まだ何合目かもわからない |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

人が幸せになるプロセスは多様だ。
決まった道はない。

しかし、これまで多くの人の鑑定を行ってきた者として、一つだけ指摘できることはあるように思う。
それは「自分を知る」ということだ。

なにがしかの不幸、何らかの不都合、障害を抱えている人は、その運気や性格の中に、真の原因を持っていることが多い。
本人が顕在意識の中で、望む望まざるに関わらず。

心理療法では催眠術を使用した治療が行われることがある。
水が怖い。
男性恐怖症である。
そんな原因不明の症状を持つ人間に、催眠治療を施し、たとえば3才の時に溺れかかった、幼い頃に男性にいたずらをされた、などの埋もれた記憶を呼び起こし、症状の原因を究明し、それを理解することによって改善や治癒を計る方法だ。
この場合、「知ること」はそのまま「治癒」につながっている。

占星術のホロスコープを見ること、タロットカードで展開されたカードの絵を見ること。
これらはこの心理療法の治療に似た効果をもたらすことがある。
カードや星が、その人にとって真理を指し示せば、それはそのまま啓示となる。

自分自身への理解へとつながり、事態を改善させる力になるのだ。

そういう意味において、占星術やタロットなどの占いは無力ではない。
占いでは人の運命は変えられないという意見もあるが、私はそうは思っていない。
それはいい加減な占いの話で、その人の心理や運命の深層に踏み込んでいける力量を持つ占術家であれば、劇的な改善も可能になる。
しかも、それはまじないや祈祷によって運勢を好転させるといった他力ではない。
自分が自分を知ることによって、自分自身を変える自力救済の方法でもある。

私が占術家として今、どのあたりにいるのか、自分では計りようもない。
上には上がいる。
自分が上かどうかも分からない。
しかし、今自分の目の前にいる人が幸せになれるように願い、最善を尽くす。
それだけが自分に行えることだろう(占術家としては)。