前回の続き、土星・海王星、エリス・ペルセポネーのヨッドの話です。
土星と海王星については昨日お話ししました。
さて、残るエリスとペルセポネーですが、これらは海王星以遠のエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)です。
分類上は、惑星から準惑星に降格された冥王星もEKBOです。
ペルセポネーはこのEKBOの内の、1992QB1の仮称です。プルートー(ハデス=冥王星)によって地上から拉致され、無理矢理妃とさせられた女神ですが、正式名称として与えられているわけではなく、占星術師がペルセポネー候補としてあげているに過ぎません。
名称は非常に重要で、名付けが行われることによって、その子に一つの性格が与えられるのと同じように、惑星にも人類が持つ集合無意識的な共鳴作用が生じると考えられます。
したがって、この1992QB1の作用はまだ本物ではありません。
補足的に見るに留まります。
エリスは冥王星よりも大きいと考えられ、準惑星として発見者グループから正式名称が与えられています。
ギリシア神話の中では、「争いの女神」として知られますが、彼女が最も重要な役割を果たしたのは(それも災厄的な意味で)、トロイア戦争の発端を作った逸話です。
ある大きな祝宴の席に、1人だけ招かれなかったこのエリスは、その神々の宴に黄金の林檎を投げ込みます。
「もっとも美しい女神へ」と書かれた林檎です。
この林檎を奪い合ったのが、主神ゼウスの妃であるヘーラー、ゼウスの娘アテナ、愛と美の女神アフロディーテです。彼女たちは主神ゼウスに裁定を求めます。
「あなた、私が一番でしょ」
「お父さん、私が一番きれいだって、いつも言ってるじゃない」
「なにを仰いますの。愛と美の女神としての称号を与えられているのは私ですわよ」
こんなやりとりがあったのでしょうか?
私がゼウスの立場でも、困ります。
この騒動の解決を、人間パリスに託した(悪く言えば、ゼウスは自分では決められなかったので、他人に丸投げした)ことが、トロイア大戦争の発端となっていくのです。
北欧神話にも、このような物語があります。
バルデルという神は、ある時自分の生命の危機を予知する夢を見ます。バルデルの母、フリッグはそれを知って、世界中のありとあらゆるものにバルデルを決して傷つけぬという誓いを立てさせます(あらゆる武器から、それこそ道ばたの小石に至るまで)。
神々はバルデルが何者にも傷つかないということを知り、武器で斬りつけたり、石をぶつけたりというゲームを始めます。いじめっぽいですが、いじめではなかったようです。どんなものをぶつけられても、バルデルは傷一つ受けないのですから。
この無邪気な大騒ぎ、遊びを見ていたロキというひねくれ者の神は、フリッグのもとを訪ねて、本当にすべてのものに誓いを立てさせたのか確認します。フリッグはうっかり、ある宿り木の新芽だけはあまりにもひ弱そうだったので、誓いを立てさせなかったと漏らしてしまいます。
ロキはこの宿り木を持ってきて、盲目であったために遊びに参加できなかったある神に持たせ、狙い定めて投げさせます。
宿り木はバルデルの胸を刺し貫き、彼は死にます。
ロキは後に、ラグナロクという神々の終焉戦争の引き金となっていきます。
このロキとエリスには、共通した性格があります。
それは「疎外された存在」であるということです。それが大きな災厄を招き寄せてしまう。
エリスが「争いの女神」だから、土星、海王星、エリスのヨッドの時期に、戦争やテロ、あらゆる争いごとが生じやすい、という解読は、実に単純にできます。
たしかに来年の2月5日まで、そして来年の8月下旬以降、このヨッドが形成されている間は、そうした出来事も増加すると思います。
インドの同時多発テロは、このヨッドができて以降、発生しました。
しかし、それだけでは解読としては不十分でしょう。
エリスの性格を考えると、「疎外された者が引き起こす災い」という出来事の裏側にある主因も読み取ることができるはずです。
そうして考えたとき、元厚生次官を狙った犯行と犯人のよく見えない動機についても、単なる幼児性とかいう以外の状況が推測できるように思います。
これは個人の問題だけではありません。
インドのテロにしても、カースト制度の枠にさえ含まれない人々の不満が背景にあるといわれます(疎外です)。
国際的な関係でいえば、北朝鮮。気になります。日本の近くで、この国家ほど疎外された環境にある国は、他にありません。
こうした疎外された国家や人々が、これから大きなアクションを起こそうとするかも知れません。
実を申せば、冥王星にも同じような疎外された性質があります。興味のある方は、過去記事<冥王星の本質に関する考察>をお読み下さい。この中で、惑星降格された冥王星の真の位置づけについて、私なりに決定打と言える結論を出しています。
さて。では、じゃあ、それら疎外された人々の頭を押さえつけたり、よりいっそう迫害を強めることが、解決につながるでしょうか?
それは誰が考えても違います。
ヨッドはかならずしも凶作用をしません。
リラックスした人の、受容する心に良き反応をします。
土星、海王星、エリスのヨッドは、これまで疎外された存在であった人々との理想の実現といった意味合いも読み取れます。
つまり、この時期に差別され、疎外された人との運命的な和解も可能になるはずなのです。
これは同和問題とか、そういったよく知られた事柄だけではないはずです。
私たちの日常の中、職場環境、近隣、あるいは家族や親類、そういった中で、私たちはほとんど無意識にグループを作っています。
気の合う仲間。
そうすれば、そこには自然とグループには入れない人が生まれてきます。
とても不器用で、人付き合いができず、いつの間にか疎外されてしまった(と本人が強く感じる場合もあるでしょう)。
日常の中、私たちのすぐ隣にそうした人がいます。私たち自身が、いつの間にか疎外されてしまっているかも知れません。
土星、海王星、エリスのヨッドは、この関係に警鐘を鳴らすと同時に、融和への道筋を示しているように思えます。
エリスが林檎を投げ入れるのがこの11月以降で、来年の8月下旬以降がトロイア戦争、なんてシナリオは私はまっぴらです。
人の心に愛が、世界に調和が満たされますように。