マザー・コンプレックスの男性というのは、非常に分かりやすかった。
いい年こいて、「ママ~

まあ、いることはいるのかも知れませんが。
マザー・コンプレックスは消滅したのでしょうか?
いやいや、そんなはずはありません。
この心理傾向や機能があるからこそ、人間は、男は成り立っている。
日本の古典文学の最高峰、「源氏物語」はマザコン光源氏のストーリーです(その後のストーリーもありますし、「源氏物語」ファンの皆さん、乱暴でざっくりした表現をお許し下さい

この著者が紫式部(女性)だという一般的な定説は、私は個人的に怪しいと思っています。
こんなふうに母親に理想や幻想を想い描き、執拗に追い求める心理というのは、男でないとなかなか理解できないし、ここまで物語として完成もされ得なかったと思うのです。
男でないとなかなか描けないのが「源氏物語」に思えますが、まあ、それはともかく。
オイディプスやスサノヲといった神話伝説の時代から、連綿と人類はマザコンについて語ってきた。
語ってきたということが、それが現にあったのだし、それだけ囚われてきた、ということの証明でしょう。
それがこの時代になっていきなり消滅するはずもない。
今もマザコンはある。
これは当然なのです。
占星術でも、男性にとって月は母親であり、同時に配偶者も示します。
女性にとっては、太陽は父親であり、同時に配偶者(太陽は自分自身でもある)。
人としてこの世に生まれ、最初に身近に接する異性、それは母であり、父です。
そして父と母の関係の中に、男女の関係の原型となるものを焼き付けていく。
人間の思考、感情。
これらは人の記憶の集積の上に芽生えてくるものなので、こと異性や配偶者との関係において、父母が子どもに果たす役割はとてつもなく大きいのです。
自分たちが演じる夫婦像が、子どもたちにコピーされていく可能性があるのです。
これから結婚されるかた、そして出産を迎えるかたは、このことをよく肝に銘じておくべきでしょう。
占いをしていて、時折、不倫関係を結んでいる母親がいて、その息子も母親のその行為を知っている(つまり隠していないし、相手の男性のこともその子は知っている)というようなケースに遭遇することがあるのですが、そうなってくるとこの息子さんの女性観に与える影響はどうなのか?
考えると、怖いです。
ユング曰く、男性は内的な母性(アニマ)を持って成長します。
この内的な母性こそが月なのです。
そしてこの月が現実に置き換えられた存在が母であり、妻です。
月はどの人のホロスコープの中にも存在するものなので(当然)、すべての男性の中にマザー・コンプレックスは潜在していると考えられます。
この月のコンディションによっては、マザー・コンプレックスはいびつな形で表現されるようになります。
昔はその出方は分かりやすかった(「ママ~」というようなケース)。
しかし、現代にいたって、このマザー・コンプレックスはより沈潜し、分かりにくいものになっています。
これは犯罪の傾向などを見ても分かるのですが、昔は「悪いことをする人」というのは、本当に「悪いことをしそうな印象」を持っていることが多かった。そのような生き方をしていた。
しかし、今は「え? あの人が? なんで?」というごく普通の人が、殺人など凶悪犯罪を引き起こすようになっています。
皆、隠すのが上手になってきたのです。
このことはまた別に考察してみる価値があるのですが、今はマザコンの話に戻ります。
たとえば。
ある男性は、月がグランドトラインを持っています(それだけではないのですが)。
完全調和の座相で、彼を育てた母親は、父親との間に仲睦まじい関係などなく、心など通わなくても、ひたすらに忍従し、「良い母親」を演じてきました。
今、結婚している彼は、自分の価値観、感覚の中で、結婚相手の女性に「完璧」になることを執拗に求め続けています。
これは無意識に、母親のイメージを妻に移し替えようとしているのです。
求められる女性にしてみれば、たまったものではありません。
しかし、彼が一見マザコンに見えるかというと、そうではありません。
むしろ生まれ育った家庭を、おもに父親が原因で嫌っています。
寄りつこうとしない。
つまり彼の中で本当の意味での一家団欒というものは失われたままなのですが、この欠乏感が完璧な母親像(月)に結びついて、今そばにいる妻に完璧を求めるようになっているのです。
あくまでも自分の価値観に合わせろ、と言うやり方で。
これがじつは、自分の父親が妻に対して取ってきた態度だということも気づかないまま。
恐ろしいですよね~。
嫌っている父親にどんどん似てゆき、相手には母親と同じ「良い母親」を求める。
しかし、妻は母親と同じ人間ではありません。
違ってます。
違った価値観、感性を持っています。
そのために食い違いが生じ、日常的に喧嘩が絶えなくなります。
彼が相手の価値観や感性を認め、受け入れる努力をして歩み寄り、なおかつ自分自身が今取っている行動の根本的な理由を悟らない限り、現状が変わる可能性は低いでしょう。
他にもいくつも、潜在したマザー・コンプレックスが原因で、夫婦間に不調が生じている例はあるのですが、要するにこれは「大人になりきれていない」のです。
ただ、私が言う「大人」は世間一般に言われる「大人」とはかなり意味が違います。
子どもっぽくても良いのです。
私が考える「大人」とは、すべての星の力をちゃんとわがものとして使っている人のことです。
このマザコンに関して言うと、月の力です。
これを自分のものにせず、よそを置いておくと、自分の外側にそれを存在させなければ仕方なくなってきます。
これが前述の男性の場合、今の奥さんなのです。
しかし、彼がその月を有効に使えば、自分の外側に存在させる必要はなくなってきます。
手前味噌な話で恐縮ですが、
私は1ハウスに月があり、やはり母の影響が大きかったと思われるのですが、とっくにマザー・コンプレックスは克服しているというのか、自分の中にはほとんど見あたりません。
それはこの月の力を十全に使っているからです。
どうやって?
これは個人のチャートにも関わってくるので、一概に使い道は言えません。
が。
基本的にこういうことは言えると思います。
夫婦関係が不調で、奥さんに何事か求めることが多い人。
まず自分自身が、自分を育てた母親のことを考え、どの部分が好きでどの部分が嫌いだったか、よく考えてごらんなさい、と。
場合によっては、父親のことも考えなければいけないでしょう。
そして一度、自分が母親(父親)のような人間になったと仮定して行動してみてご覧。
それを自分自身がどう感じるか。
そういったことから解決の糸口が見つかるかも知れませんね。
ポチッとしていただけると、嬉しいデス。
↓
にほんブログ村


FC2 Blog Ranking