もしかしたら……その瞬間に外に出た!?

家中ひっくり返すような捜索をして、私たちは外に出ました。
風は冷たい。
そんな中、みんなが「リブラ」の名を呼び、探し回りました。

もう成人を迎えているのですが、娘は「トトロ」の中で泣く「めいちゃん」みたいにずっと半泣きで歩き回っています。

「リブラ~(涙)、リブラ~(泣)、リブラ~(悲)」

私は正直なところ、リブラがいなくなったことそのものよりも、娘の悲痛なその呼び声を聞いている方が、よっぽど切なかった。

「だいじょうぶだよ。家からそう離れりゃしない」

「腹が減ったら帰ってくるから」

そう慰めるも、娘は嗚咽がついている。
それに一抹の不安はありました。

外猫たちにはリブラは見かけぬ新参者。
追い回されてどこか山の中にでも入り込んで、迷ってしまう可能性も……。

まあ、それでも家からそう離れるとは思えないが。


そのとき私の脳裏に、あることが。

「そうだ! こんなときこそ八卦だビックリマーク

以前はよくやっていたのですが、最近はめっきりすることがなくなった八卦。
ほら、よく易者さんがやっているやつです。

失せもの探しには、この八卦がかなり有効に使えます。

私は三枚のコインを代用して、その裏表で計算して、偶数と奇数の組み合わせを作り、卦を立てるやり方をしています。
前にもこれで失せもの探しを頼まれて、的中させたことがあります。

「リブラは今、どこにいるのか?」

最初に立てた卦は、「水火既済(すいかきせい)」というものでした。

この解読は難しいものです。
基本的には既に成就しているというもので、火と水の組み合わせ、あるべきものがあるべきところにあるという卦です。
火と水。

場所や土地の象意はほかにもいろいろとありますが、全体的に「あるべきところに」というのを重視して、「まさか家のどこかに?」と思い、もう一度捜索してみました。

しかし、見つからず。

もう一度、「リブラは家の中にいるか、外にいるか」という卦を立ててみました。
「地火明夷(ちかめいい)」という卦。

これは陰三つの「坤」と、陽陰陽の「離」。
「坤」は「地」であり、「離」は「火」。
「離」には「離れる」という意味と表裏となって、「火」ですから「つく」という意味もあります(火が付くというように)。

家から離れ、地面の上にいる。
しかし、そう離れた場所にはいない。
と、判断しました。

「坤」には平野とは平地、林、故郷、未開地、裏通り……etcといった意味が。
「離」は日当たりのよい土地、見晴し台なども意味が。

「やはり外か。それも家がある土地よりも高いところの林とかか?」

私は家を飛び出し、自宅のすぐ裏にある高台になっているところに探しに行きました。

しかし、見つけられず。

「もう一度、卦を見直してみよう」と自宅に帰ってすぐ。

おばあちゃんが

「おったよ~!」

私たちは飛び出しました。
椎茸の栽培ハウスのすぐ裏側で蹲っていたそうな。

その栽培ハウスがある山の斜面は、もともとリブラが発見された場所に近い(=故郷?)。
自宅よりも高台。
林の中とも言えるし、平地とも言える場所。
日当たりは西日がよく当たる場所。

卦は間違っていなかったか……。

最初の「水火既済」も「あるべきところ」というのか、外の世界にいたときのリブラがまさにいた場所当たりという意味か。

「リブラリブラ……」
娘は猫を抱きしめ、数時間、外の世界の恐怖に怯えていたリブラは……

さっさとこたつに入っていきました。
のヤローむかっ どんだけ心配させ、娘を悲しませたことか。

まあ、見つかったからよかったけど。
ほっ(*´Д`)=з

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