苦難の時も信じること(夫婦円満の秘訣 part.4) |  ZEPHYR

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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

なにも夫婦には限らないと思うのですが、どんな男女の関係にも良いときもあれば悪いときもあります。
恋愛関係のまっただ中にいる二人は、あばたもえくぼで、相手の欠点さえも好意的に受け入れてしまっているものですが、ひとたび、何事か二人の間に齟齬が生じたとき、その欠点を見る目も変わってきます。

ある本に、別れやすいカップルの代表は、両親の反対を押し切って結婚した夫婦だということが書いてありました。
両親に反対されている男女は、その反対に抵抗し、結婚したときが感情のピークで、それ以降は思いが下火になっていくからだというようなことが書いてありました。その著者は、多数の男女を経験的に知る立場にあり、その経験知からそのような傾向を感じ取ったようです。
なるほどと思わせられる部分もあります。
もちろんこの意見は、個人の主観であり、客観的統計的なデータをまとめたものではありません。
しかし、我々が見る現実に近いような気もします。

たとえばアメリカ合衆国という国を見たとき、多民族、多宗教、多習慣が寄り集まって作られたこの国は、外側に「敵」がいるときには結束も固く、「自由」「平等」「民主主義」などの名の下に大きな力を発揮するように思えます。が、かつてのソ連のような強大な敵が存在しなくなると、とたんに内部問題が表面化してくるように思えます。
現在、アメリカは「テロ」という、海王星的な曖昧な「敵」を想定することで、結束を強めていますが、ソ連崩壊後、この新しい敵の出現までの期間、アメリカ内部では民族間の問題、差別や貧富の差などが激化し、さまざまな事件が起きていました。
今、国民の目が「外側の敵」に向けられているからこそ、これらは沈静化していると考えられます。

人類の歴史を振り返っても、内政が悪化し、人々の暮らしが荒廃した国は、民衆の不満を外に向けるため「戦争」という愚挙に出るという例が数多く見受けられます。

国家だけでなく、個人の身にも似た傾向の現象は、当然起きてくると考えられます。
他に敵がいるとき、家族、あるいは夫婦、恋人の結束は固くなる。
しかし、その敵が消滅するか、敵としての性格を弱めたとき、夫婦や恋人の間にある感情が、本物であったのかどうかが問われるようになります。
いや、その時点で本物でなかったとしても良いでしょう。まだ本物になりきっていなかったとしても。
逆に、そのときこそが本物になるプロセスのときなのだと言えるのです。

そのときを越えたら、二人は本当の夫婦になると言えるのかも知れません。

反対されたカップルばかりではありません。
周囲から祝福されて結婚した二人でも、どんなに愛し合っているように思えても、なにか事件が起きたとき、関係に変化が生じることがあります。
たとえばどちらか、あるいは双方の親の方に問題があり(嫁姑問題のように)、二人の関係にひびが入る。
仕事上の問題が起きる。経済的な問題が起きる。子供が生まれ、生活状況が変化する。またどちらかが浮気をするといったケースも考えられます。
こうした本人たちが「負」の要素だと感じられる出来事が発生したとき、その二人は関係を維持していけるか?

じつはそのときこそが、二人が試されているときなのです。

ところが、近頃、人は全般的に我慢というものが出来なくなっている傾向があるようです。
一つ自分の意に沿わないことがあると、とたんに相手のことが許せなくなってしまう。
それまでは気にしなかった相手の欠点なども、一つ一つが癇に障るようになる。

どんなカップルでも、長い間には喧嘩の一つもします。
互いのことに理解を示しているように見えても、寛容さの中に不満を蓄積させている場合もあるでしょう。
そういうのが爆発するときもあるかも知れません。

同じことを目指していても、方法論が違うこともあります。
そのために意見が対立してしまうことも。
子供の幸せを願っていても、その「幸せ」の形や作り方がまったく異なっているかも知れません。

そういったことが二人の間に起きたとき。
そのときこそがチャンスなのです。

二人の関係を永続性のある、本物の愛に育てるチャンスなのだと。
真の強さが鍛錬によって生み出されるように、困難こそが本物の愛を作る肥やしなのです。

喧嘩して相手のことが嫌いになっているとき、互いの感情が行き違っているとき、生き方や信条が異なっていることを痛感するとき、そんなときでも自分の愛を見失わないことです。
思う通りになることばかりが良いことではありません。
思い通りにならない状況を克服すること、生き抜いていくことこそが人生なのです。
そのとき手を取り合っていけるパートナーがいること。
信じ抜くことが出来た相手がいること。
これに勝る喜びはないと、私は感じます。

円満の秘訣の4番目。
それは困難の時期に、自分と相手を信じ抜くことです。